この記事では「山高水長」について解説する。

端的に言えば山高水長の意味は「人の功績や人徳が長く語り継がれること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「山高水長」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「山高水長」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「山高水長」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「さんこうすいちょう」です。意味から語源や使い方まで見ていくと、理解が深まりますよ。

「山高水長」の意味は?

「山高水長」には、次のような意味があります。語源の前に、まずは現在よく使われている意味を正確につかんでおきましょう。

1.山が高くそびえ、川が長く流れるさま。高潔な人の功績や徳望が崇高で、長く人に仰がれることの形容。また、人の品性が広大で高潔なことの形容に用いられることもある。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「山高水長」

「山高」は山がどっしり高くそびえることで功績や徳望の高さを人から仰がれること、「水長」は川の水が絶えることなく流れるということで長く尽きることがないということを表しています。また、「山のごとく高く水のごとく長し」と読み下しますよ。

こういったことから、格別に功績のあった人や徳の高い人は末永く語り継がれるということにつながっています。

「山高水長」の語源は?

次に「山高水長」の語源を確認しておきましょう。

「山高水長」は、范仲淹(はんちゅうえん)によって書かれた『厳先生祠堂記(げんせんせいしどうのき)』に由来します。その中の北宋の范仲淹が後漢の厳光(げんこう)を褒め称えたときの言葉がありました。

范仲淹は「雲山蒼蒼、江水泱泱。先生之風、山高水長。」と表し、意味は「雲にそびえる山は青々とし、大河を流れる水はゆったりとしている。先生の遺風は高潔でありいつまでも伝わっていく。」ということです。

\次のページで「「山高水長」の使い方・例文」を解説!/

「山高水長」の使い方・例文

「山高水長」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。…などと文章を始めてください。

1.有事の際、特別に格安のカツ弁当を限定で用意したとんかつ専門店があった。この店の定食は以降も人気で、山高水長という通り地元では語り継がれている。
2.孔子は日本でも論語でみんなに知られている山高水長の代表であり、人類が続く限り永久に語られるのではないだろうか。

例文1.では、人々が困っているときに、とんかつ店が営業面を度外視して弁当を販売したのが好評で、地元では有名になり語り継がれているということです。例文2.のほうは、誰もが知る孔子について、誰もが知る論語によって永久に言い伝えられるのではないかということでした。

文法的な見方をすると、例文1.は「山高水長という…」、例文2.では「山高水長の…」ということで名詞として使われていることがわかります。

「山高水長」の類義語は?違いは?

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それでは、「山高水長」の類義語についての説明です。「山高水長」に近い意味合いの四字熟語がいくつかあるので、詳しく見ていきましょう。

「永垂不朽」

「山高水長」の類義語には、「永垂不朽(えいすいふきゅう)」があります。意味は、名声や業績などが末永く伝えられて決して滅びないことです。「永垂」は永く垂れると書いて永く続くこと、「不朽」のほうは名声や業績などが朽ち果てることなく続くことを表しています。

「山高水長」とほぼ同じ意味となっていますが、名声や業績は朽ち果てることなく続くと表現されていることから、あとあとまで永く続くという意味合いのほうが強調されていますね。

\次のページで「「万世不刊」」を解説!/

「万世不刊」

もう一つの類義語には、「万世不刊(ばんせいふかん)」があります。長く伝わりいつまでも滅びないという意味です。「万世」は永遠や永久ということ、「刊」は削るということから「不刊」で削られることがないということを表しています。紙が普及するまでの中国では竹や木に漆で字を書いていましたが、間違いや不要な部分を削って消したことが由来です。

「山高水長」のように業績や人徳についての表現ではありませんが、昔の中国の歴史や記録が書かれている木簡や竹簡は貴重なものですね。

「山高水長」の対義語は?

次に、「山高水長」の対義語についての説明です。対義語については、やや意味を広く展開させたものになりますが、二種類の対義語について一緒に見ていきましょう。

「諸行無常」

「山高水長」の対義語には、「諸行無常(しょぎょうむじょう)」があります。意味は、万物は常に変化し留まることがないということから、人生の無常のことです。「諸行」とは因縁により生じたこの世の一切の事物を表しています。

さらに、永遠に変わらないものはないというニュアンスもあるので、「山高水長」のようにいつまでも続かないかもしれないし、そもそも過去に評価されていたものが後世でも評価に値するとは限らないとも考えられますね。

「飛花落葉」

もう一つの対義語には、「飛花落葉(ひからくよう)」があります。この世の中が絶えず移り変わっていくことが無常であるという意味です。春に咲く花も風に吹かれて散ってしまい、青葉もやがては枯れ落ちてしまうということがもとになっています。

対義語としてはややズレがあるかにも思えますが、いつまでも続くという「山高水長」に対して、「飛花落葉」は絶えず移り変わる無常を表しているので対義語と言えそうです。

「山高水長」の英訳は?

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最後に、「山高水長」の英訳についての説明です。漢字の情報をそのまま英訳すると意味をとらえづらくなるので、意味が近い英訳を見ていきましょう。

「one's fame or achievements being passed down eternally」

「山高水長」の英訳には、「one's fame or achievements being passed down eternally」があります。直訳すると「名声や功績が永遠に伝えられること」です。「achievement」は「功績、実績」という意味合いで使われています。

意味合いからどうしても長めの表現になってしまい、おすすめの表現とは言えませんが、意味にバラツキはなく表すことができていますよ。

\次のページで「「山高水長」を使いこなそう」を解説!/

「山高水長」を使いこなそう

今回の記事では「山高水長」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「山高水長」の基本的な意味は、高潔な人の功績や徳望は長く語り継がれるということです

もとの意味と対義語はセットで逆の意味を表すので、対義語では長く続かないということでした。世の中が移り変わるために続かないということだったので、忘れられてしまうこともあるかもしれませんし、価値基準が変わって評価されなくなってしまうこともあるかもしれませんね。

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【四字熟語】「山高水長」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「山高水長」について解説する。

端的に言えば山高水長の意味は「人の功績や人徳が長く語り継がれること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「山高水長」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「山高水長」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「山高水長」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「さんこうすいちょう」です。意味から語源や使い方まで見ていくと、理解が深まりますよ。

「山高水長」の意味は?

「山高水長」には、次のような意味があります。語源の前に、まずは現在よく使われている意味を正確につかんでおきましょう。

1.山が高くそびえ、川が長く流れるさま。高潔な人の功績や徳望が崇高で、長く人に仰がれることの形容。また、人の品性が広大で高潔なことの形容に用いられることもある。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「山高水長」

「山高」は山がどっしり高くそびえることで功績や徳望の高さを人から仰がれること、「水長」は川の水が絶えることなく流れるということで長く尽きることがないということを表しています。また、「山のごとく高く水のごとく長し」と読み下しますよ。

こういったことから、格別に功績のあった人や徳の高い人は末永く語り継がれるということにつながっています。

「山高水長」の語源は?

次に「山高水長」の語源を確認しておきましょう。

「山高水長」は、范仲淹(はんちゅうえん)によって書かれた『厳先生祠堂記(げんせんせいしどうのき)』に由来します。その中の北宋の范仲淹が後漢の厳光(げんこう)を褒め称えたときの言葉がありました。

范仲淹は「雲山蒼蒼、江水泱泱。先生之風、山高水長。」と表し、意味は「雲にそびえる山は青々とし、大河を流れる水はゆったりとしている。先生の遺風は高潔でありいつまでも伝わっていく。」ということです。

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