この記事では「長い目で見る」について解説する。

端的に言えば「長い目で見る」の意味は「人の成長を見守る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗吉を呼んです。一緒に「長い目で見る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「長い目で見る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「長い目で見る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「長い目で見る」の意味は?

「長い目で見る」には、次のような意味があります。

現状だけで判断を下さず、気長に将来を見守る。

出典:goo辞書

体の部分のうち、見るのは「目」ですから、単に「目で見る」だけでは、何も言っていないようなものですが、これに「長い」が加わると、見るのが実は「目」ではなく、「こころ」なのだとわかります。気長な気持ちで人を見るということになりますね。「長い目」というのは「大きな心」という意味でもあります。

「長い目で見る」の語源は?

次に「長い目で見る」の語源を確認しておきましょう。

まず、「見る」というのは、実際に体のうちの「目」で物を見るという意味が基本ですが、それ以上に将来を見通すという意味もあります。予測する、さらには期待する、ということです。この場合、見るのは「目」ではなく、「心で」見るということになります。

もちろん身近な人のことを気にかけるのでしたら、実際に目で見る部分もあるでしょうが、それ以上に、「目をかける」という言葉もあるように、心を尽くす、思いをいたす、という意味になるわけです。

そして「長い」ですが、これは目が長いという意味ではなく、将来の長い間に渡って、ということを表しています。

「長い目でみる」は、「将来の長い間に渡って、気にかけていく、期待していく」ということになるわけです。

\次のページで「「長い目で見る」の使い方・例文」を解説!/

「長い目で見る」の使い方・例文

「長い目で見る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.子供の将来の成長は、現状だけを見ずに長い目で見て、宿題や買物、電車に乗ることなどをきちんとできるように、習慣づけをする、そしてそのためのきっかけづくりをするなど、多くの支援が必要だという現実を直視すべきだ。

2.旅行代理店で大事な仕事を任されてそれができるようになったら、その結果としてお金を貯めて、旅行関連での起業なども長い目で見て考えていきたいが、自分への投資は怠らずに準備を進めていきたい。

3.意味のない生活などないのであって、長い目で見て、今やっていることが必ず役立つ日が来ると信じて、辛いことにも耐えていきたい。

4.新入社員の能力や姿勢を育てるには、物事を継続してやっていく大切さを教えることが必要で、どこかにその人なりの可能性があるのだから、そこを長い目で見て仲間として扱っていくことができる会社であるようにつとめていきたい。

文字通り長い期間がかかることを粘り強く支援するのですから、忍耐も必要ですね。子育て、部下の教育、会社の成長、場合によっては孫やひ孫の面倒見まで、人生は自分も長い目で見てもらった結果、人のことも長い目で見て待つ、ということが必要になるのでしょう。

「長い目で見る」の類義語は?違いは?

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「長い目で見る」と似た意味を持つ言葉として、「気長に待つ」「投資する」などがあります。

「気長に待つ」

「気長に待つ」は、気を長くして待つということで、ある人やあることについて、結果を急がずに長い時間がかかっても慌てず動じずに待ち続けることを意味します。

「長い目で見る」とかなり近い言葉です。

\次のページで「「投資する」」を解説!/

「投資する」

「投資」は、ある事業に財産を投じて、事業の所有者として事業の成功を期待することです。事業は短期に結果の出るものもあれば長期にわたって結果が判明しないものもあり、投資は場合によっては忍耐強く待ち続けるということにもなりますね。

例えば「若手画家に仕事や場所を提供するあの資産家は、未来の芸術と芸術家に投資をしているのだ」などというように使われて、「長い目で見る」と同じような意味を表しますが、長い目で見る場合には必ずしも出資が必要ではないのに対し、投資は、出資があるものを指します。長く強い目で見る、といったところでしょうか。

「長い目で見る」の対義語は?

「長い目で見る」と反対の意味を持つ言葉としては、以下のようなものがあります。

「せっかち」「短気」

それぞれ、短期に結果を求めることを指します。長い目や気長の反対です。

長い目で見た方が良い場合と短気に結果を求めた方が良い場合がそれぞれありますから、一概に悪いこととは言えません。要は状況によるということです。

「急いては事を仕損じる」

仕損じるのですから、これは失敗ということになります。長い目で見ずに急いだがために失敗に終わるということです。

もちろん長い目で見たからといって必ず成功するわけではありませんが、この「急いては事を仕損じる」では、短気、せっかちを戒めています。急いで結論を出してはいけない場合があるということですね。

「長い目で見る」の英訳は?

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最後に「長い目で見る」を英語で表現するとどうなるのかを確認しておきましょう。

「see in the long run」

「長い目で見る」は英語で「see in the long run」と表すことができます。例文も示しておきましょう。

\次のページで「「長い目で見る」を使いこなそう」を解説!/

The deceased president was a man who saw and raised the employees in the long run.

亡くなった会長は社員を長い目で見て育てる人だった。

「長い目で見る」を使いこなそう

この記事では「長い目で見る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

この慣用句では「見る」も「目」も比喩的な使い方になっています。見るのは実は目ではなく心ですし、見る対象も物ではなく、人の将来です。

人生は長い道のりとも言えますが、その大部分を使って、誰かを長い目で見て見守っていく、つまりそれ自体が人生、人生そのものだとも言えるでしょう。

そして「長い目」を持つことができるだけの余裕を備えていくこともまた大事なことですね。人の世はなかなか思うようにはなりませんが、耐えた後にほんの少しでも喜びがあればやはりそれは幸せなことでしょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「長い目で見る」の意味や使い方は?例文や類語を教材系ライターがわかりやすく解説!

「投資する」

「投資」は、ある事業に財産を投じて、事業の所有者として事業の成功を期待することです。事業は短期に結果の出るものもあれば長期にわたって結果が判明しないものもあり、投資は場合によっては忍耐強く待ち続けるということにもなりますね。

例えば「若手画家に仕事や場所を提供するあの資産家は、未来の芸術と芸術家に投資をしているのだ」などというように使われて、「長い目で見る」と同じような意味を表しますが、長い目で見る場合には必ずしも出資が必要ではないのに対し、投資は、出資があるものを指します。長く強い目で見る、といったところでしょうか。

「長い目で見る」の対義語は?

「長い目で見る」と反対の意味を持つ言葉としては、以下のようなものがあります。

「せっかち」「短気」

それぞれ、短期に結果を求めることを指します。長い目や気長の反対です。

長い目で見た方が良い場合と短気に結果を求めた方が良い場合がそれぞれありますから、一概に悪いこととは言えません。要は状況によるということです。

「急いては事を仕損じる」

仕損じるのですから、これは失敗ということになります。長い目で見ずに急いだがために失敗に終わるということです。

もちろん長い目で見たからといって必ず成功するわけではありませんが、この「急いては事を仕損じる」では、短気、せっかちを戒めています。急いで結論を出してはいけない場合があるということですね。

「長い目で見る」の英訳は?

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最後に「長い目で見る」を英語で表現するとどうなるのかを確認しておきましょう。

「see in the long run」

「長い目で見る」は英語で「see in the long run」と表すことができます。例文も示しておきましょう。

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