この記事では「右往左往(うおうさおう)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「右往左往」の意味は「慌てふためく」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「右往左往」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「右往左往」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「右往左往」の意味や使い方を見ていきましょう。

「右往左往」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「右往左往」には、次のような意味があります。

あわてふためいて、あっちへ行ったり、こっちへ来たりすること。あわてて混乱した状態をいう。左往右往。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「右往左往」

「右往左往」の意味は、この熟語を構成する「往」の字に着目すると理解しやすくなります。というのも、「往」には「行く」という意味があるからです。

つまり、急なことに慌てて右へ行ったり左へ行ったりする光景をこの熟語は表しているといえます。また、「右」と「左」を入れ替えてつくられたのが、「左往右往(さおううおう)」です。

こちらの四字熟語もほぼ同じ意味で用いることができます。さらに、「右往左往」には別の読み方があるのはご存じでしょうか。

それが、「うおうざおう」です。後半の「さおう」が「ざおう」と濁っていますよね。このように、同じ四字熟語であっても読み方が複数存在することも珍しくはありません。

「右往左往」の使い方・例文

「右往左往」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「右往左往」の類義語は?違いは?」を解説!/

・泰平そのものかと思われた江戸湾に突如として姿を現した黒船の船団に対し、幕府の役人たちは一様に右往左往するばかりであった。

・特別会員限定の便利な機能が使えなくなったとのお問合せに、ただ右往左往するしかない専任スタッフたちの姿がそこにはあった。

・上得意のお客様からのご要望にお応えできないからと右往左往したところで、こちらサイドには何のメリットもないのではなかろうか。

「右往左往」の表す意味をしっかりと理解するには、二つのポイントがあります。ひとつめは、何らかの急な出来事に慌てているという点です。

まずは、この四字熟語の持つ意味をおさえておきましょう。もうひとつは、その出来事が何であるかをつかむことです。

ひとつめの例文では、黒船の船団が現れるという大事件が起きています。また、二つめの例文では会員限定の機能が使えなくなっているのがポイントです。

最後の例文で起きた出来事は、上得意客の要望に応えられないことでしょう。このように「なぜ」慌てているのかを的確につかめるようにしましょう。

#2 「右往左往」の類義語は?違いは?

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ところで、「右往左往」と似た意味を持ったことばにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、その中でも代表的なものを二つご紹介します。

「周章狼狽」

「周章狼狽(しゅうしょうろうばい)」は、「右往左往」の類義語の中でももっとも代表的なもののひとつです。この熟語には、予想外の出来事にひどく慌てるという意味があります。

この熟語を構成する「周章」と「狼狽」の意味は、どちらもひどく慌てるさまです。

「失魂落魄」

「失魂落魄(しっこんらくはく)」もまた、「右往左往」の類義語だといえるものです。こちらの四字熟語は、ひどく驚き慌てているさまを表します。

前半部の「失魂」の意味は、精神を司るたましいを失うことです。また、後半部の「落魄」には、肉体を司るたましいを落とすという意味があります。

つまり、精神と肉体の両方を司るたましいを無くすほど驚き慌てている様子を表しているというわけですね。

\次のページで「「右往左往」の対義語は?」を解説!/

モデルの人気投票を実施した結果が自分の理想とひどくかけ離れていることで、彼女は周章狼狽した。

失魂落魄といえば、初めて出したエントリーシートが誤字・脱字のオンパレードだったことを思い出す。

#3 「右往左往」の対義語は?

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では、「右往左往」対義語はいったいどのようにとらえればよいのでしょうか。ひどく慌てるの反対は、物事に動じず落ち着いていることだと考えられます。

ここでは、そのような意味を持つ四字熟語を二つほど見ていきましょう。

「泰然自若」

「泰然自若(たいぜんじじゃく)」は、「右往左往」の対義語の中でも代表格だといえるものです。この熟語には、落ち着いていて冷静さを失わないという意味があります。

前半部の「泰然」が表すのは、落ち着いていて物事に驚かないさまです。これは、「泰」の字が持つ「やすらか」や「おだやか」という意味からも分かります。

一方、後半部の「自若」はやや難しいかもしれませんね。この熟語は、慌てずに冷静でいるさまを表しています。

「余裕綽綽」

「余裕綽綽(よゆうしゃくしゃく)」もまた、「右往左往」の対義語だといえるものです。

この熟語の前半を構成する「余裕」は、多くの方が聞いたことのある熟語ではないでしょうか。そして、その表す意味も大方の予想通り、あせらずにゆったりしている様子です。

後半の「綽綽」は、ふだんあまりみかけることのない表現ではないでしょうか。実は、こちらにも落ち着いていてゆとりのあるさまという意味があります。

つまり、この四字熟語は似た意味を持つ熟語を二つ並べて作られているというわけですね。

関連する画像情報を検索しても何ひとつ出てこない状況にも、彼は泰然自若としていた。

監督は敗色濃厚の状況にも動揺する姿勢はまったく見せず、まさに余裕綽綽としていた。

#4 「右往左往」の英訳は?

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では、最後に「右往左往」の英語訳についても押さえておきましょう。

\次のページで「「run about in confusion」」を解説!/

「run about in confusion」

「run about in confusion」は、「右往左往」の英語訳の中でも代表的なもののひとつです。この英語表現を直訳すると「混乱して走り回る」となります。

これは、まさに「右往左往」の表している意味内容とほぼ同義であるといえるのではないでしょうか。

「go this way and that」

「go this way and that」もまた、「右往左往」の英語訳だといっていいでしょう。この英語表現の直訳は、「こっちへ行ったりあっちへ行ったり」です。

これは、まさに「右往左往」の意味にぴったりではないでしょうか。ただし、「ひどく慌てて」の意味がはっきりとは表されていないので、その辺りを補足してあげる必要があるかもしれません。

「右往左往」を使いこなそう

この記事では「右往左往」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語の表す意味は、突然のことにあわてふためく様子でしたね。

人間、生きていればすべてが自分の思い通りに進むなどということは、まずありえません。むしろ、想定外の出来事の方が多いという人もいるでしょう。

大切なのは、そのような想定外の事態に陥った場合、正しい情報を収集し的確に分析した後、素早い行動をとることではないでしょうか。みなさんも、この四字熟語を使う場面に遭遇したら、臆せずにどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「右往左往」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「右往左往(うおうさおう)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「右往左往」の意味は「慌てふためく」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「右往左往」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「右往左往」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「右往左往」の意味や使い方を見ていきましょう。

「右往左往」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「右往左往」には、次のような意味があります。

あわてふためいて、あっちへ行ったり、こっちへ来たりすること。あわてて混乱した状態をいう。左往右往。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「右往左往」

「右往左往」の意味は、この熟語を構成する「往」の字に着目すると理解しやすくなります。というのも、「往」には「行く」という意味があるからです。

つまり、急なことに慌てて右へ行ったり左へ行ったりする光景をこの熟語は表しているといえます。また、「右」と「左」を入れ替えてつくられたのが、「左往右往(さおううおう)」です。

こちらの四字熟語もほぼ同じ意味で用いることができます。さらに、「右往左往」には別の読み方があるのはご存じでしょうか。

それが、「うおうざおう」です。後半の「さおう」が「ざおう」と濁っていますよね。このように、同じ四字熟語であっても読み方が複数存在することも珍しくはありません。

「右往左往」の使い方・例文

「右往左往」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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