この記事では「謹厳実直」について解説する。

端的に言えば「謹厳実直」の意味は「つつしみ深く、真面目なこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「謹厳実直」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「謹厳実直」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「謹厳実直(きんげんじっちょく)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「謹厳実直」の意味は?

「謹厳実直」には、次のような意味があります。

[名・形動]つつしみ深くまじめで正直であること。また、そのさま。「謹厳実直な勤めぶり」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「謹厳実直」

漢字を分解して意味を確認すると、「謹厳」は「つつしみ深く厳格であること」。「実直」は「誠実で正直、律儀であること」。両者が合わさって、「つつしみ深く、真面目で正直なこと。その様子」と言う意味の四字熟語になります。

「つつしみ深い」を更に解説するなら、「差し出がましくない。控え目であること」です。「謹厳実直な人」と言った場合は、出しゃばることなく、真面目で正直者のイメージになるでしょう。

それぞれの単語だけでも熟語として使われますが、四字熟語になることで、更に意味が強まっています。基本的には褒め言葉にはなりますが、やや堅いニュアンスも感じられるかもしれません。

ネガティブな場合は、「融通が利かない」や「話が分からない堅物(かたぶつ)」といった意味を持つようになるでしょう。詳しい使い方は次の例文でご紹介しますので、合わせて確認してください。

また、「謹厳(きんげん)」はあまり耳慣れない言葉です。読みにも注意しておきましょう。

「謹厳実直」の使い方・例文

「謹厳実直」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「謹厳実直」の類義語は?違いは?」を解説!/

・毎日一番に登校して、掃除や挨拶を欠かさない生徒会長の謹厳実直さは、生徒だけではなく先生からも人気を集めている。

・彼は寺の生まれで厳しいしつけで育ったせいか、生真面目というレベルを超えて謹厳実直な言動と性格で周囲から浮いている。

・あなたはいつも謹厳実直過ぎて一緒にいると息がつまりそう、と彼女は言って去っていった。

正直、丁寧であること。生真面目な様子」というニュアンスが伝わりますでしょうか。

先に述べた通り、基本的には褒め言葉として使われる四字熟語ですが、表現の仕方によってはネガティブな意味も含むようになるでしょう。例文の二番目や三番目のように「~過ぎる」と付いていると、特にわかりやすいはずです。

読解で出題された場合は、良い意味なのか悪い意味なのかを読み解くのは、一つのポイントとなるでしょう。「(あの人は)真面目なのはいいんだけれど、真面目過ぎて話が通じず不便だ」のように、話者の不満が読み取れるかもしれませんね。

それとは逆に、「謹厳実直で温厚な人柄」というようにプラスのイメージの言葉とセットで使われていれば、その性質を評価している内容にもなるでしょう。

皆さんも誰かを「真面目な人」と言う場合に、色々な意味を含ませることができるのは想像ができるでしょう。言葉の暗記だけでなく、文脈から推測できるようにしてくださいね。

「謹厳実直」の類義語は?違いは?

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「謹厳実直」の類義語には、「謹言慎行(きんげんしんこう)」「謹厳重厚(きんげんじゅうこう)」などがありますが、ここでは「四角四面」をご紹介します。

「四角四面」

「四角四面(しかくしめん)」は、「非常にまじめなこと。きわめて堅苦しいこと。ようす」を意味する四字熟語。この言葉をご紹介したのは、試験で出題されやすい特徴をもっているからです。

意味を聞いてから「四角四面」の漢字を見れば簡単に納得できるでしょうが、その逆はなかなか難しいはず。非常に簡単な漢字のため、色々な想像ができてしまうからです。

先に述べた同義語は、「謹厳実直」とほぼ同じであることは、漢字を見てもわかりますね。問題として出題されやすいのは、むしろこちらのパターンなのです。選択問題などで選ばされることも考えられますから、しっかり覚えてしまいましょう。

「謹厳実直」の対義語は?

「謹厳実直」の対義語には、「放縦懶惰」がいいでしょう。

\次のページで「「放縦懶惰」」を解説!/

「放縦懶惰」

「放縦懶惰(ほうしょうらんだ)」は、「勝手気ままに振る舞い、遊びふける様子」を指す四字熟語です。真面目で堅かった「謹厳実直」とは真逆の意味になりますね。

「放縦」は「ほうじゅう」とも読み、「気ままな、わがままなこと」という意味を持つ単語です。読みが問われることもあります。

「懶惰」は「怠ける(なまける)、怠る(おこたる)こと」ですが、まず一般的には使用されない漢字と言っていいでしょう。書きも読みもかなりの高レベルのため、「放縦」をまず押さえておくのが良いかと思います。

「謹厳実直」の英訳は?

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「謹厳実直」の英訳には「serious and honest」などがいいでしょう。明確に決まった言い方はありませんので、文脈から判断して、単語を変えることが出来ます。その使い方も合わせて確認してください。

「serious and honest」

「serious and honest」で「生真面目で誠実な」という意味になります。他の似た意味の言葉で「sober」や「sincere」に入れ替えても構いません。

「謹厳実直」の意味については、例文解説の項で良い意味にも悪い意味にも取れるとご紹介しました。ややネガティブな意味で言いたければ、たとえば「堅苦しい」という「proper」などを使ってもいいかもしれません。

英語の場合は単語から意味を推測できますので、日本語で「謹厳実直」と言うよりも言いたいことがわかりやすいはずです。英作文をする場合は、文脈によって表現を変えることを意識してください。

She was so serious and honest that she was considered uncooperative.
彼女は謹厳実直すぎて、協力的ではないとみなされてしまった。

「謹厳実直」を使いこなそう

この記事では「謹厳実直」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「真面目で誠実」と、ポジティブな意味を持つ四字熟語ではありますが、どことなく堅いニュアンスも感じられますね。「厳しい」や「実直」などの漢字が入っているからでしょうか。遊びが無くて、融通が利かないイメージなのかもしれません。

自分のプライドや信念を守る為には真面目に、他の人には誠実にできたら、本当の意味で「謹厳実直」になるかもしれませんね。できることなら、いい意味で使いたい言葉です。

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【四字熟語】「謹厳実直」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校講師がわかりやすく解説!

この記事では「謹厳実直」について解説する。

端的に言えば「謹厳実直」の意味は「つつしみ深く、真面目なこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「謹厳実直」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「謹厳実直」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「謹厳実直(きんげんじっちょく)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「謹厳実直」の意味は?

「謹厳実直」には、次のような意味があります。

[名・形動]つつしみ深くまじめで正直であること。また、そのさま。「謹厳実直な勤めぶり」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「謹厳実直」

漢字を分解して意味を確認すると、「謹厳」は「つつしみ深く厳格であること」。「実直」は「誠実で正直、律儀であること」。両者が合わさって、「つつしみ深く、真面目で正直なこと。その様子」と言う意味の四字熟語になります。

「つつしみ深い」を更に解説するなら、「差し出がましくない。控え目であること」です。「謹厳実直な人」と言った場合は、出しゃばることなく、真面目で正直者のイメージになるでしょう。

それぞれの単語だけでも熟語として使われますが、四字熟語になることで、更に意味が強まっています。基本的には褒め言葉にはなりますが、やや堅いニュアンスも感じられるかもしれません。

ネガティブな場合は、「融通が利かない」や「話が分からない堅物(かたぶつ)」といった意味を持つようになるでしょう。詳しい使い方は次の例文でご紹介しますので、合わせて確認してください。

また、「謹厳(きんげん)」はあまり耳慣れない言葉です。読みにも注意しておきましょう。

「謹厳実直」の使い方・例文

「謹厳実直」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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