この記事では「閑雲野鶴」について解説する。

端的に言えば閑雲野鶴の意味は「世俗に拘束されることなく自由にのんびりと暮らすこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「閑雲野鶴」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「閑雲野鶴」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「閑雲野鶴」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「かんうんやかく」です。「閑雲野鶴」の意味だけでなく、語源や使い方まで幅広く見ていくと理解が深まりますよ。

「閑雲野鶴」の意味は?

「閑雲野鶴」には、次のような意味があります。基本的な意味とあわせて、四字熟語の漢字一つ一つの意味合いもチェックしていきましょう。

1.俗世に煩わされずに、自由にのんびりと暮らすこと。また、悠々自適の生活を送る隠士の心境のたとえ。

出典:四字熟語辞典(学研)「閑雲野鶴」

「閑雲野鶴」の「閑雲」は大空にゆったりと浮かぶ雲のこと、「野鶴」は広い野原で遊ぶ野生の鶴のことを表しています。雲と野生の鶴のようすから、何にも縛られずに、自由気ままに生活をするという意味につながっていますよ。

鶴は多くの餌と豊かな生態系を必要とするので、鶴が生息する場所は厳しい環境ではないということです。そういうこともあって、もとの意味に鶴が含まれていると考えられますね。

「閑雲野鶴」の語源は?

次に「閑雲野鶴」の語源を確認しておきましょう。

「閑雲野鶴」は同義の「間雲孤鶴(かんうんこかく)」が、僧貫休(そうかんきゅう)による『全唐詩話(ぜんとうしわ)』に「間雲孤鶴、何天而不可飛」として登場することに由来します

『全唐詩話』は1702年に成立し、中国の唐の時代の全ての詩が網羅されているということです。収録されている作者は2900人以上、作品数は48,900以上と言われています。

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「閑雲野鶴」の使い方・例文

「閑雲野鶴」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。文法的な観点からもチェックしていきますよ。

1.故郷の石川県で長く続く浜を見たあとに温泉に入ると、閑雲野鶴の心境になる。       
2.閑雲野鶴の生活を送るならば、知識や教養があってこそ豊かに過ごすことができる。

例文1.は壮観の眺めと温泉によって閑雲野鶴の境地に至りそうだということを表しています。例文の2.のほうは、ゆったり暮らすとしても知識と教養が十分であるほうが豊かな生活を送れるのだろうということです。

文法的に見てみると、例文では「閑雲野鶴の…」となっており、名詞のカタマリとして使っていることがわかります。「閑雲野鶴な」や「閑雲野鶴する」という言い方はしませんよ。

「閑雲野鶴」の類義語は?違いは?

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それでは、「閑雲野鶴」の類義語についての説明です。同じ意味の四字熟語は非常に多いので、その中から二種類について詳しく見ていきましょう。

「悠悠自適」

「閑雲野鶴」の類義語には、「悠悠自適(ゆうゆうじてき)」があります。意味は、俗世間から身を引いて、のんびりと思うままに暮らすということです。「悠悠」はゆったりと落ち着いているようすのこと、「自適」は自分の思うままに暮らすことを表しています。

とくに、定年退職後の生活をさして言うこともありますよ。俗世から身を引くということからすると、現代では仕事をしていない状態のことがイメージされます。

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「一竿風月」

もう一つの類義語には、「一竿風月(いっかんふうげつ)」があります。俗事を離れて自然に親しみ悠々自適の生活を送ることという意味です。「一竿」は一本の釣り竿のこと、「風月」は自然の風物を味わうことを表しています。

「悠悠自適」のようにイメージを表すのではなく、具体的な行動をイメージする「一竿風月」ですが、意味はほぼ同じになっていますよ。

「閑雲野鶴」の対義語は?

次に、「閑雲野鶴」の対義語についての説明です。ここでは、二種類の対義語を紹介するので、それぞれのニュアンスや特徴に注意しながら見ていきましょう。

「俗臭芬芬」

「閑雲野鶴」の対義語には、「俗臭芬芬(ぞくしゅうふんぷん)」があります。意味のほうは、俗っぽく下品であり世俗にまみれていることです。「俗臭」は下品で俗っぽいこと、「芬芬」はにおいが強いようすのことを表しています。

人間は誰しもお金や地位や名誉を気にしてしまうものではありますが、これが表面に出すぎてしまうと「俗臭芬芬」ということになりますね。

「意馬心猿」

もう一つの対義語には、「意馬心猿(いばしんえん)」があります。心が煩悩や欲情に乱されて落ち着かないことという意味です。「意」は心のことなので、心が暴れる馬や騒がしい野猿のように落ち着かないようすを表しています。

もともとは仏教の言葉で、心が落ち着かないという意味ですが、心に起こる欲望や心の乱れを抑えることができないという意味もありますよ。

「閑雲野鶴」の英訳は?

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最後に、「閑雲野鶴」の英訳についての説明です。言語の違いはありますが、よく似た状況を表す英語表現があるので一緒に見ていきましょう。

「free from worldly cares」

「閑雲野鶴」の英語表現には、「free from worldly cares」があります。直訳すると「世俗的な心配から離れて」です。「worldly」は「この世の、世間の、世俗的な」という意味で、「cares」は「心配、気がかり、不安」などの意味で使われています。

ほかには、「life in natural setting」があり、直訳すると「自然の環境の中での生活」です。ここでいう「自然の環境」とは「ありのままの背景」というぐらいの意味合いでとらえるとちょうどいいですね。

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「閑雲野鶴」を使いこなそう

今回の記事では「閑雲野鶴」の意味・使い方・類語などを説明しました。

基本的な意味は「世俗に拘束されず自由にのんびりと暮らすこと」で、ゆったりと流れる雲と優雅に遊ぶ鶴をイメージしての四字熟語です。

今は鶴は絶滅が危惧されているぐらいなので、生態はイメージできないかもしれませんね。ただ、現代はみな忙しく、歩きながらスマホを見る人も多いので、ゆったりと雲が流れるようすのほうも実際に見る人は少なくなっているのかもしれません。現代における自然や環境が問題なのか、本人の行動や取り巻く環境が問題なのかはわかりませんが、自然などの景色をゆっくり見る余裕がほしいですね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「閑雲野鶴」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「閑雲野鶴」について解説する。

端的に言えば閑雲野鶴の意味は「世俗に拘束されることなく自由にのんびりと暮らすこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「閑雲野鶴」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「閑雲野鶴」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「閑雲野鶴」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「かんうんやかく」です。「閑雲野鶴」の意味だけでなく、語源や使い方まで幅広く見ていくと理解が深まりますよ。

「閑雲野鶴」の意味は?

「閑雲野鶴」には、次のような意味があります。基本的な意味とあわせて、四字熟語の漢字一つ一つの意味合いもチェックしていきましょう。

1.俗世に煩わされずに、自由にのんびりと暮らすこと。また、悠々自適の生活を送る隠士の心境のたとえ。

出典:四字熟語辞典(学研)「閑雲野鶴」

「閑雲野鶴」の「閑雲」は大空にゆったりと浮かぶ雲のこと、「野鶴」は広い野原で遊ぶ野生の鶴のことを表しています。雲と野生の鶴のようすから、何にも縛られずに、自由気ままに生活をするという意味につながっていますよ。

鶴は多くの餌と豊かな生態系を必要とするので、鶴が生息する場所は厳しい環境ではないということです。そういうこともあって、もとの意味に鶴が含まれていると考えられますね。

「閑雲野鶴」の語源は?

次に「閑雲野鶴」の語源を確認しておきましょう。

「閑雲野鶴」は同義の「間雲孤鶴(かんうんこかく)」が、僧貫休(そうかんきゅう)による『全唐詩話(ぜんとうしわ)』に「間雲孤鶴、何天而不可飛」として登場することに由来します

『全唐詩話』は1702年に成立し、中国の唐の時代の全ての詩が網羅されているということです。収録されている作者は2900人以上、作品数は48,900以上と言われています。

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