「人工元素」はどんな元素?科学館職員がわかりやすく解説
基本の人工元素 プロメチウム
ギリシャ神話に登場する人類に火を伝えた火の神の名前(プロメテウス)から付けられた61番目の元素、プロメチウム(Pm)。ランタノイド系(原子番号57~71)の元素で、1947年に発見されました。
銀白色の金属で、同位体がすべて放射性の放射性元素です。ウランが自核分裂することで天然のウラン鉱石中にもわずかに存在します。核分裂とは不安定な元素が分裂して原子量の軽いふたつ以上の元素になることです。プロメチウムは原子力電池として用いられています。
基本の人工元素 アスタチン
アスタチン(At)は原子番号85番の元素で、ハロゲン元素の一種です。アスタチンの語源はギリシア語で不安定を意味しています。メンデレーエフはエカヨウ素と名付けて存在を予想していました。
アスタチンはその名の通り崩壊しやすく、あまり性質はわかっていません。昇華しやすく、水に溶ける性質であることが分かっています。今のところ研究用にしか使われていません。しかし、癌の治療への利用が期待されています。
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基本の人工元素 フランシウム
原子番号87番のフランシウム(Fr)は発見者であるペレーの出身国、フランスにちなんで名付けられました。ペレーはキュリー夫人の助手だった人物です。
アルカリ金属元素で最も原子番号が大きいが大きく、その存在は1870年代から予想されていました。そのためエカセシウムと名づけられた87番の元素は1939年に発見されるまでに、何度か誤った発見の報告があったそうです。
放射性の強い元素で、固体として存在しています。自然界にある元素の中で最も不安定。そのため研究目的以上の活用方法は今のところなく、詳しい性質も不明です。
超ウラン元素 ネプツニウム
原子番号93番のネプツニウム(Np)の名前の由来は海王星(Neptune)。アクチノイド元素の一種で、超ウラン元素の中で最も軽い元素です。見た目は銀白色の金属で、展性・延性に富んでいます。
ネプツニウムはプルトニウムの製造に使われている元素です。また、理論上では原子力燃料として使えるとされています。
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