この記事では「舌鼓を打つ」について解説する。

端的に言えば舌鼓を打つの意味は「美味しさのあまり舌を鳴らすこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「舌鼓を打つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「舌鼓を打つ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「舌鼓を打つ(したつづみをうつ)」の意味や語源・使い方を確認していきましょう。

「舌鼓を打つ」の意味は?

「舌鼓を打つ」には、次のような意味があります。

1.あまりのおいしさに舌を鳴らす。舌鼓を鳴らす。「山海の珍味に―・つ」

2.不満げに舌打ちをする。「私は―・って引きかえして」〈宇野浩二・苦の世界〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「舌鼓を打つ」

「舌鼓を打つ」には大きく分けて二つの意味があります。「美味しいものを食べた時に満足して舌を鳴らすこと」、そして「不快な気分を表す場合に舌打ちをすること」です。ただし後者の意味で使われることは現代ではほとんどありません。直接「舌打ち」と言うことがほとんどであるためです。

「舌鼓を打つ」の読み方にも注意しましょう。発音の難しさから「したづつみ」と読まれることがありますが、これは誤りで、正しくは「したつづみ」です。

「舌鼓を打つ」の語源は?

次に「舌鼓を打つ」の語源を確認しておきましょう。

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「舌鼓」
・美味しいものを飲食した際に、満足して舌を鳴らす音
・(まれ)不満げに舌を鳴らす音

「打つ」
・たたくこと
・ものに、別のものを勢いよく当てて衝撃を与えること

「舌鼓」の「鼓」とは打楽器・太鼓のことです。もちろん私たちの口の中に本物の太鼓はありません。しかし比喩として、まるで舌で太鼓を打つかのように音を鳴らすことを「舌鼓」と呼んだのです。具体的には、舌先で上顎を打つ・叩いて出す音のことをいいますよ。

何か美味しいものを食べた時、飲んだ時に感動のあまり舌を打ち鳴らす動作が「舌で鼓を打つ」ようであり、ここから「舌鼓を打つ」が慣用句として定着したといわれています。

「舌鼓を打つ」の使い方・例文

「舌鼓を打つ」の使い方を例文を通して確認しましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.海外出張から帰国後、最初に食べた日本食に思わず舌鼓を打った。

2.久しぶりのビールを飲み、そのあまりの美味しさに舌鼓を打つ。

3.最近は食事制限をしているが、美味しそうな料理のイラストを見るだけで舌鼓を打ってしまいそうだ。

4.一晩かけて煮込まれたスープの濃厚な味わいに舌鼓を打つ。

「舌鼓を打つ」は、美味しい食べ物・飲み物に対して使うことができる表現です。料理などの味が大変素晴らしく、満足感や感動をおぼえた時に用いられます。

実際に舌で音を鳴らさずとも「舌鼓を打つ」を使うことも可能です。美味しいと感じた気持ちを表す慣用句として、ぜひ使ってみてくださいね。

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「舌鼓を打つ」の類義語は?

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それではここで「舌鼓を打つ」の類義語として、美味しいものを飲食した際に使える慣用句を確認してみましょう。

「喉が鳴る」

「喉が鳴る」とは、素晴らしい・豪華な料理を目の前にして、食欲が盛んになることを表す慣用句です。「喉を鳴らす」ともいいます。

たとえばあなたが空腹で、すぐ目の前に好物のメニューやご馳走があったらどんな気持ちになるでしょう?漫画などで獲物を目の前にして「ごくり」と喉を鳴らす場面がありますが、たとえ実際に音が鳴らなくとも、「早く食べたい!」という期待感を「喉が鳴る」で表すことができますよ。

「頰が落ちる」

「頰(ほお)が落ちる」は、この上なく・非常に美味しいことに対して使う慣用句です。「ほっぺたが落ちる」ともいいますよ。実際に頰が落ちることはありませんが、そのあまりの美味しさから、重みで頰が落ちてしまいそうなほど多くを頬張った状態が語源といわれています。

「舌なめずり」

「舌なめずり」とは、美味しそうな食べ物などを前にした際、舌で唇を舐めまわすことです。また、必ずしも対象が飲食物とは限りません。たとえば目の前にある欲しいもの・獲物などを捕まえるタイミングを待ち構えることも「舌なめずり」でたとえることができます。ただし上品な所作とは言えませんので注意しましょう。

「口鼓」

「口鼓(くちつづみ)」とは、口を使って鼓を打つような音を出すことです。「舌鼓」のほぼ同義語として使われます。

「腹鼓」

「腹鼓(はらつづみ)」とは、腹を太鼓のように打ち鳴らすことをいいます。古い言い伝えによれば、ある満月の夜にたぬきが腹を打ち鳴らしたそうです。その音が太鼓のようであったことが由来の一つといわれていますよ。

また、慣用句には「腹鼓を打つ」があります。十分に・満足に食べて大きく膨らんだ腹を太鼓のように叩くことを意味し、転じて衣食に不自由のない状態を指す言葉です。美味しいものを食べて機嫌の良い様子が伝わるのではないでしょうか。

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「舌鼓を打つ」の英訳は?

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最後に「舌鼓を打つ」の英語表現を確認しましょう。

「smack one’s lips」

smack one’s lips とは、直訳すると「(その人の)口・唇を鳴らす」という意味です。キーワードは動詞 smack で、「ぴしゃりと打つ」「音を立てる」といった意味をもちます。思わず音を立ててしまうほど美味しい飲食物に対して使われ、「喜ぶ・楽しむ・心を躍らせる」といった意味を表しますよ。

また、前置詞 over を使って、何に対して舌鼓を打ったのかを示すことができます。

1.She smacked her lips over the cake.
彼女はケーキに舌鼓を打った(心躍らせた)。

2.He smacked his lips with relish.
彼は満足げに舌鼓を打った。

(※例文2の with relish は「嬉しそうに」という意味)

「舌鼓を打つ」を使いこなそう

この記事では「舌鼓を打つ」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「舌鼓を打つ」とは、あまりの美味しさに思わず舌を鳴らすことでしたね。実際に舌で音を出すことはなくとも、お皿に乗るまでの過程やその作り手に思いを馳せ、素直に感謝を表せる人でありたいと筆者は考えます。何より「舌鼓を打つ」ほどの美味しさに出会えるのは、とても幸せなことに違いありません。

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【慣用句】「舌鼓を打つ」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「舌鼓を打つ」の類義語は?

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それではここで「舌鼓を打つ」の類義語として、美味しいものを飲食した際に使える慣用句を確認してみましょう。

「喉が鳴る」

「喉が鳴る」とは、素晴らしい・豪華な料理を目の前にして、食欲が盛んになることを表す慣用句です。「喉を鳴らす」ともいいます。

たとえばあなたが空腹で、すぐ目の前に好物のメニューやご馳走があったらどんな気持ちになるでしょう?漫画などで獲物を目の前にして「ごくり」と喉を鳴らす場面がありますが、たとえ実際に音が鳴らなくとも、「早く食べたい!」という期待感を「喉が鳴る」で表すことができますよ。

「頰が落ちる」

「頰(ほお)が落ちる」は、この上なく・非常に美味しいことに対して使う慣用句です。「ほっぺたが落ちる」ともいいますよ。実際に頰が落ちることはありませんが、そのあまりの美味しさから、重みで頰が落ちてしまいそうなほど多くを頬張った状態が語源といわれています。

「舌なめずり」

「舌なめずり」とは、美味しそうな食べ物などを前にした際、舌で唇を舐めまわすことです。また、必ずしも対象が飲食物とは限りません。たとえば目の前にある欲しいもの・獲物などを捕まえるタイミングを待ち構えることも「舌なめずり」でたとえることができます。ただし上品な所作とは言えませんので注意しましょう。

「口鼓」

「口鼓(くちつづみ)」とは、口を使って鼓を打つような音を出すことです。「舌鼓」のほぼ同義語として使われます。

「腹鼓」

「腹鼓(はらつづみ)」とは、腹を太鼓のように打ち鳴らすことをいいます。古い言い伝えによれば、ある満月の夜にたぬきが腹を打ち鳴らしたそうです。その音が太鼓のようであったことが由来の一つといわれていますよ。

また、慣用句には「腹鼓を打つ」があります。十分に・満足に食べて大きく膨らんだ腹を太鼓のように叩くことを意味し、転じて衣食に不自由のない状態を指す言葉です。美味しいものを食べて機嫌の良い様子が伝わるのではないでしょうか。

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