この記事では「挙国一致」について解説する。

端的に言えば「挙国一致」の意味は「国全体が一つにまとまること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「挙国一致」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「挙国一致」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「挙国一致」の意味・使い方を見ていきましょう。

「挙国一致」の意味は?

「挙国一致」には、次のような意味があります。

一つの目的のために国全体が一体となること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「挙国一致」

「挙国(きょこく)」は、「国全体」もしくは「国民全て」のこと。「一致(いっち)」は、くいちがいなく同じであることという意味。「挙国一致」は国全体が一つになることから、国民全員が心を一つにして団結するという意味の四字熟語として用いられるようになりました。

「挙国一致」は国全体を差していることから、政治関連で使う四字熟語だと思われるかもしれません。しかし、日本に限らず、世界情勢を伝えるためにニュースでは今でも使われています。「挙国一致」が使われている国は、非常事態であるといってよいでしょう。また、ネガティブな使い方だけとは限りません。オリンピックなど、国全体で大規模なイベントを成功させたい時なども、ポジティブな意味合いで「挙国一致」を使うことができます。

「挙国一致」の使い方・例文

「挙国一致」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「挙国一致」の類義語は?」を解説!/

1.未曽有の困難に立ち向かう時こそ、挙国一致体制であるべきだ。

2.挙国一致でオリンピックを成功させよう。

3.国民を守るために、緊急対策として挙国一致内閣が発足された。

「挙国一致」は、戦時中によく使われていましたが、現在でも国民全員が一体となって物事に当たる場合に用いられています。代表格が「挙国一致内閣」でしょう。国会は多数の政党で成り立っていますが、戦争や経済大恐慌などの危機状況が発生した場合、政党同士で対立している場合ではありませんよね。そこで、事態解決のために反対党も含めて構成される内閣を「挙国一致内閣」と言うようになりました。

海外でも例は多くありますが、日本では五・一五事件後の昭和7年に成立した斎藤実内閣があります。敗戦まで続いた内閣であり、戦争で勝つためにスローガンとして「挙国一致」が使われたといえるでしょう。ほかにも、青年将校が反乱を起こした二・二六事件後に成立した広田弘毅内閣などがあります。ただし、実際には勢力を集めただけで、残念ながら理想的な「挙国一致内閣」とはならなかったようですね。

「挙国一致」の類義語は?

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「挙国一致」のような、国全体を差す四字熟語はほかに存在しません。そこで今回は、「団結する」という意味合いで類義語をみていきましょう。

「一致団結」

「一致団結」は、日常でよく使われています。意味は、多くの人が一丸となって力を合わせること。「団結」という言葉自体が、一つにまとまるという意味になります。さらに「一致」が加わることによって、心が一つにまとまっている様子を強調しているといえますね。「一致団結」は組織や団体など、規模関係なく使うことができます。社員の気持ちをまとめたい時こそ、「一致団結」を使って呼びかけてみてください。

「挙党一致」

「挙国一致」は「国」でしたが、「挙党一致(きょとういっち)」は「政党」になります。意味は、政党内が一致団結して物事に当たること。もしくは、政党派閥の違いをこえて協力し合うという意味になります。「挙党」とは、党全体のことであり、党をあげて物事にあたること。よく「挙党体制で挑む」などと使われています。

当然のことではありますが、国の方針を決めるのは政府ですよね。やはり、規模が大きければ大きいほど、一つにまとめるのは大変な作業です。「挙国一致」を呼びかけるよりは、「挙党一致」を呼びかけたほうが早いのではないでしょうか。緊急事態の時こそ、問題解決に向けて「挙党一致」で臨むべきだといえるでしょう。

\次のページで「「挙国一致」の対義語は?」を解説!/

「挙国一致」の対義語は?

「挙国一致」は、国全体が一つになるという意味ですから、反対の意味となると「国が一つにならない」となるはずです。さすがに、そのような悲しい意味の四字熟語は存在しません。そこで今回は、国規模でなくとも「意見がまとまらない」や「ばらばらになる」といった意味合いで対義語をみていきましょう。

「甲論乙駁」

会議などで、打開策を提案したにも関わらず、すぐに反対するような人が身近にいるのではないでしょうか。「甲論乙駁(こうろんおつばく)」の意味は、互いに論じてばかりで、議論の決着がつかないこと。「甲が論じて、乙が反駁(はんばく)する」という言葉から生まれた四字熟語になります。

「甲」や「乙」といった表現は、契約書などでよく使われていますよね。端的に言ってしまえば、「あなた(甲)」と「私(乙)」だと思ってください。「論ずる」とは、筋道を立てて説明すること。「反駁」とは、他人の主張や批判に対して論じ返すという意味になります。「甲論乙駁」して結論がでなかった場合に使ってみてください。

「四分五裂」

「四分五裂(しぶんごれつ)」の意味は、いくつにも分かれること。もしくは、秩序なくばらばらになるという意味になります。すなわち、ばらばらに分かれる様子から、秩序が乱れて統一できなくなっているといえますね。「四」に分けたものが「五」に裂けてしまうわけですから、いかにまとまりがないか、想像できるのではないでしょうか。

非常事態にも関わらず「挙国一致」するどころか、国の状態が「四分五裂」したら大変です。規模関係なく、部署やチームがばらばらになってしまいそうな時に「四分五裂」を使って状況を表現してみてください。

「挙国一致」の英訳は?

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では、「挙国一致」を英訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

「national unity」

national」は「国民の」や「国家全体の」という意味。「unity」は「統一」や「結束」という意味になります。2つの言葉を繋げて「national unity」とすれば、「挙国一致」として使うことができるでしょう。「挙国一致」以外にも「国家統一」として用いられることもあります。

\次のページで「「挙国一致」を使いこなそう」を解説!/

「挙国一致」を使いこなそう

この記事では「挙国一致」の意味・使い方・類語などを説明しました。「挙国一致」は、日常で頻繁に使われる四字熟語ではありません。それでも、覚えておいて損はない四字熟語ではないでしょうか。なぜなら、「挙国一致」が使われる時は、大抵は手を貸して欲しいと、応援を求められている場合が多いからです。やはり、物事の規模が大きければ大きいほど、多くの人に協力してもらわなければ、解決することも成し遂げることもできませんよね。だからこそ、「挙国一致」で臨まなければいけないといえるでしょう。

「挙国一致」が使われる時は、決して他人事で終わらせてはいけません。協力するかどうかは、相手の意見にしっかりと耳を傾けて、よく考えたうえで判断してみてください。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「挙国一致」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「挙国一致」について解説する。

端的に言えば「挙国一致」の意味は「国全体が一つにまとまること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「挙国一致」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「挙国一致」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「挙国一致」の意味・使い方を見ていきましょう。

「挙国一致」の意味は?

「挙国一致」には、次のような意味があります。

一つの目的のために国全体が一体となること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「挙国一致」

「挙国(きょこく)」は、「国全体」もしくは「国民全て」のこと。「一致(いっち)」は、くいちがいなく同じであることという意味。「挙国一致」は国全体が一つになることから、国民全員が心を一つにして団結するという意味の四字熟語として用いられるようになりました。

「挙国一致」は国全体を差していることから、政治関連で使う四字熟語だと思われるかもしれません。しかし、日本に限らず、世界情勢を伝えるためにニュースでは今でも使われています。「挙国一致」が使われている国は、非常事態であるといってよいでしょう。また、ネガティブな使い方だけとは限りません。オリンピックなど、国全体で大規模なイベントを成功させたい時なども、ポジティブな意味合いで「挙国一致」を使うことができます。

「挙国一致」の使い方・例文

「挙国一致」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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