端的に言えば一天四海の意味は「天下の全て、全世界のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「一天四海」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/ヤマトススム
10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。
「一天四海」の意味や語源・使い方まとめ
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それでは早速「一天四海」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「いってんしかい」です。意味のほか、語源や使い方など、さまざまな側面からチェックしていきますよ。
「一天四海」の意味は?
「一天四海」には、次のような意味があります。まずは、「一天四海」の基本的な意味を一緒に確認していきましょう。
1.天下のすべて、全世界の意。
出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「一天四海」
「一天」は天の下すべて、天下全体のこと、「四海」は四方の海のことを表しています。こういった意味合いから、天下や全世界という意味になっていますよ。
世界という単位で見ると、三大洋である「太平洋」「大西洋」「インド洋」を思い浮かべる人もいるかも知れませんが、ここでは具体的な海を指しているのではありません。あっちの海もこっちの海も含めてという四方のことを表しています。
「一天四海」の語源は?
次に「一天四海」の語源を確認しておきましょう。
「一天四海」は、「祇園精舎の鐘の声…」の書き出しが有名な『平家物語』に由来します。『平家物語』は平家の興隆から源平の戦いなどについて書かれていますね。
その中の祇王(ぎおう)に「入道相国(にゅうどうしょうこく)、一天四海を、たなごごろのうちににぎりた給ひしあひだ、世のそしりをもはばからず、人の嘲(あざけり)をもかへりみず、不思議の事をのみし給へり。」とあります。意味は「入道相国は天下を掌中に握られたあいだ、世の避難を構うことなく、人の嘲りも心に留めず、わがままなことばかりなさった。」です。
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