自分が「ゆとり」と定義されることにストレスを感じることなく、新しい生き方を実現する若者も。その代表が人気ユーチューバーです。そんな「ゆとり世代」に関連することを、現代社会に詳しいライターひこすけと一緒に解説していきます。
- 「ゆとり世代」が批判の対象となるのはなぜ?
- 学習量と授業時間が一気に減少した時代
- 「ゆとり世代」はマスコミにより造られた概念
- 「ゆとり世代」が生まれた背景とは?
- 詰め込み教育に対する反省
- 社会で生きぬくための「考える力」を重視
- 「ゆとり世代」の学校生活
- 週2日の休日が保証された学校生活
- 「総合的な学習の時間」のグループワークが増加
- デジタルネイティブ第一世代である「ゆとり世代」
- 学生時代からインターネットで情報共有
- SNSが主要なコミュニケーションツールとなる
- 大学全入時代の「ゆとり世代」の進路
- 大学入学のハードルが下がった「ゆとり世代」
- キャリア教育を通じて生き方を探る
- 選択肢が増えた「ゆとり世代」の就職活動
- 終身雇用神話の崩壊とベンチャー企業の増加
- 上の世代とギャップがある?「ゆとり世代」
- 「ゆとり世代」が進化されたユーチューバービジネス
- ユーチューバー黄金時代を作った「ゆとり世代」
- 企業広告のあり方を一気に変える可能性も
- 「ゆとり世代」はリモートワークの主力人材?
- ITスキルが高い「ゆとり世代」
- 会社との関係性の変化を歓迎する人も
- 「ゆとり世代」の評価はこれから
この記事の目次
ライター/ひこすけ
文化系の授業を担当していた元大学教員。専門はアメリカ史・文化史。現代社会を学ぶとき「ゆとり世代」を避けて通ることはできない。「ゆとり世代」は固定観念により作り出されたものという一面も。明確な理由もなくネガティブに定義されるが、本当にそうなのだろうか?キーワードとともにまとめてみた。
「ゆとり世代」が批判の対象となるのはなぜ?
「ゆとり世代」という言葉は、基本的にいい意味では使われません。「勉強ができない」「やる気がない」「会社をすぐ辞める」など、ネガティブなイメージがあります。それはどうしてなのでしょうか。
学習量と授業時間が一気に減少した時代
日本の学校教育は、1980年代ごろから徐々に学習量を減らしてきました。そのため「ゆとり世代」の定義は諸説ありますが、厳密には2002年度に新しくなった小中学校の学習指導要領による授業を受けている世代のことを指します。
新しい学習指導要領は、学校で習う知識の量を厳選しながら減らしました。それに伴い、学校で授業を受ける時間も減少。ゆとり世代は、ほとんどの科目において「習っているもの」の数が圧倒的に少ないと言われています。
「ゆとり世代」はマスコミにより造られた概念
「ゆとり世代」という言葉は、文部科学省が正式に使っているわけではありません。また、学習指導要領が改訂されるとき、この概念が登場することもなし。ゆとりある教育を目指しているわけではないのです。
この言葉を使いだしたのがマスコミ。学習量が大幅に減ったことで、深刻な学力低下があることを指摘する記事などで「ゆとり教育」という言葉が登場。そこから「ゆとり世代」という概念が生まれました。
「ゆとり世代」が生まれた背景とは?
どうして日本の学校では学習量を大幅に減らすことにしたのでしょうか。もともと以前から学校の現場では、ゆとりある教育の必要性を唱える声がありました。
詰め込み教育に対する反省
それまでの学習指導要領に従って授業を行うと、暗記だけになることが問題視。同時に、不登校、いじめ、自殺、非行、落ちこぼれの問題も指摘されました。
その原因として浮かび上がったのが詰め込み教育。ゆとりがない生活を送っているから、子どもの社会性がなくなる、自立できなくなる、自己中心的になるなどして、これらの問題が起こるのだと考えられました。
社会で生きぬくための「考える力」を重視
これらの問題を解決するために、新たなミッションとして示されたのが「生きる力」。知識を詰め込むだけでは「生きる力」が備わらないため、学習量を減少させました。
「生きる力」を備えるために授業の方法に変化が生じます。とくに重視されたのが「考える力」。正解とされる知識を暗記するのではなく、自分の力で考えて正解や考えに行きつくことが大切であるとされました。
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