この記事では「合縁奇縁」について解説する。

端的に言えば「合縁奇縁」は「気心が合うのは縁によるものだ」という意味ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

学習塾経営者で国語が得意なぼすこを呼んです。一緒に「合縁奇縁」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぼすこ

国立大学教育学部卒業後、学習塾を経営。読書好きが高じて蓄えた幅広い知識と、得意教科である国語力で、四字熟語をわかりやすく解説していく。

「合縁奇縁」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「合縁奇縁」の意味や語源・使い方など、基本的な内容を確認していきましょう。

「合縁奇縁」の意味は?

「合縁奇縁」について、辞書には次のように記されています。

1.お互いに気心が合うか合わないかは、みな縁によるということ。

出典:大辞林第三版(三省堂)「合縁奇縁」

「合縁奇縁(あいえんきえん)」は、前後に2つの熟語に分けることができ、「合縁」は、「縁があり、よく気心が合う」という意味があり、「奇縁」には、「不思議な因縁」という意味があります。2つを合わせて、「よく気が合うもの同士は、ただの偶然ではなく、縁で結びつけられたものである」という「合縁奇縁」の意味を表す構成です。

元の意味から少しずつ変化し、最近では気が合わなかったもの同士が仲良くなったり、出会うはずがなかった男女が結婚するなど「縁とは不思議なものだ」という意味でも使われることが増えています。

「合縁奇縁」は、「あいえんきえん」という読み方を元に、「相縁機縁」「愛縁奇縁」などさまざまな漢字表記がありますが、どれも意味は同じ。一般的には「合縁奇縁」が広く使われています。

「合縁奇縁」の語源は?

「合縁奇縁」の意味を確認したところで、次にその語源についても見ていくことにしましょう。

「合縁奇縁」は元々「愛縁機縁」と表記されていました。仏教の言葉で、「人と人とのつながりは縁によるものである」という意味を持ちます。「愛縁」は恩愛の縁、「機縁」はものごとのきっかけを意味し、「機会」と同じ意味で使われる言葉です。

 

\次のページで「「合縁奇縁」の使い方・例文」を解説!/

「合縁奇縁」の使い方・例文

では、「合縁奇縁」をどのように使えばよいのか、例文を見ていきましょう。

1.新郎新婦が結ばれたのは合縁奇縁で、きっと運命のように決まっていたことなのだろう。
2.彼らはとても仲の良い親友だが、ずっと一緒に過ごしてきたわけではなく、人生の節目節目で再会しては別れて、を繰り返してきたらしい。まったく合縁奇縁なものだ。

1の例文での「合縁奇縁」は、定められた縁によるものであるだから結びつきも強い、という意味で使われています。語源になる仏教用語の「愛縁機縁」の意味合いが強く出た例文ですね。

2の例文になると、通常ならば一緒にいる時間が短ければ結びつきはそれほど強くなりにくそうなのに縁が結ばれている、不思議な縁もあるものだ、という最近使われがちな意味になります。

どちらの意味で使われる場合にも、対象は、夫婦、家族、友人、同僚など、気心が合い、深く結ばれている人と人との関係について使われる点がポイントです。

「合縁奇縁」の類義語は?違いは?

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「合縁奇縁」と似た意味を持つ言葉を探してみました。どんなものがあるのか、早速見ていきましょう。

「一期一会」

「一期一会(いちごいちえ)」は私たちにとって、「合縁奇縁」よりも耳馴染みのある言葉かもしれません。元は、茶道において使われた言葉で、「一生に一度の出会い」を意味します。

人と人の関係についての四字熟語なので、「合縁奇縁」と似た意味なのかと思いきや、元の意味はあまり近いものではありません。

ただ、最近では、「合縁奇縁」も不思議な縁を表すようになり、「一期一会」も「出会うはずがないようなもの同士が出会う機会」のような使われ方をするため、「不思議な縁」という意味で混同されがちなのではないでしょうか。

元の意味はまったく違っているので、使い分けには注意しましょう。

\次のページで「「縁は異なもの味なもの」」を解説!/

「縁は異なもの味なもの」

「縁は異なもの味なもの」はことわざです。「男女の縁はどう結ばれるか予測できない不思議なものだ」という意味を持ちます。最近では男女の関係だけではなく、人同士の関係にも使われるようになっていますが、本来は男女の関係にのみ使われる言葉です。

「合縁奇縁」と意味が大変近く、「理屈では説明できないような数奇な人の縁」も表現します。

「合縁奇縁」が幅広く人同士の関係を表すのに使われるのに対して、「縁は異なもの味なもの」は男女の関係にのみ使われる、という点が大きな違いです。

「合縁奇縁」の対義語は?

さまざま調べてみましたが、「合縁奇縁」の対義語となる言葉は見つかりませんでした。そこで、「合縁奇縁」の意味から対義になりそうなものを探してみました。

気が合うのも合わないのも縁によるものである、という意味の逆を考えるならば、縁という形に表せないものは信じないという意味で「現実主義」、縁に頼らず自分で人との関係を築いていくという意味で「実力行使」などがあげられるかと思います。

また、まったく気が合わないもの同士という意味で「犬猿の仲」もあげられそうですが、気が合わないのもまた縁によるものである、というのが「合縁奇縁」の意味なので、対義語からはずれてしまうと感じました。

「合縁奇縁」の英訳は?

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仏教から生まれた「合縁奇縁」。縁という独特の思想を海外の人に伝えるには、どう表現すればよいのでしょうか。

「a relationship formed due to a strange turn of fate.」

単語の意味を一つ一つ拾って直訳すると、「人と人の結びつきは運命の奇妙な変わり目の結果生じる」となります。

私自身の捉え方として、「合縁奇縁」においての縁は、元々あるものであると考えられるので、運命の変わり目、というのは少し意味が違ってくるようにも感じました。ただ、縁とは不思議なものである、という意味で言えば、この英訳がよく伝わりそうですね。

「合縁奇縁」を使いこなそう

この記事では「合縁奇縁」について様々なことを紹介しました。

気が合うも合わないも縁によるもの。人とのつながりは、自分でどうこうする以前にすでに決まってしまっているもの、と考えてしまうとちょっと嫌な気持ちになりますが、逆に考えれば、どんな嫌な出会いも縁であり、自分の人生には必要なものなのでしょうね不思議とつながった人との関係も、なるべくしてつながった人との関係も、大切にしていきたいものです。

私たちの生活には「縁」というものが浸透していて、日々小さな縁をむすびながら生活をしています。例えば、この記事を読んでくださった人と、この記事を書いた私にも小さな縁が結ばれるわけです。

この考えを私たちはなんとなく日本で育つ中で、感覚的にとらえて大人になっていきます。しかし、「縁」という考え方がない中で生活してきた人々に説明するのは難しいものだな、と感じました。

 

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【四字熟語】「合縁奇縁」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「合縁奇縁」について解説する。

端的に言えば「合縁奇縁」は「気心が合うのは縁によるものだ」という意味ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

学習塾経営者で国語が得意なぼすこを呼んです。一緒に「合縁奇縁」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぼすこ

国立大学教育学部卒業後、学習塾を経営。読書好きが高じて蓄えた幅広い知識と、得意教科である国語力で、四字熟語をわかりやすく解説していく。

「合縁奇縁」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「合縁奇縁」の意味や語源・使い方など、基本的な内容を確認していきましょう。

「合縁奇縁」の意味は?

「合縁奇縁」について、辞書には次のように記されています。

1.お互いに気心が合うか合わないかは、みな縁によるということ。

出典:大辞林第三版(三省堂)「合縁奇縁」

「合縁奇縁(あいえんきえん)」は、前後に2つの熟語に分けることができ、「合縁」は、「縁があり、よく気心が合う」という意味があり、「奇縁」には、「不思議な因縁」という意味があります。2つを合わせて、「よく気が合うもの同士は、ただの偶然ではなく、縁で結びつけられたものである」という「合縁奇縁」の意味を表す構成です。

元の意味から少しずつ変化し、最近では気が合わなかったもの同士が仲良くなったり、出会うはずがなかった男女が結婚するなど「縁とは不思議なものだ」という意味でも使われることが増えています。

「合縁奇縁」は、「あいえんきえん」という読み方を元に、「相縁機縁」「愛縁奇縁」などさまざまな漢字表記がありますが、どれも意味は同じ。一般的には「合縁奇縁」が広く使われています。

「合縁奇縁」の語源は?

「合縁奇縁」の意味を確認したところで、次にその語源についても見ていくことにしましょう。

「合縁奇縁」は元々「愛縁機縁」と表記されていました。仏教の言葉で、「人と人とのつながりは縁によるものである」という意味を持ちます。「愛縁」は恩愛の縁、「機縁」はものごとのきっかけを意味し、「機会」と同じ意味で使われる言葉です。

 

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