日本の大学受験のシステムは、AO入試や推薦入試などが増えてきましたが、一般入試については「十年一日」であまり変化がないですよね。その一方で大学の序列は昔と比べてかなり変わっています。

この「十年一日」というのは「長い間に少しも変わっていないこと」という意味を表す四字熟語です。知っておくと便利です。ということで、今回は「十年一日」について、院卒日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で働く、日本で大学院修士課程を修了した日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「十年一日」の意味や使い方は?

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「十年一日」という言葉、どうでしょうか。見た目で何となく意味を掴めても、正確な意味までは把握できていない…という方が多いかもしれませんね。まずは、その「十年一日」について、意味と使い方を確認していきましょう。

「十年一日」の意味は「長い間に少しも変わっていないこと」

最初に、「十年一日」の辞書での意味を確認していきましょう。「十年一日」は、国語辞典には次のような意味が掲載されています。

長い年月の間、変わることなく同じ状態であること。
「―のごとく変化のない生活」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「じゅうねん-いちじつ【十年一日】ジフネン―」

「十年一日(じゅうねんいちじつ)」は「長い年月の間、変化なく同じ状態であること」という意味の四字熟語です。「一日」は「いちにち」ではなく「いちじつ」と読むのが正解なので、注意しましょう。「十年」は長い年月のたとえであり、「一日」は短い時間をたとえた表現です。「長い年月が短い時間のように思われるほど変化がない」というニュアンスを持ちます。

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「十年一日」の使い方を例文とともに確認!

次に、「十年一日」の使い方を例文とともに確認していきましょう。なお、「十年一日」には、「少しも変化や成長がない」という悪いニュアンスで用いられることが多いという特徴があります。また、「十年一日のごとく」という形で使用されることが多いのも特徴です。

1.日本の新卒の就職活動のシステムは、根本的な部分は十年一日で変わっていない。
2.漫画家としてデビューして以来、十年一日のごとく同じようなルーティーンの生活をしている。最近は変化が欲しくなってきた。
3.十年一日のごとく会社と家の往復の暮らしを続けている。

例文1では、日本の新卒の就職活動のシステムについて、「根本的な部分は昔から変わっていない」という文脈で「十年一日」が使用されています。現在ではインターネットが活用されるようになりましたが、大学生の内から就職活動を開始し、いくつもの会社にエントリーし、何回も試験を受ける…という流れは昔から変わっていないでしょう。

例文2では、「デビュー以来、ずっと何年も同じような生活をしている」という文脈で「十年一日」が使用されています。連載を抱えている漫画家は、締め切りに追われながら過ごすので、「十年一日」の生活パターンになってしまうのは宿命かもしれませんね。

例文3では、「何年もずっと会社と家を往復する暮らしを続けている」という文脈で「十年一日」が使用されています。思い切って独立したり起業したりしない限りは、この「十年一日」の生活は変わらないかもしれませんね。

「十年一日」の類義語は?

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続いて、「十年一日」の類義語を見てみましょう。「十年一日」の類義語は「千年一日」「旧態依然」「永遠不変」「万世不易」です。それぞれの意味を確認し、「十年一日」と比較してみてください。

「千年一日」:長い間に少しも変わっていないこと

「千年一日」は「長い間に少しも変わっていないこと」という意味の四字熟語です。意味やニュアンスは「十年一日」と変わりません。太宰治の小説などに登場する言葉ですが、現在ではあまり使われていない印象があります。

「旧態依然」:昔のままで、進歩・発展がない様子

「旧態依然」は「昔のままで、進歩・発展がない様子」という意味の四字熟語です。意味やニュアンスは「十年一日」と似ていますが、「進歩・発展がない」と、より強いマイナスのニュアンスを持った言葉となっています。

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「永遠不変」:いつまでも変わらないこと

「永遠不変」は「いつまでも変わらないこと」という意味の四字熟語です。ある物事が長い年月を経ても変わらないことを意味します。ただ、この言葉にはマイナスのニュアンスはありません。ただ「ずっと変化がないこと」を表します。

「万世不易」:永遠に変わらないこと

「万世不易(ばんせいふえき)」は「永遠に変わらないこと」という意味の四字熟語です。ある物事がずっと永遠に変化しないことを意味します。この言葉にもマイナスのニュアンスはありません。ただ「ずっと変化がないこと」を表します。

「十年一日」の英語表現は?

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最後に、「十年一日(じゅうねんいちじつ)」の英語表現を見ていきましょう。「十年一日」に近い意味を表す英語表現は「old and unchanged」です。意味や例文を見ていきましょう。

「old and unchanged」:相変わらずの、変わっていない

old and unchanged」は「相変わらずの」「変わっていない」という意味を表す英語表現です。「十年一日」には「長い年月が経っても」というニュアンスがありますが、「old and unchanged」は「古い」「変化がない」というニュアンスがあるので、似ていると言えるでしょいう。例文は以下の通りです。

1.Many foreign language education experts have pointed out that English education in Japan is old and unchanged.
多くの外国語教育専門家が指摘しているが、日本の英語教育は十年一日のごとしだ。

2.The management structure of the brokerage firm where I worked as a new graduate was old and unchanged. Yesterday, I saw the news that that company went bankrupt, and rightly so.
新卒で就職した証券会社の経営体制は十年一日のものであった。昨日その会社が倒産したという報道を見たが、当然だろう。

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変化を恐れて「十年一日」にならないように!

今回は「十年一日」について解説しました。「十年一日」は「長い年月の間、変化なく同じ状態であること」という意味の四字熟語です。「少しも変化や成長がない」という悪いニュアンスで用いられることが多いことが特徴ですね。

良いことについては「十年一日」でも問題ありませんが、良くないこと、変えなければならないことは「十年一日」では駄目でしょう。変化する勇気を持って、行動しましょう!

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国語言葉の意味

たった1日のような10年?「十年一日」の意味や類義語などを院卒日本語教師がわかりやすく解説

日本の大学受験のシステムは、AO入試や推薦入試などが増えてきましたが、一般入試については「十年一日」であまり変化がないですよね。その一方で大学の序列は昔と比べてかなり変わっています。

この「十年一日」というのは「長い間に少しも変わっていないこと」という意味を表す四字熟語です。知っておくと便利です。ということで、今回は「十年一日」について、院卒日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で働く、日本で大学院修士課程を修了した日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「十年一日」の意味や使い方は?

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「十年一日」という言葉、どうでしょうか。見た目で何となく意味を掴めても、正確な意味までは把握できていない…という方が多いかもしれませんね。まずは、その「十年一日」について、意味と使い方を確認していきましょう。

「十年一日」の意味は「長い間に少しも変わっていないこと」

最初に、「十年一日」の辞書での意味を確認していきましょう。「十年一日」は、国語辞典には次のような意味が掲載されています。

長い年月の間、変わることなく同じ状態であること。
「―のごとく変化のない生活」

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「じゅうねん-いちじつ【十年一日】ジフネン―」

「十年一日(じゅうねんいちじつ)」は「長い年月の間、変化なく同じ状態であること」という意味の四字熟語です。「一日」は「いちにち」ではなく「いちじつ」と読むのが正解なので、注意しましょう。「十年」は長い年月のたとえであり、「一日」は短い時間をたとえた表現です。「長い年月が短い時間のように思われるほど変化がない」というニュアンスを持ちます。

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