この記事では「大山鳴動して鼠一匹」について解説する。

端的に言えば大山鳴動して鼠一匹の意味は「拍子抜け」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「大山鳴動して鼠一匹」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「大山鳴動して鼠一匹」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「大山鳴動して鼠一匹」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「大山鳴動して鼠一匹」の意味は?

「大山鳴動して鼠一匹」には、次のような意味があります。

前触れの騒ぎばかりが大きくて、実際の結果の小さいことのたとえ。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「大山鳴動して鼠一匹」

「大山鳴動して鼠一匹」とは「たいざんめいどうしてねずみいっぴき」と読むことわざ。「大山(たいざん)」は文字通り大きな山のことで、「鳴動(めいどう)」は大きな音で揺れ動くことです。

「大山鳴動して鼠一匹」とは「大きな山が大きく揺れ動いて何が起こるかと慌てたものの、出てきたのは鼠一匹だけだった」という状況をたとえたもので、大騒ぎのわりに結果は小さなものだった、という意味を持ちます。

そのため言葉のニュアンスとしては、「拍子抜け」「大したことはなかった」「期待外れ」「取り立てて言うほどでもない」といった意味が強く含まれた言葉です。使用する際はこれらの意味を踏まえておきましょう。

なお、「大山」は「泰山」と書くこともできます。「泰山」とは中国の山ではなく、「大山」同様大きな山のこと。そのためどちらを使用しても同じ言葉になります。

「大山鳴動して鼠一匹」の語源は?

次に「大山鳴動して鼠一匹」の語源を確認しておきましょう。このことわざの由来は実は西洋、古代ローマの詩人ホラティウスが述べた詩の一節にあります。

原文はラテン語で「Parturient montes, nascetur ridiculus mus. 」となっており、現代語で「山々は産気づいて、一匹のバカらしいハツカネズミが生まれる」という訳です。山がうごめき何事かと思いきや、出てきたのはハツカネズミ一匹だったということで、「大山鳴動して鼠一匹」と表されるようになりました。

\次のページで「「大山鳴動して鼠一匹」の使い方・例文」を解説!/

「大山鳴動して鼠一匹」の使い方・例文

「大山鳴動して鼠一匹」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.蒼白な顔をして座り込んでしまった友人に皆が心配したが、結局ただの二日酔いで大山鳴動して鼠一匹だった。
2.大山鳴動して鼠一匹にならないよう、物事は一度落ち着いて見直すべきだろう。
3.豪華賞品詰め合わせがもらえると言われて期待したが、大山鳴動して鼠一匹という内容だった。

「大山鳴動して鼠一匹」は“騒いだわりには大したことがない”という意味。例文1では何事もなくほっとした安堵のニュアンスもありますが、基本は拍子抜けや期待したのにがっかりしたというネガティブな表現で使われることが多い用語です。そのため2では戒め3ではつまらないものだったという意味で「大山鳴動して鼠一匹」が用いられています。

使いどころやニュアンスを間違えないよう、用いる際は注意しておきましょう。

「大山鳴動して鼠一匹」の類義語は?違いは?

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それではここで、「大山鳴動して鼠一匹」と似た意味を持つ言葉を見ていきましょう。

「蛇が出そうで蚊も出ぬ」

「蛇(じゃ)が出そうで蚊も出ぬ」とは、“何か大きなことが起きそうに思えても実際は何も起きない”ということわざ。大きなヘビが出るのではと恐ろしい予感があったものの、実際は蚊のような小さなものさえ出てこなかったというたとえが転じた言葉です。

何かあると思えば拍子抜けした、心配したほどのことは起こらなかったという意味でよく「大山鳴動して鼠一匹」の類義語として挙げられます。

\次のページで「「空騒ぎ」」を解説!/

「空騒ぎ」

「空騒ぎ(からさわぎ)」とは、大したことではないのに騒ぎ立てることを表現した言葉。また、騒いだわりに結果が伴わないことにも用いられます。

騒いだほどの結果につながらない、という意味はまさしく「大山鳴動して鼠一匹」と同様の意味です。これも類語表現と言えるでしょう。

「大山鳴動して鼠一匹」の対義語は?

「大山鳴動して鼠一匹」の反対の言葉とはどんな意味になるでしょうか。ここでは対義語について見ていきます。

「藪をつついて蛇を出す」

「藪(やぶ)をつついて蛇(へび)を出す」とは、“余計なことをして悪い結果を招くこと”を表す言葉。ここの「藪」とはヘビがいそうな場所を示しており、わざわざつつかなくてもよい場所をつついて状況を悪化させることを意味しています。

“何かあると思ったものの、期待外れで拍子抜けする結果だった”ことを表す「大山鳴動して鼠一匹」に対して、“何かあるとわかっていたのに、結果思った通りのことが起きる”ことを表す「藪をつついて蛇を出す」は反対の意味と言えるでしょう。

「大山鳴動して鼠一匹」の英訳は?

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最後に「大山鳴動して鼠一匹」の英語訳を確認していきましょう。

「The mountains have brought forth a mouse.」

「The mountains have brought forth a mouse.」は、「大山鳴動して鼠一匹」と同様の意味を持つ英語訳です。

直訳すると「山がネズミを動かした」となりますが、そもそもは元のラテン語を英語に訳したもので、英語でもひとつのことわざとして用いられます。

ことわざとして「大山鳴動して鼠一匹」を伝えたい際には、この表現を用いるのがおすすめです。

「Much ado about nothing」

「Much ado about nothing」“空しい大騒ぎ”を意味する英語表現です。「ado」とは“騒ぎ”を意味する単語で、「much ado」だけでも空騒ぎを意味しますが、そこに「about nothing」が加わることで“何もないのに”といったニュアンスが表現されます。

「大山鳴動して鼠一匹」を状況として表したい際には、こちらの表現を用いるのがいいでしょう。

ちなみに「Much Ado about Nothing」は、ウィリアム・シェークスピアの作品名としても有名な言葉です。

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「大山鳴動して鼠一匹」を使いこなそう

この記事では「大山鳴動して鼠一匹」の意味・使い方・類語などを説明しました。

最近ではSNSも普及し人々が簡単に情報を手に入れることもできます。しかし同時に情報の真偽が定かではなかったり、デマに踊らされるシーンもよく見られるようになりました。

「大山鳴動して鼠一匹」はそんな噂に振り回されてしまいがちな現代社会にも、戒めとして使える言葉かもしれません。

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【慣用句】「大山鳴動して鼠一匹」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「大山鳴動して鼠一匹」について解説する。

端的に言えば大山鳴動して鼠一匹の意味は「拍子抜け」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「大山鳴動して鼠一匹」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「大山鳴動して鼠一匹」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「大山鳴動して鼠一匹」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「大山鳴動して鼠一匹」の意味は?

「大山鳴動して鼠一匹」には、次のような意味があります。

前触れの騒ぎばかりが大きくて、実際の結果の小さいことのたとえ。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「大山鳴動して鼠一匹」

「大山鳴動して鼠一匹」とは「たいざんめいどうしてねずみいっぴき」と読むことわざ。「大山(たいざん)」は文字通り大きな山のことで、「鳴動(めいどう)」は大きな音で揺れ動くことです。

「大山鳴動して鼠一匹」とは「大きな山が大きく揺れ動いて何が起こるかと慌てたものの、出てきたのは鼠一匹だけだった」という状況をたとえたもので、大騒ぎのわりに結果は小さなものだった、という意味を持ちます。

そのため言葉のニュアンスとしては、「拍子抜け」「大したことはなかった」「期待外れ」「取り立てて言うほどでもない」といった意味が強く含まれた言葉です。使用する際はこれらの意味を踏まえておきましょう。

なお、「大山」は「泰山」と書くこともできます。「泰山」とは中国の山ではなく、「大山」同様大きな山のこと。そのためどちらを使用しても同じ言葉になります。

「大山鳴動して鼠一匹」の語源は?

次に「大山鳴動して鼠一匹」の語源を確認しておきましょう。このことわざの由来は実は西洋、古代ローマの詩人ホラティウスが述べた詩の一節にあります。

原文はラテン語で「Parturient montes, nascetur ridiculus mus. 」となっており、現代語で「山々は産気づいて、一匹のバカらしいハツカネズミが生まれる」という訳です。山がうごめき何事かと思いきや、出てきたのはハツカネズミ一匹だったということで、「大山鳴動して鼠一匹」と表されるようになりました。

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