この記事では「百戦百勝」について解説する。

端的に言えば百戦百勝の意味は「どんな戦いにも戦えばかならず勝つこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「百戦百勝」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「百戦百勝」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「百戦百勝」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ひゃくせんひゃくしょう」です。本来の意味のほか、語源や使い方にも興味深い内容となっていますよ。

「百戦百勝」の意味は?

「百戦百勝」には、次のような意味があります。基本的な意味合いは、ストレートな意味になっていますが、まずは正確な意味を確認しておきましょう。

1.どんな戦いにも、戦えば必ず勝つこと。戦うたびに勝つこと。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「百戦百勝」

「百戦」は百回または数多いの戦いのこと、「百勝」は百回または数多い勝利を手にすることをあらわしています。よって、数多くの戦いに挑んで、全てに勝利するということです。

のちほどの語源で「百戦百勝」が最善ではないという話が出てきますが、「百戦百勝」するのは並大抵のことではありません。勝ち続けるためには、情報を手に入れ戦略を練るなど戦闘力以前の準備が必要になります。「百戦百勝」のためには、目に見えないところでの準備や用意が隠されているものですね。

「百戦百勝」の語源は?

次に「百戦百勝」の語源を確認しておきましょう。

「百戦百勝」という言葉は、孫武(そんぶ)が書いた『孫子(そんし)』の謀攻篇に由来があります。一般的には『孫子の兵法』『孫子の兵法書』と呼ばれることもありますね。内容は、いかに戦いに勝つのかという話ですが、実際に武器を手にして戦う人ではなく、君主向きの話です。

そこには、「百戦百勝は善の善なるものにあらず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。」とあります。武力で相手を屈服させて百戦百勝することが最もよいのではなく、戦わずして勝つのが最善の手であるという意味です。戦うことによって兵は傷つき物資も消耗しますから、戦わないほうがいいですよね。

\次のページで「「百戦百勝」の使い方・例文」を解説!/

「百戦百勝」の使い方・例文

「百戦百勝」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。意味合いと同時に、文法的な特徴にも注目していきますよ。

1.その経営者は各国の料理の専門店を次々に繁盛させ、外食産業では百戦百勝である。
2.彼は営業として百戦百勝しているが、やり方が強引なので関連する人みんなに恨みを買っている。

例文1.は、事業を次々に成功させていることについて「百戦百勝」と言っています。例文の2.のほうでは、結果としては「百戦百勝」であるものの、周囲に間関を勝っているという話です。

文法的な違いに注目して見てみると、例文1.は「百戦百勝である」と名詞のカタマリとして使っています。例文2.では、「百戦百勝する」と動詞化した言い方になっていますね。いずれも、よく使われる表現です。ただ、「百戦百勝な…」という形容動詞としての使い方はしません。

「百戦百勝」の類義語は?違いは?

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それでは、「百戦百勝」の類義語についての説明です。とにかく勝ち続ける、勝ってばかりという意味の四字熟語について詳しく見ていきましょう。

「連戦連勝」

「百戦百勝」の類義語には、「連戦連勝(れんせんれんしょう)」があります。意味は、全てに勝ち続けており、向かうところ敵なしということです。とにかく戦っても戦っても勝ってばかりであるということを表していますよ。

言葉の意味からすると、過去に負けることがあってもある時を境に勝ち続けているという場合にも使うことができます。また、6-7割勝っていても強いと言われる勝負なら、負けが混ざっていても8,9割勝つことに「連戦連勝」といっても不自然ではありませんね。

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「百挙百捷」

もう一つの類義語には、「百挙百捷(ひゃっかひゃくしょう)」があります。どんなことをしていても全てうまくいくという意味です。「百挙」は行動や策略などのさまざまな行いのこと、「百捷」は勝つということを表していますよ。

『三国志(さんごくし)』の呉志(ごし)、周魴(しゅうほう)に由来するとされています。呉は孫権(そんけん)の時代に、中国南東部に勢力を広めました。

「百戦百勝」の対義語は?

次は、「百戦百勝」の対義語についての説明です。「連戦連敗」という表現も対義語にあたりますが、ここでは少し特徴のある対義語について見ていきましょう。

「無手勝流」

「百戦百勝」の対義語には、「無手勝流(むてかつりゅう)」があります。意味のほうは、戦わないで策略を用いて勝つことです。「無手勝」は武器を使わないで勝つこと、「流」はしかたややり方のことを表していますよ。

由来とされているのは、塚原卜伝(ぼくでん)の逸話です。卜伝が琵琶湖の船上で勝負を挑まれたときに、相手を小島におろして自分は船に乗ったまま離れていき「戦わずして勝つ、これが無手勝流」といったとされています。

「盛者必衰」

もう一つの対義語には、「盛者必衰(じょうしゃひっすい)」があります。この世は無常であり勢いの盛んな者でも必ず衰えるときが来るという意味です。「盛者」は「しょうじゃ」「しょうしゃ」とも読み勢いの盛んな者のこと、「必衰」は必ず衰え滅亡するということを表しています。

『平家物語』の冒頭の「沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらわす」という部分でも有名ですが、もともとは仏教の言葉であったということです。

「百戦百勝」の英訳は?

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最後に、「百戦百勝」の英訳についての説明です。中国で生まれた漢字の表現と英語ではニュアンスは異なり部分もありますが、意味の似た表現について見ていきましょう。

「winning every battle」

「百戦百勝」の英訳には、「winning every battle」があります。直訳すると「あらゆる戦いに勝つこと」です。もともとの「百」は具体的な数値としてではなく、数が多いという意味で使われているので「every」がピッタリですね。

ほかには、「invincible(征服できない、無敵の)」を使って「being invincible(無敵であること)」という表現もできます。

\次のページで「「百戦百勝」を使いこなそう」を解説!/

「百戦百勝」を使いこなそう

今回の記事では「百戦百勝」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「百戦百勝」の基本的な意味は、「どんな戦いにも必ず勝つこと」です。語源では「百戦百勝」よりも戦わずして勝つことが最善であるということでしたが、一般に「百戦百勝」と表現するときは、これ以上ないような状況を表しているので最上級の表現として使われています

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【四字熟語】「百戦百勝」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「百戦百勝」について解説する。

端的に言えば百戦百勝の意味は「どんな戦いにも戦えばかならず勝つこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「百戦百勝」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「百戦百勝」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「百戦百勝」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ひゃくせんひゃくしょう」です。本来の意味のほか、語源や使い方にも興味深い内容となっていますよ。

「百戦百勝」の意味は?

「百戦百勝」には、次のような意味があります。基本的な意味合いは、ストレートな意味になっていますが、まずは正確な意味を確認しておきましょう。

1.どんな戦いにも、戦えば必ず勝つこと。戦うたびに勝つこと。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「百戦百勝」

「百戦」は百回または数多いの戦いのこと、「百勝」は百回または数多い勝利を手にすることをあらわしています。よって、数多くの戦いに挑んで、全てに勝利するということです。

のちほどの語源で「百戦百勝」が最善ではないという話が出てきますが、「百戦百勝」するのは並大抵のことではありません。勝ち続けるためには、情報を手に入れ戦略を練るなど戦闘力以前の準備が必要になります。「百戦百勝」のためには、目に見えないところでの準備や用意が隠されているものですね。

「百戦百勝」の語源は?

次に「百戦百勝」の語源を確認しておきましょう。

「百戦百勝」という言葉は、孫武(そんぶ)が書いた『孫子(そんし)』の謀攻篇に由来があります。一般的には『孫子の兵法』『孫子の兵法書』と呼ばれることもありますね。内容は、いかに戦いに勝つのかという話ですが、実際に武器を手にして戦う人ではなく、君主向きの話です。

そこには、「百戦百勝は善の善なるものにあらず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。」とあります。武力で相手を屈服させて百戦百勝することが最もよいのではなく、戦わずして勝つのが最善の手であるという意味です。戦うことによって兵は傷つき物資も消耗しますから、戦わないほうがいいですよね。

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