あなたの周りに「反りが合わない」と感じる人はいませんか?この「反りが合わない」は、簡潔に言えば「気心が合わない」という意味の慣用句です。ちなみに「反り」って何のことだか知っていますか?

今回はその「反りが合わない」の意味や語源、類義語などを、院卒日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「反りが合わない」の意味や語源は?

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「反りが合わない」という言葉、使われている場面を耳にしたことがある人も多いでしょう。実際に使ったことがある人も多いのではないでしょうか。しかし「反り」って何だと気になりませんか?まずは、その「反りが合わない」の意味や語源を再確認していきます。

「反りが合わない」の意味は「気心が合わない」

最初に、「反りが合わない」の辞書での意味を確認していきましょう。「反りが合わない」は辞書では次のような意味が掲載されています。

気心が合わない。互いの気持ちが合わない。

出典:明鏡ことわざ成句使い方辞典(大修館書店)「そりがあわない【反りが合わない】」

「反りが合わない」は、「気心が合わない、互いの気持ちが合わない」という意味の慣用句です。学校や会社で、自分と考え方や気質が異なる人で、どうしても一緒に上手くやれない人が1人はいるのではないでしょうか。そのような人との相性や関係について、”何となくこの人とは合わない”というのを表現するのが、この「反りが合わない」という慣用句です。

「反りが合わない」の語源は日本刀!

この「反りが合わない」という言葉の語源・由来は、日本刀です。日本刀は刃の部分が真っすぐではなくカーブしていますよね。このカーブ(反り)の曲がり具合が鞘(さや・刀の刃を収納するケース)と合っていないと、刀身を収めることができません。

”刀の反りと鞘の曲がり具合があっていないために刀身が上手く収納できないこと”を、人間同士がしっくりいかない様子に例えたのが、この「反りが合わない」という言葉なのです。

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「反りが合わない」の使い方を例文とともに解説!

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次に、「反りが合わない」の使い方を解説します。ここでは例文とともに使い方を解説していきますね。「反りが合わない」は自分と誰か他の人(目上の人を含む)との関係はもちろん、第三者同士の関係にも使用できます

1.前の上司とは反りが合わず会社に行くのがストレスだったが、今の上司とは気が合うので仕事が楽しく、会社に行くのも苦ではなくなった。
2.石井くんとは小学校から大学まで一緒の学校だが、反りが合わないので中学生以降はほとんど話していない。
3.監督とキャプテンは反りが合わないようで、試合前はいつも作戦をめぐって口論になっている。

例文1と2は「自分と他の人との関係が上手くいっていない場合」に「反りが合わない」が使用されている例です。

例文1のように上司との反りが合わなかった場合は、仕事や会社に行くことが苦痛になっても仕方ありませんよね。上司と気が合わないのですから。例文2では、小学校から大学まで一緒の友人(知人?)との関係を述べていますが、反りが合わなければ話すこともほとんどないでしょう。気が合わない人とは話が合うことも少ないですよね。

例文3では、「第三者同士の関係が上手くいっていない場合」に「反りが合わない」が使用されている例です。いくらチームとはいえ、監督と選手がなぜか気が合わず、作戦面で揉めてしまうこともないとは言えないでしょう。

「反りが合わない」の類義語は?

続いて、「反りが合わない」の類義語をご紹介します。「反りが合わない」の類義語は「馬が合わない」と「折り合いが悪い」です。ここでは、それぞれの意味の解説や「反りが合わない」との比較を行っていきます。

「馬が合わない」:気が合わない

馬が合わない」は、「互いの気持ちが合わない、気が合わない」という意味の慣用句です。馬は、馬に乗る人間と馬の気持ちが一体にならなければ上手く乗って駆け抜けることができません。人と馬の気持ちが合わず上手くいかない様子を、人間同士の気が合わない様子に例えているのが「馬が合わない」ですね。

注意点として、「馬が合わない」は自身と目上の人との関係に使用すると、失礼と感じられる場合が多いです。自身と目上の人との気が合わない場合は、「反りが合わない」を使った方が無難でしょう。

「反りが合わない」との違いは、ほぼありません。

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「折り合いが悪い」:仲が悪い

「折り合いが悪い」は「人と人との関係が悪い、仲が悪い」という意味の慣用句です。ここで「折り合い」は「人と人との関係」を意味します。「反りが合わない」と同様に、自分と誰か他の人(目上の人を含む)との関係はもちろん、第三者同士の関係について言い表す時に使用可能です。

「反りが合わない」と使われる場面や意味はほぼ同じですが、ニュアンスが若干異なります。「反りが合わない」の方が、”考え方や相性が悪いために”関係が悪い…という理由の部分がより強いイメージです。

「反りが合わない」を英語で表現すると…

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次に、「反りが合わない」の英語表現を紹介します。「反りが合わない」の英語表現は「don't click」と「don't get along」です。それぞれのニュアンスを含めて、確認していきましょう。

「don't click」:人と人との関係や考えが噛み合わない

「don't click」は直訳すれば「クリックしない」となります。これだけではよく分かりませんよね。この表現は「click(クリック)」という単語を使うことで、「人と人との関係や考えが噛み合わない」、つまり「反りが合わない」ことを表します。

例文を見てみましょう。

1.Mr. Smith and I don't click. スミスさんと私は反りが合わない
2.My mother and brother don't click. 母と兄は反りが合わない

「don't get along」:仲良くやっていけない

「don't get along」にはその他いくつかの意味がありますが、「(人と)仲良くやっていけない、うまくやっていけない」という意味、つまり「反りが合わない」という意味を表すことができます。「don't click」と比べると、”何となく合わない”というニュアンスが強いです。

例文を見てみましょう。

1.My mother and sister don't get along and often argue. 母と姉は反りが合わず、よく口論している。
2.I don't get along with my boss. 上司と反りが合わない

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私たち反りが合わなくてなんかしっくりハマらない!

今回は「反りが合わない」について解説しました。「反りが合わない」は”何となくこの人とは合わない”というのを表現する慣用句です。学校や会社などで、どうしても考えや意見が合わず、互いに良くない雰囲気になってしまう人が1人はいることが多いですよね。その人との関係を表すのに使用できる言葉です。

「反りが合わない」人は、無理に合わせようとするのではなく、「他人は他人、自分は自分」という考えで接していくのが良いのかもしれません。

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国語言葉の意味

なぜ“反り”なんだろう?「反りが合わない」の意味や語源、類義語などを院卒日本語教師がわかりやすく解説

あなたの周りに「反りが合わない」と感じる人はいませんか?この「反りが合わない」は、簡潔に言えば「気心が合わない」という意味の慣用句です。ちなみに「反り」って何のことだか知っていますか?

今回はその「反りが合わない」の意味や語源、類義語などを、院卒日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「反りが合わない」の意味や語源は?

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「反りが合わない」という言葉、使われている場面を耳にしたことがある人も多いでしょう。実際に使ったことがある人も多いのではないでしょうか。しかし「反り」って何だと気になりませんか?まずは、その「反りが合わない」の意味や語源を再確認していきます。

「反りが合わない」の意味は「気心が合わない」

最初に、「反りが合わない」の辞書での意味を確認していきましょう。「反りが合わない」は辞書では次のような意味が掲載されています。

気心が合わない。互いの気持ちが合わない。

出典:明鏡ことわざ成句使い方辞典(大修館書店)「そりがあわない【反りが合わない】」

「反りが合わない」は、「気心が合わない、互いの気持ちが合わない」という意味の慣用句です。学校や会社で、自分と考え方や気質が異なる人で、どうしても一緒に上手くやれない人が1人はいるのではないでしょうか。そのような人との相性や関係について、”何となくこの人とは合わない”というのを表現するのが、この「反りが合わない」という慣用句です。

「反りが合わない」の語源は日本刀!

この「反りが合わない」という言葉の語源・由来は、日本刀です。日本刀は刃の部分が真っすぐではなくカーブしていますよね。このカーブ(反り)の曲がり具合が鞘(さや・刀の刃を収納するケース)と合っていないと、刀身を収めることができません。

”刀の反りと鞘の曲がり具合があっていないために刀身が上手く収納できないこと”を、人間同士がしっくりいかない様子に例えたのが、この「反りが合わない」という言葉なのです。

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