地球温暖化、石油の枯渇などエネルギーに関わる課題はたくさんある。これらの問題を解決するには天然の資源を活用した、化石燃料の代替となるエネルギーが必要です。

新たなエネルギーのキーワードになるのが「再生可能」と「クリーン」です。いくら新しいエネルギーが開発されても人間が作ることができなければいずれ枯渇してしまうし、自然を汚すエネルギーでは環境問題を解決できない。

そこで今回は新エネルギーについて科学館職員のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

不思議な現象を解明する科学が好きで理系に進んだリケジョ。高校、大学で化学漬けの日々を送りつつ家庭教師のバイトをしていた科学館職員。

新エネルギーとは?

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新エネルギーとは平成9年に施行された「新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法」(新エネルギー法)によるとバイオマス、太陽熱利用、太陽光発電、雪氷熱利用、地熱発電、風力発電などのことを指します。

これらのエネルギーの特徴は再生可能、ということです。化石燃料は使い続ければ無くなります。一方新エネルギーは太陽光や植物など自然と供給されているものや育てられるものを活用しているので、なくなる心配がありません。そのため新エネルギーを再生可能エネルギー、化石燃料のように限りある資源を枯渇性エネルギーともいいます。また石油に代わるという意味で代替エネルギーということがありますが、この場合石炭なども含まれるため代替エネルギーは必ずしも新エネルギーを意味するとは限りません。

バイオマス燃料

バイオマス燃料

image by Study-Z編集部

二酸化炭素に含まれた炭素を循環させる」という概念がカーボンニュートラルです。

石油や石炭などの化石燃料を使うと二酸化炭素が放出されます。放出された二酸炭素やそのほかの排出ガスによって地球温暖化、大気汚染はどんどん進んでしまうのです。植物は二酸化炭素を使って光合成して酸素を作りますね。そのため植物由来の燃料は使って二酸化炭素が排出しても循環させることができ、石油燃料のように一方的に地上にある炭素を増やすことはありません。

バイオマス燃料のメリットはカーボンニュートラルに加えてごみを減らせるということが挙げられます。生ごみや古紙、廃材といったゴミを資源として活用できるのです。

バイオエタノール

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バイオマスを発酵させて作るバイオエタノール。バイオマスにはセルロースと呼ばれる糖がたくさん含まれています。それを発酵させてエタノールにするのです。

このバイオエタノールは実際にガソリンと混合させて車を動かす燃料をに使われている国もあります。ガソリンと混合することでガソリンの使用量を減らしているのです。

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バイオディーゼル

バイオディーゼル(BDF)は植物の油脂類を原料としたディーゼルエンジンの燃料のことです。ディーゼルエンジンは軽油を燃料としています。この燃料の特徴は硫黄酸化物の排出を減らせるということです。バイオディーゼルは普通の軽油よりも二酸化炭素の排出量を減らすことができます。

ガソリンに比べて燃費が良くて安いというのがディーゼルエンジンのメリット。その一方、車本体の値段はディーゼルエンジン車の方が高いという課題があります。

バイオガス

燃えやすく発電に活用されているバイオガス。メタン菌によって家畜の糞尿、生ごみ、さらに下水の汚泥までもがバイオガスの原料となっています。バイオガスの50~75%がメタンガスであり、残りのほとんどが二酸化炭素です。このガスを燃焼させ、電力にすることができます。

新エネルギーの種類・発電方法

#1 太陽光発電

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太陽の光をエネルギーに変化する太陽光発電。蓄電しやすいのが特徴で、一般家庭にも太陽光パネルを取り付けられることから災害時の発電手段としても有効です。太陽光発電は光が当たると物質の内部に電子が生いて電流が流れます。

太陽光電池の始まりは19世紀のフランス。この頃は太陽光の1%程度しかエネルギーに変換することができませんでした。その後の技術の進歩により、現在では30%程度の変換効率で太陽光を電気に変えられるものもあるのです。今後は2030年までに40%の変換効率を目指している企業もあります。

#2 太陽熱利用

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熱源として太陽光を集めて発電する太陽熱発電。基本的な構造は火力発電と一緒でお湯を沸かしてその蒸気でタービンを回すというものです。太陽熱発電の場合、集熱器という部分に集められた太陽光によって内部の水が暖められ沸騰して水蒸気となります。そしてこの蒸気がタービンを回すのです。この蒸気は冷えて水に戻り、再び蒸気となってタービンを回し発電を繰り返し行うことができます。

燃料を使わず二酸化炭素などの排出ガスが出ないのが特徴です。太陽熱春電にはいろいろな構造があります。効率よく太陽のエネルギーを電力に変更できる一方、広い土地が必要なことが課題。そのため、日本ではなじみがない発電方法です。

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#3 雪氷熱利用

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豪雪地帯では厄介者の雪。雪かきするのも大変です。この雪をなんとエネルギーとして利用することができます。

昔、氷室(洞窟や掘った穴を使い、冷たいまま保管できる場所)を使って氷を保存して使っていました。冷蔵庫の普及でそのような現在ではほとんど使われなくなりましたが、エネルギー問題が深刻な今、電力を使わずに天然の氷や雪を使った冷却方法が再び注目されています。

#4 地熱発電

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地球内部の熱を利用する地熱発電。地熱によって生成された水蒸気を使ってタービンを回して電力を発生させています。温泉地である大分県には地熱発電所が日本で最も多くあるのです。さらに日本最大の地熱発電所も八丁原発電所もあります。

#5 風力発電

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世界中で行われている風力発電。人間の手によらず発生し尽きることのない風エネルギーは、人間の歴史と共にあります。ヨットや帆船は風を受けて動きますね。そして風車は紀元前36世紀にはエジプトで使われていたと言われています。この風車によって製粉作業や、干拓地の排水が行われてきました。風力発電は1887年にイギリスから始まったと言われています。

風力発電は化石燃料の使用を削減でき、太陽のエネルギーと違って天気や時間に左右されません。その一方、安定した電力を得るのが困難という課題があります。

新エネルギーにはどんなエネルギーがあるの?

新エネルギーには自然の力を使ったいろいろな発電方法があります。自然の力を利用しているため環境への負荷が少ない、枯渇する心配がないというのが新エネルギーのメリットです。その一方、発電方法それぞれにスペースや効率、コストといった課題がまだまだあります。

エネルギー問題の早期解決は、これからの社会に欠かせません、エネルギーの効率よい活用に興味がある人はぜひ、環境や新エネルギーについて学んでくださいね。

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理科生物

3分で簡単「新エネルギー」どんなエネルギーのこと?科学館職員がわかりやすく解説

地球温暖化、石油の枯渇などエネルギーに関わる課題はたくさんある。これらの問題を解決するには天然の資源を活用した、化石燃料の代替となるエネルギーが必要です。

新たなエネルギーのキーワードになるのが「再生可能」と「クリーン」です。いくら新しいエネルギーが開発されても人間が作ることができなければいずれ枯渇してしまうし、自然を汚すエネルギーでは環境問題を解決できない。

そこで今回は新エネルギーについて科学館職員のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

不思議な現象を解明する科学が好きで理系に進んだリケジョ。高校、大学で化学漬けの日々を送りつつ家庭教師のバイトをしていた科学館職員。

新エネルギーとは?

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新エネルギーとは平成9年に施行された「新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法」(新エネルギー法)によるとバイオマス、太陽熱利用、太陽光発電、雪氷熱利用、地熱発電、風力発電などのことを指します。

これらのエネルギーの特徴は再生可能、ということです。化石燃料は使い続ければ無くなります。一方新エネルギーは太陽光や植物など自然と供給されているものや育てられるものを活用しているので、なくなる心配がありません。そのため新エネルギーを再生可能エネルギー、化石燃料のように限りある資源を枯渇性エネルギーともいいます。また石油に代わるという意味で代替エネルギーということがありますが、この場合石炭なども含まれるため代替エネルギーは必ずしも新エネルギーを意味するとは限りません。

バイオマス燃料

バイオマス燃料

image by Study-Z編集部

二酸化炭素に含まれた炭素を循環させる」という概念がカーボンニュートラルです。

石油や石炭などの化石燃料を使うと二酸化炭素が放出されます。放出された二酸炭素やそのほかの排出ガスによって地球温暖化、大気汚染はどんどん進んでしまうのです。植物は二酸化炭素を使って光合成して酸素を作りますね。そのため植物由来の燃料は使って二酸化炭素が排出しても循環させることができ、石油燃料のように一方的に地上にある炭素を増やすことはありません。

バイオマス燃料のメリットはカーボンニュートラルに加えてごみを減らせるということが挙げられます。生ごみや古紙、廃材といったゴミを資源として活用できるのです。

バイオエタノール

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バイオマスを発酵させて作るバイオエタノール。バイオマスにはセルロースと呼ばれる糖がたくさん含まれています。それを発酵させてエタノールにするのです。

このバイオエタノールは実際にガソリンと混合させて車を動かす燃料をに使われている国もあります。ガソリンと混合することでガソリンの使用量を減らしているのです。

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