この記事では「熟読玩味」について解説する。

端的に言えば熟読玩味の意味は「文章をよく読みじっくりと考えて味わうこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「熟読玩味」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「熟読玩味」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「熟読玩味」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「じゅくどくがんみ」です。意味のほか、語源や使い方まで幅広くチェックしていきますよ。

「熟読玩味」の意味は?

「熟読玩味」には、次のような意味があります。もとの意味もありますが、まずは基本的な意味から確実に見ていきましょう。

1.文章や物事の意味をよく考えて、じっくり味わうように十分理解すること。また、反芻(はんすう)してその道理を見極めること。

出典:四字熟語辞典(学研)「熟読玩味」

「熟読」は繰り返し読んだり詳しく読んだりすること、「玩味」は料理をよく味わって食べることを表しています。もともと「玩」の漢字は「もてあそぶ、あじわう」という意味です。

本や詩文を一度読むだけで終わるのではなく繰り返したり丁寧に読むこと、さらには、食べ物を味わうかのようにその内容や事柄についてよく考えることという意味合いにつながっています。

「熟読玩味」の語源は?

次に「熟読玩味」の語源を確認しておきましょう。

「熟読玩味」は、1187年に朱熹(しゅき)の指示のもと劉子澄(りゅうしちょう)によって編纂された『小学(しょうがく)』の嘉言に由来します。『小学』とは、中国の初等教育機関の教科書として使われたものです。

そこには、「『論語(ろんご)』や『孟子(もうし)』を読むときには、熟読してその意味をよく考え、聖人の言葉を自分に当てはめてみることが必要である」という内容が書かれています。「じっくり読んで、よく考えて、自分に当てはめる」ことが大切ということですが、昔も読むだけで貫属してしまう人が多かったからこその言葉なのかもしれませんね。

\次のページで「「熟読玩味」の使い方・例文」を解説!/

「熟読玩味」の使い方・例文

「熟読玩味」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。文法的な側面からも確認していきますよ。

1.特別なことをしなくても、読書で熟読玩味することによって知識や教養は身につく。
2.たくさんの情報を詰め込むことばかりではなく、熟読玩味の習慣をつけることが大切だ。

例文1.では、読書において丁寧に考えながら読むことによって自然と知識や教養が身につくということです。例文2.のほうでは、情報を入れるばかりではなく考えたり自分に当てはめてみることが大切だということを表しています。

文法的に見てみると、例文1.は「熟読玩味する」と動詞化した表現、例文2.では「熟読玩味の…」と名詞として使っていますよ。いずれもよく使われる表現です。

「熟読玩味」の類義語は?違いは?

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それでは、「熟読玩味」の類義語についての説明です。近い意味の四字熟語がいくつかあるので、一緒に見ていきましょう。

「韋編三絶」

「熟読玩味」の類義語には、「韋編三絶(いへんさんぜつ)」があります。意味は、何度も繰り返して熱心に本を読むことです。「韋編」は文字が書かれた木簡や竹簡を皮の紐でくくった古代中国の書物のこと、「三絶」は三度もしくは何度も断ち切れてしまうことを表しています。

孔子(こうし)が易を熟読したためにその書をくくった皮の紐が何度も切れたことが由来となっていますよ。「韋編三度絶つ」と訓読します。

\次のページで「「読書百遍」」を解説!/

「読書百遍」

もう一つの類義語には、「読書百遍(どくしょひゃっぺん)」があります。難解な文章でも繰り返し読んでいるうちに意味が自然とわかってくるという意味です。「百遍」は百回のことで回数が多いことを表しています。

「読書百遍」は、「読書百遍意自ずから通ず」という表現の略です。この表現は、中国の三国時代に魏(ぎ)の董遇(とうぐう)が弟子に読書の重要性を説いたときの話が『魏志(ぎし)』に残されています。

「熟読玩味」の対義語は?

次に、「熟読玩味」の対義語についての説明です。「熟読玩味」の対義語や関連する語はたくさんありますが、代表的なものを一緒に見ていきましょう。

「望文生義」

「熟読玩味」の対義語には、「望文生義(ぼうぶんせいぎ)」があります。意味は、文字の字面を見ただけで意味を深く考えず文章や語句の意味を勝手に解釈することです。また、「文を望みて義を生ず」と訓読します。

「望」は遠く見ることなので詳細に見る意識がないこと、「生」は生むということから無かったものを勝手に生み出したことがよくわかりますね。

「字引学問」

もう一つの対義語には、「字引学問(じびきがくもん)」があります。一つ一つの文字や言葉を知っているだけで活用することを知らない学問という意味です。

「字引」とは辞書のことなので調べたことはわかっているものの、考察したり、実際に自分に置き換えてみたり試してみたりということが不足しているということになります。「熟読玩味」のように本を読むときの言葉に限定している四字熟語ではありませんが、意味としてはちょうど反対になっていますね。

「熟読玩味」の英訳は?

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最後に、「熟読玩味」の英訳についての説明です。言語が違う言葉を英語訳となりますが、意味の近い表現を紹介していきますよ。

「reading carefully with appreciation」

「熟読玩味」の英訳には、「reading carefully with appreciation」があります。直訳すると「理解をもって注意深く読むこと」です。「appreciation」は「鑑賞」という意味もあるので「鑑賞や吟味する力をもって」というイメージでとらえるといいですね。

ほかには「giving a careful perusal」があり、直訳すると「注意深く熟読すること」です。「perusal」は「熟読、精読」という意味があります。

\次のページで「「熟読玩味」を使いこなそう」を解説!/

「熟読玩味」を使いこなそう

今回の記事では「熟読玩味」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「熟読玩味」の基本的な意味は、文章や物事の意味をじっくりと理解することでした。昔も今も読むだけではなく、そのことについて考えたり自分に当てはめてみることで身につくということですね。

日本では、幕末に輝きを放った吉田松陰も「善の善に至らざるは、熟の一字を闕(か)く故なり」と言っていました。読むだけでなく「熟す」ことが大切ということですね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「熟読玩味」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「熟読玩味」について解説する。

端的に言えば熟読玩味の意味は「文章をよく読みじっくりと考えて味わうこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「熟読玩味」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「熟読玩味」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「熟読玩味」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「じゅくどくがんみ」です。意味のほか、語源や使い方まで幅広くチェックしていきますよ。

「熟読玩味」の意味は?

「熟読玩味」には、次のような意味があります。もとの意味もありますが、まずは基本的な意味から確実に見ていきましょう。

1.文章や物事の意味をよく考えて、じっくり味わうように十分理解すること。また、反芻(はんすう)してその道理を見極めること。

出典:四字熟語辞典(学研)「熟読玩味」

「熟読」は繰り返し読んだり詳しく読んだりすること、「玩味」は料理をよく味わって食べることを表しています。もともと「玩」の漢字は「もてあそぶ、あじわう」という意味です。

本や詩文を一度読むだけで終わるのではなく繰り返したり丁寧に読むこと、さらには、食べ物を味わうかのようにその内容や事柄についてよく考えることという意味合いにつながっています。

「熟読玩味」の語源は?

次に「熟読玩味」の語源を確認しておきましょう。

「熟読玩味」は、1187年に朱熹(しゅき)の指示のもと劉子澄(りゅうしちょう)によって編纂された『小学(しょうがく)』の嘉言に由来します。『小学』とは、中国の初等教育機関の教科書として使われたものです。

そこには、「『論語(ろんご)』や『孟子(もうし)』を読むときには、熟読してその意味をよく考え、聖人の言葉を自分に当てはめてみることが必要である」という内容が書かれています。「じっくり読んで、よく考えて、自分に当てはめる」ことが大切ということですが、昔も読むだけで貫属してしまう人が多かったからこその言葉なのかもしれませんね。

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