「人工元素」はどんな元素?科学館職員がわかりやすく解説
超ウラン元素 プルトニウム
冥王星、Plutoにちなんで名付けられた原子番号94番のプルトニウム(Pu)。アクチノイド(原子番号89~103)の元素です。放射性元素の一種で天然にもわずかに存在し、ウラン鉱石に含まれています。プルトニウムは毒性、発がん性がある物質です。そのため日本では保管、取り扱いが規制されています。
1941年にアメリカの化学者が合成、分離に成功しました。プルトニウムは原子力電池として宇宙探査機に使われています。そしてプルトニウムは原子爆弾にも使われ、発見から4年後の1945年に長崎に落とされました。
冥王星の名前の由来についてはこちらで確認してください。
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超ウラン元素 アメリシウム
原子番号95番のアメリシウム(Am)。周期表を見るとアメリシウムの上にヨーロッパ大陸にちなんだ63番ユウロピウム(Eu)があり、その下の元素と言う事でアメリカ大陸にちなんだ名前が付けられました。
1944年にアメリシウムの合成・単利に成功したのはカルフォルニア大学の研究チームです。プルトニウム239に中性子2つをぶつけてプルトニウム241とし、これが崩壊することでアメリシウム241を得ることに成功しました。
アメリシウムは銀白色の放射性の金属元素です。蛍光X線装置などに用いられています。
超ウラン元素 キュリウム
もっとも有名な科学者夫婦、キュリー夫妻の名前が付けられた原子番号96番の元素キュリウム(Cm)。プルトニウム同様にシーボーグが合成に携わっています。
原子力電池や惑星探査機に使われている元素です。銀白色の金属で、すべての同位体に放射性があります。
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超ウラン元素 ニホニウム
原子番号113番のニホニウム(Nh)。その名の通り日本で発見され名付けられた、アジア初の新元素です。2016年に正式に名前が決定し、それまでは仮称としてウンウントリウムと呼ばれていました。
2003年にロシアとアメリカのグループが115番の元素、モスコビウムの合成に成功した際に113番の元素を観測したものの、命名権を得ることはできませんでした。そして2004年に日本の理化学研究所のグループが亜鉛とビスマスを衝突させ、113番目の元素の合成に成功します。
2015年に世界の化学者が集まったIUPAC評議会によって理化学研究所の研究グループに命名権が与えられました。そしてニホニウム(Nh)という名前に決まったのです。なおこの時名前の候補にはジャポニウム(ジャパニウム)、研究所の場所からワコニウムというのが上がっていました。
名前も興味深い人工元素
天然の元素はその性質にちなんだ名前が付けられたものが多いですが、人口元素は科学者や地名由来のものが多くあります。惑星由来の元素もあり、名前の由来を調べるのも楽しいですね。
日本の名前がついた元素がつくまでには最初の発見から100年以上の時間がかかっています。最初に日本で合成された元素はニッポニウムという名前で報告されるも、命名権は得られませんでした。これから日本の地名や科学者にちなんだ元素が生まれるかもしれませんね。

