つくりで比べる北極と南極
北極と南極の大きな違いは氷なのか大陸なのかということにあります。南極は南極大陸と呼ばれていることからもわかるように大陸のひとつです。ちなみに大陸にはユーラシア大陸・アフリカ大陸・北アメリカ大陸・南アメリカ大陸・オーストラリア大陸・南極大陸の6つがありますね。
南極大陸の面積は約1400万㎢で日本の37倍ほどもあります。南極大陸はオーストラリア大陸(約760万㎢)よりもずっと広いのです。南極は厚い氷の層(氷床)に陸地が覆われています。氷床は平均して1800m、厚いところでは4000mもあるのです。ちなみに南極点がある地点の氷の厚さは2800mほどになります。
一方、北極圏には一部陸地も含まれるものの、基本的に北極は北極海に浮かぶ氷です。
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北極と南極どっちが寒い?
平均気温で比べると北極よりも南極の方が低く、地球の最低気温は南極で記録した-89.2℃となっています。ちなみにドライアイスが昇華する温度は-78.5℃、日本の最低気温は1902年に旭川で記録した-41.0℃なのでいかに南極が寒いかわかりますね。平均気温では北極が-25℃くらいなのに対して南極は-50~-60℃くらいです。この理由として海と陸地では海の方が冷えにくい、南極の方が標高が高いことがあげられます。
しかし近年では温暖化の影響なのか、平均気温が少しずつ上がってきているようです。ここ30年間の観測によると北極では10年ごとに0.5℃ほど上がっているというデータもあります。
生物で比べる北極と南極
続いて生物から北極と南極を比較してみましょう。
1.動物
北極の生き物と言えばホッキョクグマ(シロクマ)が有名ですね。他にホッキョクギツネ、ホッキョクウサギ、ホッキョクオオカミ、カリブー、セイウチ、オットセイ、クリオネ、アザラシなどがいます。意外なことに蚊やハエも夏場には発生するのです。北極にはかつてペンギンに似たオオウミガラスがいましたが、人間の乱獲によって1844年に絶滅してしまいました。
一方の南極。ペンギン、シャチ、カモメ、冷たい海中でも生きられるように進化した魚類などがいますが北極に比べると動物の種類が少ないです。南極にいるペンギンはペンギン界最大で真冬の南極で繁殖期を迎えるコウテイペンギンと小柄なアデリーペンギンですが、温暖化問題によってアデリーペンギンの減少が進んでいます。
また最近の研究で約4000万年前のカエルの化石が南極で見つかりました。4000万年前には南極も今とは違ってカエルが住める環境だったのかもしれませんね。
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2.植物
陸地が氷で覆われている北極、南極。植物を育てる土壌があまりなく、独特な植物も多くいるのです。
北極の高緯度にある地域の土壌は永久凍土(2年以上継続して0℃以下となる地盤)と言われています。ツンドラ(永久凍土が広がり、降水量が少ない地域)もあり、コケ植物や地衣類が育つのです。ちなみに永久凍土と言いますが夏になると表面の方は融けて植物が育ちます。南極も花をつける植物が少なく、地衣類やコケ類がメインです。しかしこのまま温暖化が進んだ場合、南極を訪れた人々の服や荷物についた植物の種が根付いて南極にもともとあった植物を脅かすかもしれないと言われています。
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探検で比べる北極と南極
北極圏には先住民の人々が住んでいましたが、北極点周囲については知られていませんでした。初めて人類が北極点に到達したのは1909年、今から100年ほど前のことです。アメリカのロバート・ピアリーが北極点に到達しました。
一方、南極の発見は1820年のことです。それまで南極は想像上の場所で、南の果てに大きな大陸があるだろうと言われていたものの、本当にあるのかわかっていませんでした。そんな伝説の南極大陸の発見は正確には明らかになっていないものの、1820年ごろと言われています。
そして1821年にはじめてアメリカのジョン・デイヴィスは南極半島に足を踏み入れました。そして1911年、ノルウェーのアムンセンが南極点に到達しました。このアムンセンは1926年に北極点にも到達し、史上初の両極店に到達した人物となったのです。そして1957年、日本の南極観測事業の基地昭和基地が作られました。
南極物語
南極の探検と言えば「南極物語」が有名です。映画化もしているので知っている人も多いでしょう。
1956年に第1次南極観測隊は犬ぞりを引くために22頭の樺太犬を連れて行きます。南極にいる間に途中帰国したり病死、行方不明となった犬もいました。また、南極で生まれた8頭の子犬もいたのです。
しかし1958年、南極観測隊はトラブルのために昭和基地に南極で生まれた子犬と母犬を除く15頭の犬を置いて帰ってこなければならなくなりました。それから1年後、再び観測に来た観測隊は樺太犬の兄弟であるタロとジロに再会します。タロとジロ以外の13頭のうち7頭は基地でつながれたまま亡くなり、残りの犬は消息不明となったそうです。その後タロは日本に帰国し、北海道大学で寿命を全うしました。タロの亡骸はその後、剥製となって北海道大学に展示されています。また、ジロは第4次越冬中の1960年に昭和基地で亡くなりました。
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