この記事では「旗幟鮮明(きしせんめい)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「旗幟鮮明」の意味は「主義・主張がはっきりしていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「旗幟鮮明」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「旗幟鮮明」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「旗幟鮮明」の意味や使い方を見ていきましょう。

「旗幟鮮明」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「旗幟鮮明」には、次のような意味があります。

旗じるしのあざやかなこと。主義・主張のはっきりしていること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「旗幟鮮明」

「旗幟鮮明」の「旗幟」とは、旗(はた)や幟(のぼり)のことをまとめた言葉です。一方の「鮮明」は、あざやかではっきりとしている様子を表しています。

ここでポイントとなるのが、旗や幟がたとえとして用いられているという点です。現在では、旗は国旗などととして、幟は店頭で人目を引くものとして用いられるのが一般的だといえます。

ところが、かつては異なる用途があったことを押さえておかなければなりません。大河ドラマなどで見る合戦のシーンを思い浮かべてみてください。

足軽も騎馬隊も鎧姿の背中に旗指物を背負っているのを見かけたことがないでしょうか。あれこそが、敵味方を判別する大きな役割を果たしているのです。

現代ではさすがに「合戦」はありませんが、「旗幟鮮明」という四字熟語でその意味合いだけは受け継がれています。

「旗幟鮮明」の使い方・例文

「旗幟鮮明」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「旗幟鮮明」の類義語は?違いは?」を解説!/

ここら辺りで旗幟鮮明にしておかないと、社長派・会長派のどちらからも敵だと認識されて出世に大きく響いてしまいますよ。

あえて旗幟鮮明にしておかないことで、どちらのサイドからも束縛を受けずに伸び伸びと自分のやりたいことができるはずだ。

昔からのしがらみで旗幟鮮明にできない人たちもいるということを、県議会議員の先生方にはどうか理解してもらいたいのです。

「旗幟鮮明」にするというのは、AチームとBチームのどちらの旗印を掲げるかのをはっきりさせるということです。言い換えれば、自分がどちらの主義・主張に近いのか、その立場を公にするということでもあります。

したがって、大前提として複数(主に二つ)の陣営が存在しなければなりません。最初の例文では、それが分かりやすく社長派と会長派という言葉で示されています。

ここでいう「旗幟鮮明」にしておくとは、どちらの陣営につくのか態度をはっきりさせるという意味合いです。残りの二つの例文では明示されていないものの、二つの対立するグループが存在しているのは間違いありません。

#2 「旗幟鮮明」の類義語は?違いは?

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ところで、「旗幟鮮明」類義語にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的なものを二つほど紹介していきます。

「明明白白」

「明明白白(めいめいはくはく)」は、「旗幟鮮明」の類義語の中でも分かりやすいもののひとつです。この四字熟語は、非常にはっきりとしている様子を表しています。

ただし、「旗幟鮮明」との違う部分もあるので注意が必要です。はっきりとはしているものの、そこには旗や幟に象徴される「主義・主張」の意味合いはありません。

代わりに、特定の意味だけではなく、はっきりとしている様子を広く一般的に用いることができます。

「灼然炳乎」

「灼然炳乎(しゃくぜんへいこ)」もまた、「旗幟鮮明」の類義語だといえるものです。この四字熟語はには、非常にはっきりとしているという意味合いがあります。

前半部の「灼然」の「灼」は「あきらか」と読み、「明」と似た意味を持つのが特徴です。また、後半部の「炳乎」の「炳」にも「あきらか」という読み方があります。

つまり、「灼然」も「炳乎」も似たような意味であり、それらを重ねることで意味を強調しているというわけです。では、これらの類義語を用いた例文をチェックしてみましょう。

\次のページで「「旗幟鮮明」の対義語は?」を解説!/

長い間味方であったはずの会長に彼が反旗を翻すような言動をとったことは、だれの目から見ても明明白白であった。

あなたの教えてくれたやり方のおかげで、ようやくだれが味方でだれが敵なのか灼然炳乎としてきましたよ。

#3 「旗幟鮮明」の対義語は?

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では、「旗幟鮮明」対義語はいったいどのようにとらえればよいのでしょうか。「はっきりとする」の反対は、「ぼんやりとする」「あいまいである」という意味であるはずです。

ここでは、そんな意味合いを持った四字熟語を二つほど見ていきましょう。

「有耶無耶」

「有耶無耶(うやむや)」は、「旗幟鮮明」の対義語の中でも非常によく使われるもののひとつです。この熟語には、あるのかないのかはっきりとしないという意味合いがあります。

この熟語には「ありやなしや」を漢文調に書いたのがはじまりだとする説が有力です。多くは「――にする」の形で使われます。

「曖昧模糊」

「曖昧模糊(あいまいもこ)」もまた、「旗幟鮮明」の対義語のひとつだといって差し支えありません。前半部の「曖昧」は、日常的によく使われているものですね。

では、後半部の「模糊」には、どういった意味があるのでしょうか。実は「模糊」にも、はっきりとしないという意味合いがあります。

したがって、「曖昧模糊」は同じような意味の熟語で構成されているといっていいでしょう。では、ここで例文をチェックしておきます。

目標とする数の英単語が覚えられたか有耶無耶にせずに、定期的に自己チェックをしていく必要があるのではないか。

登録商標や著作権の管理をいったいどこの部署のだれが責任を持ってやるのか、以前として曖昧模糊としたままである。

#4 「旗幟鮮明」の英訳は?

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ここにライティングを挿入してください。

\次のページで「「show the flag」」を解説!/

「show the flag」

「show the flag」は、「旗幟鮮明」の忠実な英語訳だといえるものです。この表現を直訳すると、「旗を見せる」となります。

これはどういうことかというと、船舶(特に軍艦)がどこの国や地域の所属なのかをはっきり相手に見せるという意味です。もちろん、「旗幟鮮明」にもある「態度をはっきりさせる」という意味合いもあります。

「define one's position」

「define one's position」もまた、「旗幟鮮明」の英語訳として通用するものです。この表現にある「define」には、明らかにするという意味合いがあります。

したがって、この英語表現の直訳は「自分の立場を明らかにする」になることが分かるはずです。旗や幟の要素はまったくありませんが、実際に表す意味としては申し分ないと思います。

「旗幟鮮明」を使いこなそう

この記事では「旗幟鮮明」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語の意味は、どちらのサイドに立つかそのスタンスを明確にすることでしたね。

人間なるべく敵は作りたくないので、ふだんはどっち付かずの曖昧な態度をとっている人も少なくないはずです。しかしながら、ときには自らのスタンスをはっきりさせなければならない瞬間もあるのではないでしょうか。

そんなときでも曖昧な姿勢を貫けば、人間として信用を失う危険性もあります。みなさんも、この四字熟語を使う機会があったら、臆せずに使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「旗幟鮮明」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

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端的に言えば「旗幟鮮明」の意味は「主義・主張がはっきりしていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「旗幟鮮明」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「旗幟鮮明」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「旗幟鮮明」の意味や使い方を見ていきましょう。

「旗幟鮮明」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「旗幟鮮明」には、次のような意味があります。

旗じるしのあざやかなこと。主義・主張のはっきりしていること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「旗幟鮮明」

「旗幟鮮明」の「旗幟」とは、旗(はた)や幟(のぼり)のことをまとめた言葉です。一方の「鮮明」は、あざやかではっきりとしている様子を表しています。

ここでポイントとなるのが、旗や幟がたとえとして用いられているという点です。現在では、旗は国旗などととして、幟は店頭で人目を引くものとして用いられるのが一般的だといえます。

ところが、かつては異なる用途があったことを押さえておかなければなりません。大河ドラマなどで見る合戦のシーンを思い浮かべてみてください。

足軽も騎馬隊も鎧姿の背中に旗指物を背負っているのを見かけたことがないでしょうか。あれこそが、敵味方を判別する大きな役割を果たしているのです。

現代ではさすがに「合戦」はありませんが、「旗幟鮮明」という四字熟語でその意味合いだけは受け継がれています。

「旗幟鮮明」の使い方・例文

「旗幟鮮明」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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