端的に言えば虚実皮膜の意味は「芸術が事実と虚構の微妙なはざまにあること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「虚実皮膜」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/ナガタ ナミキ
外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。
「虚実皮膜」の意味は?
「虚実皮膜」には、次のような意味があります。
芸は実と虚の境の微妙なところにあること。事実と虚構との微妙な境界に芸術の真実があるとする論。江戸時代、近松門左衛門ちかまつもんざえもんが唱えたとされる芸術論。▽「虚実」はうそとまこと。虚構と事実。「皮膜」は皮膚と粘膜。転じて、区別できないほどの微妙な違いのたとえ。「膜」は「にく」とも読む。
出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「虚実皮膜」
芸術は事実と虚構の微妙な境界に成り立つこと。または、事実と虚構の微妙な境界にこそ、芸術の真実があるとする理論。
出典:四字熟語辞典(学研)「虚実皮膜」
「芸術表現とは虚構と現実の間に成立するもの」という考えを表すのが四字熟語「虚実皮膜」です。たとえば役者がいて、台本があり、脚色されたものがお芝居であり、つくられた姿と知りながらも観客の心は動かされます。つまり芸術の本質とは非常に微妙で複雑な、現実と虚構の接点にあるものだと「虚実皮膜」は説いているのです。
本来は芸術分野についての言葉でしたが、意味が転じて「区別できないほど些細な・微妙な違い」を表すたとえとして使われる場合もあります。
※読み方はきょじつひまく・きょじつひにくの二通りです。
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