この記事では「月下氷人」について解説する。

端的に言えば「月下氷人」の意味は「男女の間を取り持つ人のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「月下氷人」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「月下氷人」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「月下氷人(げっかひょうじん)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「月下氷人」の意味は?

「月下氷人」には、次のような意味があります。

《「月下老人」と「氷人」との合成語》男女の縁を取り持つ人。仲人(なこうど)。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「月下氷人」

「月下氷人」は、「男女の縁を取り持つ人のこと」を指す四字熟語です。単語でなら「仲人(なこうど)」や「媒酌人(ばいしゃくにん)」と言うこともできます。

このような意味を持つ理由は、中国の故事から作られた言葉であるため。次の語源の項で詳しくご紹介しますので、確認してください。

熟語を分解しても意味が想像できる言葉ではないため、暗記によって覚えていない人と確実に差が付くでしょう。平易な漢字が使われている点も、問題を作る側としては使いやすいポイントです。ここでしっかり暗記してしまいましょう。

余談ですが、似た言葉に「月下美人(げっかびじん)」というものもありますが、これは全く別のもの。混同にも注意です。

「月下氷人」の語源は?

「月下氷人」は「月下老人」と「氷人」という言葉を合成したものと言われており、それぞれの由来を簡単に説明します。作品名までは細かすぎるため、参考に留めてもいいでしょう。

「月下老人」は、唐の伝奇小説集『続玄怪録(ぞくげんかいろく)』から。

韋固(いこ)という人物が月夜に老人と出会い、運命の相手を予言されるという話です。その老人は婚姻を司る神様のような存在で、男女を赤い縄で結ぶそう。「赤い糸で結ばれている」という言葉のルーツを見ることもできる面白い話です。

「氷人」は、中国晋王朝についての歴史書『晋書(しんじょ)』から。

令狐策(れいこさく)という人物の「夜中に氷の上に立ち、氷の下の人と話す」という夢を、占い師に「誰かの結婚の世話をすることになる」と解説され、その通りになるという話です。氷の上下が陽陰を表し、それを繋ぐ役目をするということだそう。

これら「仲人、媒酌人」を意味する「月下老人」「氷人」がまずあり、その後、混同されて「月下氷人」という四字熟語が生まれたのではと考えられています。

\次のページで「「月下氷人」の使い方・例文」を解説!/

「月下氷人」の使い方・例文

「月下氷人」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・いつもお世話になっている大切な上司に、月下氷人のお願いをしに行ったら、とても喜んでくれた。

・あの青年は、将来結婚したいと考えている彼女との結婚式に、月下氷人を誰にお願いすべきかもう悩んでいて、呆れられている。

・新老夫婦がみんなの前でたくさんのお礼を述べ、特に月下氷人を務めて頂いた先生は恋愛の達人でたくさんアドバイスをもらいました、と言って笑いを誘った。

男女の間を取り持つ人、仲立ち」のイメージが伝わりますでしょうか。

先に述べたように、このような言葉は知識として知っていることが問題を解くカギになります。例文があれば、何か「人」のことを指すということはわかるかもしれませんが、咄嗟に出てこないことも。十分注意しましょう。

他にもありがちな間違いは、「月」や「氷」が入っている為、何か情景を表した言葉では、と判断してしまうことです。「月下氷人」に線が引いてあって、「同じ意味を持つ単語を次の選択肢の中から選びなさい」という問題は十分に考えられます。「仲人、媒酌人」という言葉も耳慣れないようであれば、一緒に覚えてしまいましょう。

もし興味があれば、自分なりに検索して物語を読んでみるのもいい方法です。こうした言葉はガチガチに暗記するよりも、ストーリーを楽しみながら読んだりする方が、記憶に定着しやすいでしょう。

「月下氷人」の類義語は?違いは?

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「月下氷人」の類義語としては、語源の項で登場した「月下老人」がいいでしょう。他の表現も合わせてご紹介します。

「月下老人」

既に解説している通り、これは「結婚の仲立ちをする人、男女の間を取り持つ人」のこと。

他にも四字熟語ではありませんが、「仲人」、「媒酌人」はお伝えしていますね。それ以外では「月下翁(げっかおう)」という言葉もあります。これも「月下老人」と同じ故事から作られた言葉ですので、どれほど当時の人々に影響力があったのかと驚くべきものがありますね。

他にも「キューピッド役になる、務める」などもありますが、古臭い表現かもしれません。これらは全て同じ意味の言葉ですので、まとめて押さえてしまいましょう。

\次のページで「「月下氷人」の対義語は?」を解説!/

「月下氷人」の対義語は?

「月下氷人」の対義語は見つかりませんでした。「仲立ちをする人」などを指す言葉ですから、反対の意味がないのは当然の事でもありますね。

「月下氷人」の英訳は?

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「月下氷人」の英語表現には、「go-between」「matchmaker」などが考えられます。

「go-between」「matchmaker」

「go-between」は「仲介者、仲立ちをする人」を意味する単語。「matchmaker」は「結婚の仲介人、斡旋(あっせん)人」、他にも「試合の組み合わせを決める人」などの意味を持つ単語です。

「仲人」だけでなく、似た働きをする人のことを指すのにも使えます。以下の例文で確認してみてくださいね。

My dad is already nervous because he will act as a go-between for their marriage.
お父さんは、彼らの結婚式の仲人をするということで、もう緊張している。

She seems to play matchmaker, but she is in trouble all the time.
彼女は恋のキューピッド役を演じているつもりのようだが、いつもトラブルを起こしてばかりだ。

「月下氷人」を使いこなそう

この記事では「月下氷人」の意味・使い方・類語などを説明しました。「仲立ちをする人」を意味する単語も、たくさん学ぶことが出来ましたね。

例文解説の項で「情景を表す言葉と間違う」可能性があると述べましたが、古代ではそうした情景と、男女の運命を結び付きを示すロマンティックなシーンは切っても切れないものだったのかもしれませんね。

語源を知ってから読むと、趣の深さがわかる四字熟語です。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「月下氷人」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校講師がわかりやすく解説!

この記事では「月下氷人」について解説する。

端的に言えば「月下氷人」の意味は「男女の間を取り持つ人のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「月下氷人」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「月下氷人」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「月下氷人(げっかひょうじん)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「月下氷人」の意味は?

「月下氷人」には、次のような意味があります。

《「月下老人」と「氷人」との合成語》男女の縁を取り持つ人。仲人(なこうど)。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「月下氷人」

「月下氷人」は、「男女の縁を取り持つ人のこと」を指す四字熟語です。単語でなら「仲人(なこうど)」や「媒酌人(ばいしゃくにん)」と言うこともできます。

このような意味を持つ理由は、中国の故事から作られた言葉であるため。次の語源の項で詳しくご紹介しますので、確認してください。

熟語を分解しても意味が想像できる言葉ではないため、暗記によって覚えていない人と確実に差が付くでしょう。平易な漢字が使われている点も、問題を作る側としては使いやすいポイントです。ここでしっかり暗記してしまいましょう。

余談ですが、似た言葉に「月下美人(げっかびじん)」というものもありますが、これは全く別のもの。混同にも注意です。

「月下氷人」の語源は?

「月下氷人」は「月下老人」と「氷人」という言葉を合成したものと言われており、それぞれの由来を簡単に説明します。作品名までは細かすぎるため、参考に留めてもいいでしょう。

「月下老人」は、唐の伝奇小説集『続玄怪録(ぞくげんかいろく)』から。

韋固(いこ)という人物が月夜に老人と出会い、運命の相手を予言されるという話です。その老人は婚姻を司る神様のような存在で、男女を赤い縄で結ぶそう。「赤い糸で結ばれている」という言葉のルーツを見ることもできる面白い話です。

「氷人」は、中国晋王朝についての歴史書『晋書(しんじょ)』から。

令狐策(れいこさく)という人物の「夜中に氷の上に立ち、氷の下の人と話す」という夢を、占い師に「誰かの結婚の世話をすることになる」と解説され、その通りになるという話です。氷の上下が陽陰を表し、それを繋ぐ役目をするということだそう。

これら「仲人、媒酌人」を意味する「月下老人」「氷人」がまずあり、その後、混同されて「月下氷人」という四字熟語が生まれたのではと考えられています。

\次のページで「「月下氷人」の使い方・例文」を解説!/

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