世の中にある物質を細かく見ていると原子に行きつく。物質によって構成する原子の種類は違い、物質を構成する基本となるものを元素という。例えば水は水素と酸素の2種類の元素からできている。

元素によって構成する陽子の数は異なる。元素を陽子の数、原子量の順(一部例外あり)に原子番号をつけて順番に並べたのが周期表です。そして周期表にみられる、性質が似た元素が周期的に表れることを周期律という。元素の並びにはその化学的、物理的性質による法則がみられる。

今回は元素を原子番号順に並べた時に見える規則や周期律の歴史について、理科教育に携わりたいと科学館職員になったたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

原子のつくりに興味を持ち、化学者に憧れていた工学部の化学系学科卒業のリケジョ。原子を構造ごとに並べると周期表ができることを自分の手で確認したことが大学時代で最も記憶に残る講義だったという科学館職員。量子力学の単位が取れず苦戦した。

原子とは

原子とは

image by Study-Z編集部

初めに原子のつくりを確認しましょう。

コトバンクを見ると原子は「原子核とマイナスの電荷をもつ電子からなる粒子。原子核はさらにプラスの電荷をもつ陽子と電荷のない中性子で構成される」とされています。原子は原子核と電子に分けることができるのです。この原子核は陽子によって正に荷電し、電子は負に荷電しています。そして原子核はさらに陽子と電気的に中性な中性子に分けることができるのです。

元素の種類は陽子の数によって決まっています。ちなみに中性子は同じ種類の元素でも異なる場合があり、例えば水素は99.99%が中性子を持たない質量数1の軽水素です。そして中性子をひとつ持つ重水素もわずかに存在しています。さらに水素は中性子を6つ持つ水素7までが実験室で合成され使われているのです。なお、三重水素は天然にもわずかに存在し、水素の原子量は1.008となっています。同じ種類の元素で中性子の数が異なるものを同位体と言うので覚えておきましょう。

原子と元素の意味が怪しい、という人はこちらの記事をどうぞ。

周期律の秘密!電子殻

周期律の秘密!電子殻

image by Study-Z編集部

原子が縦の族で性質が似ているのは、最外殻の電子の数が一緒になるからです。例えば1族(アルカリ金属)は最外殻電子を1つ持ち、2族のアルカリ土類金属は最外殻電子を2つ持っています。原子核の周りには電子が入る電子殻があり、原子核から近い順にK殻、L殻と名前が付けられていて、殻ごとに入ることのできる電子の数は決まっているのです。

現在確認されている最も外側の電子殻は7番目のQ殻ですが、8番目の電子殻の存在が予想されています。電子殻に入る最大の電子数はn番目の殻で2n2です。例えば1番目のK殻に入ることのできる電子の数は2個で、一番電子が入ることのできる7番目のQ殻で2×72で98個になります。

ところで、電子殻は内側から詰めて入っていくわけではありません。電子殻の中には優先順位があり、それにのっとった順序で入るからです。そのため、例えば銀の元素はまだN殻に空きがあるのにO殻に入ります。

周期表の歴史

周期表の歴史

image by Study-Z編集部

2020年5月現在、118個の元素が確認され周期表に載っています。2016年には日本の研究グループが発見、命名した原子番号113番「ニホニウム(Nh)」も新元素として正式に認められました。

周期表と聞いてほとんどの人が思い浮かべるのはロシアの化学者、メンデレーエフでしょう。ドミトリ・イヴァーノヴィチ・メンデレーエフは1869年に当時発見されていた63種類の元素を原子量順に並べて、周期的に性質が現れることに気が付きこれに周期律と名付けました。そしてそのことからこれから発見されるであろう新しい元素の存在を予想したのです。

例えばアルミニウムの下に来る元素をエカアルミニウムとしてその性質を予言しました。のちに発見されたその元素の性質はほとんどメンデレーエフの予想通りで、ガリウムと名付けられました。最初は受け入れられなかったメンデレーエフの周期表でしたが、メンデレーエフの予想通りの元素ガリウムが見つかったことで評価されるようになったのです。

メンデレーエフと周期表についてはこちらの記事を参考にしてください。

メンデレーエフが予想した元素についてはこちらでどうぞ。

image by PIXTA / 41776431

メンデレーエフよりも前に周期表を作成、発表した人物がいます。イギリスの研究者、ジョン・ニューランズです。ニューランズは原子を原子量順に並べ、8番目ごとに似た性質の元素が現れるという「オクターブの法則(音階律)」を1965年に提唱しました。

周期表から見える元素の規則

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周期表の縦の並びを、横の並びを周期といいます。元素は同族、同周期で似た性質を持っているので、同族・周期ごとに元素の性質を覚えていきましょう。

同族元素についてはこちらの記事も読んでくださいね。

アルカリ金属

周期表の一番左端にある、第1族の元素のことを水素を除いてアルカリ金属と呼びます。該当するのはリチウムナトリウムカリウムルビジウム、セシウム、フランㇱウムの6つの元素です。アルカリ金属元素は最も外側にある電子殻(最外殻)に入る電子の数がひとつだけという特徴を持っています。

アルカリ金属についてはこちらの記事を参考にしてください。

アルカリ土類金属

アルカリ土類金属はアルカリ金属の隣、第2族の元素のうちカルシウムストロンチウムバリウム、ラジウムが該当します。化合物として天然に素材している元素です。アルカリ金属とアルミニウム化合物の中間の性質を持ち、アルミニウム化合物が土から得られることからアルカリ土類金属と名付けられました。

ハロゲン

右から2番目、17族の元素をハロゲンといいます。最外殻の電子が安定するのに1つ足りない状態で、1価の陰イオンとなりやすいことが特徴です。

ハロゲンにはフッ素(気体)塩素(気体)臭素(液体)ヨウ素(個体)、アスタチンテネシンがあります。アスタチンとテネシンはまだ研究が進んでおらず、どのような外観かなどまだあまりわかっていません。ちなみに常温で液体の元素は臭素と水銀だけです。

\次のページで「希ガス」を解説!/

希ガス

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周期表の一番右、18族に属する元素を希ガスと呼びます。ヘリウムネオンアルゴン、クリプトンキセノンラドンオガネソンが該当する元素です。空気にほとんど含まれていないまれな気体という意味で希ガスと名付けられ、化学反応を起こしづらいことから不活性ガスともいわれています。

金属元素・非金属元素

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元素は金属元素非金属元素に分けられ、元素の多くは金属元素です。周期表を見ると、水素を除いて1族から12族は金属元素であり、右上の方に非金属元素があります。金属元素と非金属元素の両方の性質を持った元素は両性元素といい、アルミニウムや亜鉛、スズ、鉛が当てはまるのです。

遷移元素・典型元素

周期表を見て4周期以降に現れる3族から11族に属する元素を遷移元素といいます。遷移元素はすべて金属元素で、最外殻元素が1、2個のものです。一方、典型元素は1、2族と12族から18族にある元素のことで、1、2族は水素以外は金属元素、12族から18族には金属元素と非金属元素が混ざっています。

遷移元素についてはこちらを参考にしてくださいね。

周期律に沿って覚えれば元素の性質は理解できる!

周期表を見ると同じ族、周期で似た性質の元素が現れます。元素の性質を理解することは化学の理解につながるので、化学を勉強するときはまず周期表をしっかりと眺めてください。

元素の特徴は原子核の周りにある電子殻に入る電子の数に由来しています。原子のつくりもしっかりと理解しましょう。

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化学

「周期律」って何?周期律の秘密を科学館職員がわかりやすく解説

世の中にある物質を細かく見ていると原子に行きつく。物質によって構成する原子の種類は違い、物質を構成する基本となるものを元素という。例えば水は水素と酸素の2種類の元素からできている。

元素によって構成する陽子の数は異なる。元素を陽子の数、原子量の順(一部例外あり)に原子番号をつけて順番に並べたのが周期表です。そして周期表にみられる、性質が似た元素が周期的に表れることを周期律という。元素の並びにはその化学的、物理的性質による法則がみられる。

今回は元素を原子番号順に並べた時に見える規則や周期律の歴史について、理科教育に携わりたいと科学館職員になったたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

原子のつくりに興味を持ち、化学者に憧れていた工学部の化学系学科卒業のリケジョ。原子を構造ごとに並べると周期表ができることを自分の手で確認したことが大学時代で最も記憶に残る講義だったという科学館職員。量子力学の単位が取れず苦戦した。

原子とは

原子とは

image by Study-Z編集部

初めに原子のつくりを確認しましょう。

コトバンクを見ると原子は「原子核とマイナスの電荷をもつ電子からなる粒子。原子核はさらにプラスの電荷をもつ陽子と電荷のない中性子で構成される」とされています。原子は原子核と電子に分けることができるのです。この原子核は陽子によって正に荷電し、電子は負に荷電しています。そして原子核はさらに陽子と電気的に中性な中性子に分けることができるのです。

元素の種類は陽子の数によって決まっています。ちなみに中性子は同じ種類の元素でも異なる場合があり、例えば水素は99.99%が中性子を持たない質量数1の軽水素です。そして中性子をひとつ持つ重水素もわずかに存在しています。さらに水素は中性子を6つ持つ水素7までが実験室で合成され使われているのです。なお、三重水素は天然にもわずかに存在し、水素の原子量は1.008となっています。同じ種類の元素で中性子の数が異なるものを同位体と言うので覚えておきましょう。

原子と元素の意味が怪しい、という人はこちらの記事をどうぞ。

周期律の秘密!電子殻

周期律の秘密!電子殻

image by Study-Z編集部

原子が縦の族で性質が似ているのは、最外殻の電子の数が一緒になるからです。例えば1族(アルカリ金属)は最外殻電子を1つ持ち、2族のアルカリ土類金属は最外殻電子を2つ持っています。原子核の周りには電子が入る電子殻があり、原子核から近い順にK殻、L殻と名前が付けられていて、殻ごとに入ることのできる電子の数は決まっているのです。

現在確認されている最も外側の電子殻は7番目のQ殻ですが、8番目の電子殻の存在が予想されています。電子殻に入る最大の電子数はn番目の殻で2n2です。例えば1番目のK殻に入ることのできる電子の数は2個で、一番電子が入ることのできる7番目のQ殻で2×72で98個になります。

ところで、電子殻は内側から詰めて入っていくわけではありません。電子殻の中には優先順位があり、それにのっとった順序で入るからです。そのため、例えば銀の元素はまだN殻に空きがあるのにO殻に入ります。

周期表の歴史

周期表の歴史

image by Study-Z編集部

2020年5月現在、118個の元素が確認され周期表に載っています。2016年には日本の研究グループが発見、命名した原子番号113番「ニホニウム(Nh)」も新元素として正式に認められました。

周期表と聞いてほとんどの人が思い浮かべるのはロシアの化学者、メンデレーエフでしょう。ドミトリ・イヴァーノヴィチ・メンデレーエフは1869年に当時発見されていた63種類の元素を原子量順に並べて、周期的に性質が現れることに気が付きこれに周期律と名付けました。そしてそのことからこれから発見されるであろう新しい元素の存在を予想したのです。

例えばアルミニウムの下に来る元素をエカアルミニウムとしてその性質を予言しました。のちに発見されたその元素の性質はほとんどメンデレーエフの予想通りで、ガリウムと名付けられました。最初は受け入れられなかったメンデレーエフの周期表でしたが、メンデレーエフの予想通りの元素ガリウムが見つかったことで評価されるようになったのです。

メンデレーエフと周期表についてはこちらの記事を参考にしてください。

image by PIXTA / 41776431

メンデレーエフよりも前に周期表を作成、発表した人物がいます。イギリスの研究者、ジョン・ニューランズです。ニューランズは原子を原子量順に並べ、8番目ごとに似た性質の元素が現れるという「オクターブの法則(音階律)」を1965年に提唱しました。

周期表から見える元素の規則

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周期表の縦の並びを、横の並びを周期といいます。元素は同族、同周期で似た性質を持っているので、同族・周期ごとに元素の性質を覚えていきましょう。

同族元素についてはこちらの記事も読んでくださいね。

アルカリ金属

周期表の一番左端にある、第1族の元素のことを水素を除いてアルカリ金属と呼びます。該当するのはリチウムナトリウムカリウムルビジウム、セシウム、フランㇱウムの6つの元素です。アルカリ金属元素は最も外側にある電子殻(最外殻)に入る電子の数がひとつだけという特徴を持っています。

アルカリ金属についてはこちらの記事を参考にしてください。

アルカリ土類金属

アルカリ土類金属はアルカリ金属の隣、第2族の元素のうちカルシウムストロンチウムバリウム、ラジウムが該当します。化合物として天然に素材している元素です。アルカリ金属とアルミニウム化合物の中間の性質を持ち、アルミニウム化合物が土から得られることからアルカリ土類金属と名付けられました。

ハロゲン

右から2番目、17族の元素をハロゲンといいます。最外殻の電子が安定するのに1つ足りない状態で、1価の陰イオンとなりやすいことが特徴です。

ハロゲンにはフッ素(気体)塩素(気体)臭素(液体)ヨウ素(個体)、アスタチンテネシンがあります。アスタチンとテネシンはまだ研究が進んでおらず、どのような外観かなどまだあまりわかっていません。ちなみに常温で液体の元素は臭素と水銀だけです。

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