この記事では「得意満面(とくいまんめん)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「得意満面」の意味は「自慢げな顔つき」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「得意満面」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「得意満面」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「得意満面」の意味や使い方を見ていきましょう。

「得意満面」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「得意満面」には、次のような意味があります。

自慢する気持ちが顔中に現れていること。得意でたまらないこと。また、そういう顔つき。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「得意満面」

さらに、この四字熟語を構成する「得意」についても引用しておきます。

1.望みがかない満足していること。
2.誇らしげな・こと(さま)。
3.上手で、そのことに自信もある・こと(さま)。えて。おてのもの。
4.商店などで、よく品物を買ってくれる客。
5.親しい友

出典:大辞林 第三版(三省堂)「得意」

「得意満面」について、その表す意味内容をもう少し詳しく見ていきます。まず、前半部の「得意」の方から。

上で引用したように、「得意」にはさまざまな意味があります。中でも今回「得意」が表しているのは、2番目の誇らしげなさまです。

では、もう一方の「満面」には、どのような意味があるのでしょうか。「満」は全部・全体のことを表し、「面」は顔面のことを表します。

これらを合わせると、「満面」の意味が顔全体であることが分かるでしょう。この「得意」と「満面」の意味を合わせたものが、「得意満面」の意味だというわけです。

「得意満面」の使い方・例文

「得意満面」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・自分ひとりの力だけで見事にカブトムシを捕えてきた息子の表情は、まさに得意満面という言葉がぴったりだった。

・決勝ゴールを決めたその日本代表選手は、インタビュアーに対して勝利の喜びを得意満面で語ってくれたという。

得意満面といえば、先輩からもらったというボールを健太が部室でこっそりと見せてくれたときのことを思い出す。

「得意満面」になるには、それなりに誇らしさを感じた要因があるはずです。それを読み解くことが、この四字熟語をきちんと理解したことの証明になります。

最初の例文では、ひとりでカブトムシを捕えられたことが得意な気持ちになった要因でしょう。二つめは、もちろん決勝ゴールを決めたことですね。

最後の例文で描かれているのは、先輩からボールをもらって得意がっている健太君の姿です。いずれにしても、他の人に自慢したくなる経験をしていますよね。

#2 「得意満面」の類義語は?違いは?

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ところで、「得意満面」似たような意味を持った四字熟語にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、その中でもよく用いられているものを二つ紹介していきます。

\次のページで「「喜色満面」」を解説!/

「喜色満面」

「喜色満面」は、「得意満面」の類義語の中でも代表的なもののひとつです。この四字熟語には、嬉しさが顔中にあふれているという意味があります。

「喜色」は、喜びの表情という意味です。「色」には、表情や顔つきという意味があります。

「満面」については、「得意満面」で説明してあるものと同様です。

「意気揚揚」

「意気揚揚」もまた、「得意満面」の類義語といえる存在です。この四字熟語には、誇らしげに振舞う様子という意味があります。

前半部の「意気」が表すのは、物事を成し遂げようという気持ちです。そこに、あがる・高まるという意味を持つ「揚」が二つ重なっています。

こうすることで、意味を強めているのですね。

・劇場公開初日に行われた舞台挨拶で、人気俳優陣がみんな喜色満面で撮影時のエピソードを語っていた姿が印象に残っている。

・ご覧の通り、あなたの教え子たちは家族や先生方の期待に応えられたことで、意気揚揚と帰りのバスに引き揚げてきましたよ。

#3 「得意満面」の対義語は?

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では、「得意満面」の対義語は一体どのようにとらえればよいのでしょうか。「得意満面」なときは、まさに誇らしさと嬉しさで気持ちが高まっているといえます。

したがって、その反対は何らかの原因で気持ちが萎えてしまっている様子だといえそうです。ここでは、そのような意味合いを持った四字熟語を二つほど紹介していきます。

「意気消沈」

「意気消沈(いきしょうちん)」は、「得意満面」の対義語の中でもっとも分かりやすいもののひとつです。「意気」には、気力気概といった意味があります。

一方、「消沈」が表すのは、沈んでいくことです。つまり、この四字熟語全体では、気持ちが落ち込んでしまうという意味だと分かります。

現代の若者言葉にすると「テンションが下がる」に相当するものでしょうか。

「失望落胆」

「失望落胆(しつぼうらくたん)」もまた、「得意満面」の対義語として十分に通用するものです。この四字熟語を構成するもののうち、「失望」には希望が失われてしまうことを意味します。

もう一方の「落胆」が表す意味は、期待外れでがっかりしてしまうことです。これらを合わせると、希望が失われて落ち込むという意味が浮かび上がってきます。

では、これらの対義語を用いた例文をチェックしておきましょう。

\次のページで「「得意満面」の英訳は?」を解説!/

・優勝候補と言われながらもまさかの逆転負けを喫したんだ、彼女の所属するチームが意気消沈するのも無理はないさ。

・検定結果が再び不合格と出てしまったことで、松島君の顔全体に落胆失望の色が広がっていくのが目に浮かぶようだ。

#4 「得意満面」の英訳は?

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最後に、「得意満面」の英語訳についても押さえておきましょう。ここでは、代表的なものを二つご紹介していきます。

「with a proud look」

「with a proud look」は、「得意満面」の英語訳としてよく用いられるもののひとつです。この表現は、「誇らしげな表情で」と直訳されます。

「proud」は「pride」の形容詞形で、「誇らしい」「自慢の」という意味を持つものです。また、「look」は動詞ではなく、「表情」を表す名詞として用いられています。

「得意満面」の「満」の意味までは表していませんが、相手に大意は伝わりますので問題ありません。

「as proud as a peacock」

「as proud as a peacock」もまた、「得意満面」の英語訳だといって差し支えありません。こちらを直訳すると「クジャクのように誇らしく」です。

どうしてクジャクなのかについては、理由があります。ご存じのように、クジャクの雄の特徴は豪華絢爛で色とりどりの羽を持つことです。

この羽を堂々と広げた姿が、誇らしくみえることからこの表現が生まれました。

「得意満面」を使いこなそう

この記事では「得意満面」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語の表す意味は、誇らしげな気持ちが顔中に現れている様子でしたね。

人間は自分の思い通りにいったときや、思わぬ幸運に巡り合えたときなど、他人に対してつい自慢したくなるものです。ところが、それをあまり快く思わない人がいるのもまた事実でしょう。

逆に自分自身が「得意満面」に話していたことを相手は苦々しく思っているかもしれません。要は、程度と頻度の問題ですね。

みなさんも、今回の「得意満面」を用いる機会に恵まれたら、臆せずにどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「得意満面」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「得意満面(とくいまんめん)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「得意満面」の意味は「自慢げな顔つき」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「得意満面」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「得意満面」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「得意満面」の意味や使い方を見ていきましょう。

「得意満面」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「得意満面」には、次のような意味があります。

自慢する気持ちが顔中に現れていること。得意でたまらないこと。また、そういう顔つき。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「得意満面」

さらに、この四字熟語を構成する「得意」についても引用しておきます。

1.望みがかない満足していること。
2.誇らしげな・こと(さま)。
3.上手で、そのことに自信もある・こと(さま)。えて。おてのもの。
4.商店などで、よく品物を買ってくれる客。
5.親しい友

出典:大辞林 第三版(三省堂)「得意」

「得意満面」について、その表す意味内容をもう少し詳しく見ていきます。まず、前半部の「得意」の方から。

上で引用したように、「得意」にはさまざまな意味があります。中でも今回「得意」が表しているのは、2番目の誇らしげなさまです。

では、もう一方の「満面」には、どのような意味があるのでしょうか。「満」は全部・全体のことを表し、「面」は顔面のことを表します。

これらを合わせると、「満面」の意味が顔全体であることが分かるでしょう。この「得意」と「満面」の意味を合わせたものが、「得意満面」の意味だというわけです。

「得意満面」の使い方・例文

「得意満面」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・自分ひとりの力だけで見事にカブトムシを捕えてきた息子の表情は、まさに得意満面という言葉がぴったりだった。

・決勝ゴールを決めたその日本代表選手は、インタビュアーに対して勝利の喜びを得意満面で語ってくれたという。

得意満面といえば、先輩からもらったというボールを健太が部室でこっそりと見せてくれたときのことを思い出す。

「得意満面」になるには、それなりに誇らしさを感じた要因があるはずです。それを読み解くことが、この四字熟語をきちんと理解したことの証明になります。

最初の例文では、ひとりでカブトムシを捕えられたことが得意な気持ちになった要因でしょう。二つめは、もちろん決勝ゴールを決めたことですね。

最後の例文で描かれているのは、先輩からボールをもらって得意がっている健太君の姿です。いずれにしても、他の人に自慢したくなる経験をしていますよね。

#2 「得意満面」の類義語は?違いは?

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ところで、「得意満面」似たような意味を持った四字熟語にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、その中でもよく用いられているものを二つ紹介していきます。

\次のページで「「喜色満面」」を解説!/

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