端的に言えば機を見るに敏の意味は「好機を逃さない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「機を見るに敏」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/Hata
以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。
「機を見るに敏」の意味は?
「機を見るに敏」には、次のような意味があります。
好都合な状況や時期をすばやくつかんで的確に行動するさま。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「機を見るに敏」
「機(き)を見るに敏(びん)」とは、チャンスをつかんで的確に動けること。タイミングよく状況を読んで動く時に使われる言葉で、ビジネスシーンでもよく用いられる慣用句です。
「機(き)」には「ものごとの起こるきっかけ」や「ものごとの大事な部分」という意味があり、何かをするのにちょうどいい状況やタイミングを示します。「敏(びん)」は「すばやい」という意味。「敏捷(びんしょう)」や「俊敏(しゅんびん)」といった言葉にも使われています。
これらの言葉を組み合わせたのが「機を見るに敏」。好機を逃さずスピーディに行動してチャンスをものにすることを表した言葉です。
「機を見るに敏」の語源は?
次に「機を見るに敏」の語源を確認しておきましょう。「機を見るに敏」の正確な語源は不明ですが、似た意味の記述が中国の有名な思想家、孔子の『論語』に見られます。
論語のひとつにある「子曰、君子欲訥於言、而敏於行」という一文。「子曰く、君子は言(げん)に訥(とつ)にして、行いに敏ならんことを欲す」と書き下され、「徳のある人とは多くのことを話すより、まずは素早く行動する人でありたいと思うものだ」という意味を持ちます。
この論語は現在でもよくビジネス書や教材にも引用されるものです。フレーズとして覚えておくといいでしょう。
この文が直接「機を見るに敏」の由来となったかは不明ですが、同様の内容ははるか昔から教えられていたことがわかります。
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