この記事では「蛙鳴蝉噪」について解説する。

端的に言えば蛙鳴蝉噪の意味は「無用の口論や下手な文章のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「蛙鳴蝉噪」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「蛙鳴蝉噪」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「蛙鳴蝉噪」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「あめいせんそう」です。また、前後を逆にして「蝉噪蛙鳴」とすることもあります。意味に加えて語源や使い方まで見ていくと、理解が深まりますよ。

「蛙鳴蝉噪」の意味は?

「蛙鳴蝉噪」には、次のような意味があります。蛙(かえる)と蝉(せみ)という漢字が含まれる特徴的な表現ですが、まずは基本的な意味から見ていきましょう。

1.無駄な表現が多く、内容の乏しい下手な議論や文章。無用の口論や下手な文章をいう。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「蛙鳴蝉噪」

「蛙鳴」は蛙が鳴くこと、「蝉噪」は蝉が騒がしく鳴くことです。そこから、蛙や蝉がやかましく鳴いているように、騒がしいばかりで何の役にも立たないということを表しています。

これらを言葉や文章に置き換えてみると、いろいろ書かれているものの意味がわかりにくかったり不要な部分が多かったりして悪文であるということにつながりますよ。言葉や文においても、無駄な部分については騒がしいばかりで中身がないということです。

「蛙鳴蝉噪」の語源は?

次に「蛙鳴蝉噪」の語源を確認しておきましょう。

11世紀後半に中国北宋の政治家としても活躍した文豪である蘇軾(そしょく)の詩に由来します。蘇軾は、陳州にいる弟の蘇轍(そてつ)を訪れたときに渡し場で、八首の五言絶句の詩を読みました。

そのとき読んだ「蛙鳴靑草泊、蝉噪垂楊浦」という部分に「蛙鳴蝉噪」が含まれており、「青草が生い茂っている船着き場で蛙が鳴き、柳がしだれる岸辺は蝉の声で騒がしい」という意味になっています。

\次のページで「「蛙鳴蝉噪」の使い方・例文」を解説!/

「蛙鳴蝉噪」の使い方・例文

「蛙鳴蝉噪」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。文法的な観点からもチェックしますよ。

1.知識と教養が豊富な友人がいるが、友達同士での日常的な会話は蛙鳴蝉噪と言える。
2.あなたはよく蛙鳴蝉噪な発言で大騒ぎするが、気持ちを落ち着ける意識が必要だ。

意味としては、例文1.は立派な友人でも気のおけない仲間内ではまとまりのない会話をするということです。例文2.では、騒ぎ立てるような話し方をする人は落ち着くように注意することが大切ではないかということを表しています。

文法的に見てみると、例文1.のように「蛙鳴蝉噪と…」と名詞のカタマリとして使う場合もあれば、「蛙鳴蝉噪な…」と形容動詞として使うこともありますよ。また、「蛙鳴蝉噪する」と動詞化した表現で使うこともできます。名詞のほか、形容動詞、動詞としても使える四字熟語です。

「蛙鳴蝉噪」の類義語は?違いは?

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それでは、「蛙鳴蝉噪」の類義語についての説明です。よく似た意味の四字熟語を詳しくチェックしていきましょう。

「驢鳴犬吠」

「蛙鳴蝉噪」の類義語には、「驢鳴犬吠(ろめいけんばい)」があります。意味は、取るに足りない文章や聞く価値のないようなつまらない話のことです。「驢鳴き犬吠ゆ(ろなきいぬほゆ)」と訓読し、ろばや犬の鳴き声程度のありふれていて聞く価値がないようなものということを表しています。

「蛙鳴蝉噪」での蛙や蝉に対して、「驢鳴犬吠」でのろばや犬も全く同じ扱いを受けていることがわかりますね。

\次のページで「「談天雕竜」」を解説!/

「談天雕竜」

もう一つの類義語は、「談天雕竜(だんてんちょうりゅう)」です。もともとは弁論や文章の内容が幅広く深遠であり巧みなことを表していましたが、転じて幅広くても実際には役に立たない無駄な議論や行為のことを意味するようになっています。

「談天」は天を論じること、「雕竜」は竜を彫るように文章を飾ることをを表しており、「天を談じて竜を雕(ほ)る」と訓読しますよ。

「蛙鳴蝉噪」の対義語は?

次に、「蛙鳴蝉噪」の対義語についての説明です。無駄に話や文章が長いという「蛙鳴蝉噪」に対する対義語を見ていきましょう。

「微言大義」

「蛙鳴蝉噪」の対義語には、「微言大義(びげんたいぎ)」があります。意味は、簡潔なことばの中にあって深い意味や道理が含まれているということです。「微言」は微妙な言葉遣いや奥深い言葉のこと、「大義」は深い道理のことを表しています。

もともとは孔子の言葉について評した表現だったということです。完結で意味深いということですから、「蛙鳴蝉噪」とは反対の意味になっていますね。

「直截簡明」

もう一つの対義語には、「直截簡明(ちょくせつかんめい)」があります。人柄や文章において、まわりくどくなくて簡潔でありわかりやすいという意味です。「直截」は直ちに裁決すること、「簡明」は簡単で明瞭なことを表していますよ。

「截」という字は、音読みで「セツ」、訓読みでは「きる、たつ」と読みます。また、「切る、たちきる」という意味があり「切」や「絶」と似た意味です。

「蛙鳴蝉噪」の英訳は?

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最後に、「蛙鳴蝉噪」の英訳についての説明です。四字熟語では具体的なようすが表現されていますが、英語表現では意味として似たものを見ていきましょう。

「annoying noise」

「蛙鳴蝉噪」の英訳には、「annoying noise」があります。直訳すると「耳障りな音」です。「annoying」の動詞形「annoy」の意味は「いらだたせる、困らせる」などの意味があります

ほかには「fruitless argument」という表現もありますよ。それぞれの単語は「fruitless(実を結ばない)」「argument(議論、口論)」という意味です。

もう一つ、「useless controversy」があり「役に立たない議論」を表します。「controversy」は「論争」などの意味で使わますよ。

\次のページで「「蛙鳴蝉噪」を使いこなそう」を解説!/

「蛙鳴蝉噪」を使いこなそう

今回の記事では「蛙鳴蝉噪」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「蛙鳴蝉噪」の意味は、無用な口論や無駄の多い文章のことです。頭の中が整理できないままに支離滅裂になることもあるかもしれませんし、詳しく説明しようとしてつい話が長くなりがちになってしまうこともあるかもしれません。話をするにあたっては、自分の頭を整理して、また、時と場合にあわせて話の長さを調節するといいですね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「蛙鳴蝉噪」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「蛙鳴蝉噪」について解説する。

端的に言えば蛙鳴蝉噪の意味は「無用の口論や下手な文章のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「蛙鳴蝉噪」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「蛙鳴蝉噪」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「蛙鳴蝉噪」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「あめいせんそう」です。また、前後を逆にして「蝉噪蛙鳴」とすることもあります。意味に加えて語源や使い方まで見ていくと、理解が深まりますよ。

「蛙鳴蝉噪」の意味は?

「蛙鳴蝉噪」には、次のような意味があります。蛙(かえる)と蝉(せみ)という漢字が含まれる特徴的な表現ですが、まずは基本的な意味から見ていきましょう。

1.無駄な表現が多く、内容の乏しい下手な議論や文章。無用の口論や下手な文章をいう。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「蛙鳴蝉噪」

「蛙鳴」は蛙が鳴くこと、「蝉噪」は蝉が騒がしく鳴くことです。そこから、蛙や蝉がやかましく鳴いているように、騒がしいばかりで何の役にも立たないということを表しています。

これらを言葉や文章に置き換えてみると、いろいろ書かれているものの意味がわかりにくかったり不要な部分が多かったりして悪文であるということにつながりますよ。言葉や文においても、無駄な部分については騒がしいばかりで中身がないということです。

「蛙鳴蝉噪」の語源は?

次に「蛙鳴蝉噪」の語源を確認しておきましょう。

11世紀後半に中国北宋の政治家としても活躍した文豪である蘇軾(そしょく)の詩に由来します。蘇軾は、陳州にいる弟の蘇轍(そてつ)を訪れたときに渡し場で、八首の五言絶句の詩を読みました。

そのとき読んだ「蛙鳴靑草泊、蝉噪垂楊浦」という部分に「蛙鳴蝉噪」が含まれており、「青草が生い茂っている船着き場で蛙が鳴き、柳がしだれる岸辺は蝉の声で騒がしい」という意味になっています。

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