
「一言芳恩」
もう一つの類義語には、「一言芳恩(いちごんほうおん)」があります。ひとこと声をかけてもらったことを忘れずに感謝することという意味です。「芳恩」は人から受けた新設や恩義のことを表しています。なお、場合によっては、恩義を感じたその人を主人と仰ぐことという意味で使うこともありますよ。
遡って感謝するという意味の「飲水思源」に対して、「一言芳恩」は直接的に恩を受けた人に対する表現です。その違いはありますが、恩の大小に関係なく感謝の気持ちを持つというのは同じですね。
「飲水思源」の対義語は?
次に、「飲水思源」の対義語についての説明です。遡って感謝するという意味の「飲水思源」の対義語なので、感謝を忘れてしまうという対義語を見ていきましょう。
「得魚忘筌」
「飲水思源」の対義語には、「得魚忘筌(とくぎょぼうせん)」があります。意味は、魚を捕ってしまうと道具の筌(やな)のことは忘れてしまうということです。「筌」は水中に沈めて使う竹かごのことで、「魚を得て筌を忘る」と読み下します。
そこから、目的を達してしまうと、それまで役に立ったものを忘れてしまうという意味につながっていますよ。そのため、ちょうど「飲水思源」とは反対の意味です。
「狡兎良狗」
もう一つの対義語には、「狡兎良狗(こうとりょうく)」があります。役立つときはさんざん利用されて、不要になると見捨てられることという意味です。
「狡兎」はすばしこいウサギのこと、「良狗」は飼い主に忠実な猟犬のことを表しており、「狡兎死して走狗煮らる」と読み下します。ウサギが死んでしまうと、ウサギ狩りに使う猟犬は不要となるので煮て食べられてしまうということです。
「When you drink water, think of it’s source.」
「飲水思源」の英訳には、「When you drink water, think of it’s source.」があります。直訳すると「あなたが水を飲むとき、その水源について考えてみよう」です。「source」は「源、源泉、水源」などの意味がありますよ。
ほかには、「Don’t forget where your happiness comes from.」とすると「あなたの幸せがどこからやってきたのかを忘れるな」があります。今の自分があるのは誰のおかげか何のおかげかを思い出そうということです。ここで使われている「where」は、直前が動詞であることから関係副詞ではないことがわかります。この場合は、間接疑問文と考えて「SがどこでVするのか」と訳すといいですね。