この記事では「真(ま)に受ける」について解説する。
端的に言えば、真に受けるは「言葉どおりに受け取る」ことです。どんなシチュエーションで使われるか知っているか。この機会に意味と使い方をきちんと理解しておこう。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「真に受ける」の意味をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「真に受ける」の意味と使い方

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さっそく「真に受ける」の意味をチェックし、例文で使い方を見ていきましょう。

「真に受ける」の意味

まず、国語辞典で「真に受ける」の意味をチェックしましょう。

ことば通りに受け取る。ほんとうだと思う。ほんとうにする。

出典:日本国語大辞典精選版「真に受ける」

「真」は「偽りがない」「本当」「真実」という意味です。「受ける」は「自分のほうに向かってくるものを受け止める」「差し出されたものを自分に取り入れる」「自分に向けられた行為に対処して応じる」「受け入れる」などの意味があります。「真に受ける」は「自分に対して言われたことを本当だと受け入れる」ことなので「言葉通りに受け取る」「本当だと思う」という意味です。

「真に受ける」の使い方

例文で「真に受ける」の使い方を見ていきましょう。

1.母は「歳より若く見える」と言われたことを真に受けて、その店でよそゆきのワンピースを3着も買った。
2.兄の話を真に受けてはいけない。そんなに儲かる投資があるわけがない。
3.「今度ぜひまたランチしましょう」と言われたので真に受けて「次回はいつ」と聞いたら、陰で社交辞令がわからないやつと言われてしまった。

\次のページで「「真に受ける」の類義語」を解説!/

最初の例文は、母はおだてられたことに気をよくして、洋服をたくさん購入してしまったという意味です。真に受けていなくてもほめられるとつい、うれしくなってしまうものですね。

2番目の例文は、投資話を持ちかける兄を信じてはいけないという意味です。真に受けないほうがよい類の話ですね。3番目の例文は、ランチの誘いが単なる社交辞令だとわからず言葉通りに受け取ったら、空気を読めない人と思われてしまったということです。

真に受けたことで、だまされそうになったり、空気を読めない人と思われたり、あまりよいシチュエーションでは使われていないようですね。

「真に受ける」の類義語

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「真に受ける」と同じような意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「鵜呑(うの)み」:真意を理解せず受け入れる

「鵜呑みにする」は鵜の習性が語源になっていますよ。鵜飼で有名な「鵜」は、捕らえた魚をかまずに丸のみします。「鵜呑み」は「食べ物をかまずにそのまま飲み込むこと」。転じて「物事の真意をよく理解せずにそのまま受け入れる」という意味になりました。

「額面(がくめん)通りに受け取る」:言葉どおりに受け取る

「額面」とは「有価証券の券面に記載された金額」です。株式については商法の改正によって企業が発行する株式は無額面株式となっていますよ。「額面通り」は「債権などの表面に記載された金額通り」という意味ですが、比喩的に「物事の表面の意味そのまま」「言葉通り」という意味があります。「額面通りに受け取る」「言葉どおりに受け取る」という意味です。

「妄信(もうしん)」:軽率に信用する

「妄信」「軽率に信用すること」「むやみやたらに信じること」という意味です。「盲信」も「わけも分からずに信じること」ですが、「妄信」のほうがより慎重さに欠けており、軽率であるという意味あいが強くなります。ちなみに「過信」は「物事や人を信用しすぎること」、「迷信」は「科学的な根拠がないのに信じること」です。

\次のページで「「真に受ける」の反対語」を解説!/

「真に受ける」の反対語

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「真に受ける」と反対の意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「受け流す」:ほどよくあしらう

「受け流す」「ほどよくあしらって相手の攻撃をかわす」「まともにとりあわずはぐらかす」などの意味があります。「切り込んできた刀を軽く受け、他にそらす」という意味もありますよ。武器による攻撃だけでなく、心ない言葉や甘い勧誘などの攻撃もうまく受け流したいものです。

「眉(まゆ)に唾(つば)をつける」:用心する

むかし、眉に唾をつければキツネやタヌキにだまされないという俗説がありました。「眉に唾をつける」「あざむかれないように用心する」「できすぎている話を疑う」という意味です。略して「眉に唾する」「眉唾(まゆつば)」ともいますよ。もうけ話やうまい話を持ちかけられたときは、まず眉に唾をつけて落ち着きましょう。

「真に受ける」の英訳

次は英語で「真に受ける」をどのように表現するか見ていきましょう。

「take seriously」:真に受ける

「take seriously」「真に受ける」という意味です。

Don’t take her too seriously.  
彼女の言うことを真に受けてはいけない。

\次のページで「「take ~ as truth」:真に受ける」を解説!/

「serious」は形容詞で「本気の」「まじめな」「重大な」という意味です。「seriously」は副詞で「本気に」「まじめに」「深刻に」という意味ですね。

「take ~ as truth」:真に受ける

「take ~ as truth」「真に受ける」「事実だと受け止める」という意味です。

You should not take anything he says as truth.  
彼の言うことを真に受けてはいけない。

「truth」は「真実」「真実性」「真相」という意味です。「stretch the truth」は直訳すると「真実を伸ばす」なので「大げさに言う」という意味。何かを打ち明けるときに「To tell the truth」というと「実は~」という表現になります。「to accept the truth」も「真実を受け入れる」という意味です。

「真に受ける」を使いこなそう!

この記事では、「真に受ける」の意味を調べ、使い方や類義語などを解説しました。

「真に受ける」「言葉通りに受け取る」「本当だと思う」という意味です。人の話を「真に受ける」と、だまされたり、社交辞令が通じない人と思われたり、あまりよいことがなさそうですね。しかし真に受ける人はどちらかといえば疑うことを知らない、真面目で純粋な人が多いような気がします。

「真に受ける」と「受け流す」をうまく使いこなせるようになりたいものですね。

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国語言葉の意味

「真に受ける」のはいいこと?悪いこと?意味・使い方・類義語などを日本放送作家協会会員がわかりやすく解説

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端的に言えば、真に受けるは「言葉どおりに受け取る」ことです。どんなシチュエーションで使われるか知っているか。この機会に意味と使い方をきちんと理解しておこう。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「真に受ける」の意味をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ

日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。

「真に受ける」の意味と使い方

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さっそく「真に受ける」の意味をチェックし、例文で使い方を見ていきましょう。

「真に受ける」の意味

まず、国語辞典で「真に受ける」の意味をチェックしましょう。

ことば通りに受け取る。ほんとうだと思う。ほんとうにする。

出典:日本国語大辞典精選版「真に受ける」

「真」は「偽りがない」「本当」「真実」という意味です。「受ける」は「自分のほうに向かってくるものを受け止める」「差し出されたものを自分に取り入れる」「自分に向けられた行為に対処して応じる」「受け入れる」などの意味があります。「真に受ける」は「自分に対して言われたことを本当だと受け入れる」ことなので「言葉通りに受け取る」「本当だと思う」という意味です。

「真に受ける」の使い方

例文で「真に受ける」の使い方を見ていきましょう。

1.母は「歳より若く見える」と言われたことを真に受けて、その店でよそゆきのワンピースを3着も買った。
2.兄の話を真に受けてはいけない。そんなに儲かる投資があるわけがない。
3.「今度ぜひまたランチしましょう」と言われたので真に受けて「次回はいつ」と聞いたら、陰で社交辞令がわからないやつと言われてしまった。

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