1.部下が取引先でトラブルを起こしたが、上司が泥をかぶることでその場を収めた。
2.とある会社の秘書が逮捕されたが、社長の泥をかぶったのではないかと噂されている。
3.チームに何かあった時は、泥をかぶってでも助ける覚悟だ。
例文では、「泥をかぶる」が形を変えて使われていることが分かります。本来は他人が負うべき責任をあえて引き受ける(泥をかぶる)わけですから、自己犠牲のもとに成り立つ表現であるといえるでしょう。
「汚れ役を引き受ける」「汚れ役を果たす」
そもそも「汚れ役」とは、映画や演劇作品の中で、世間から好ましく思われない人物を演じる役のことをいいます。たとえば犯罪者や、社会的地位・財産を失った弱者などがあげられ、汚れた服装をしていることがほとんどです。
このように芝居作品において活躍する「汚れ役」ですが、現在では慣用句としても使われています。「汚れ役を引き受ける」「汚れ役を果たす」などがその代表で、どちらも「あえて嫌われ者となること」を意味するものです。もちろん現実世界はお芝居ではありませんし、自分が主人公として人生を歩んでいるはずですが、その中であえて「汚れ役」となることで誰かを助けたり、状況を変化させる場合に使われることがあります。あえて・意図的に損な役割を引き受ける点が、「泥をかぶる」との共通点といえるでしょう。
「憎まれ役を買って出る」
「憎まれ役」とは、世間や人々から憎まれるような役割・立場のことをいいます。先ほどご紹介した「汚れ役」と似た意味をもっていますね。こちらも慣用句には「憎まれ役を買って出る」があります。たとえばミスをした友人をかばうために、あえて自分の責任であると嘘をつくとしましょう。人々の怒りの矛先を自らに向けることで、憎まれ役をあえて買って出たわけです。
もう一つ例をあげますね。たとえば横柄な上司に対する不満を、部下のほとんどが抱えていたとしましょう。しかし誰も勇気がなく声をあげることができません。そんな時、部下の一人が上司に直接不満を訴えました。上司から嫌われるかもしれないというリスクがあるにも関わらず、「憎まれ役を買って出た」のです。
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