ユダヤ人迫害の背景にはキリスト教が関係?
Vasily Petrovich Vereshchagin – first upload:art-catalog.ru second upload: freechristimages.org, パブリック・ドメイン, リンクによる
ユダヤ人迫害=ヒトラーと思われがちですが、ヨーロッパでは昔から行われてきました。キリスト教にて伝わるイエス・キリストの最期にユダヤ人が関わったという逸話がその原因です。
キリスト教の位置づけは裏切り者
キリスト教はユダヤ教から派生して生まれた宗教。律法に厳しいユダヤ教を批判したのがイエス・キリストでした。そのためユダヤ教の上層部の怒りを買い、反逆を企てている危険人物と見なされます。その結果、十字架にはりつけとなり処刑されました。
ヨーロッパはキリスト教国家がメインとなります。それによりユダヤ人=悪とみなされ、ゲットーに隔離されるように。ユダヤ人は卑しい職業とされた金貸しなどで成功をおさめますが、それがさらにネガティブなイメージをつくりだしました。
アーリア人とユダヤ人の対立構造
ヒトラーが想像する世界は「アーリア人」と「ユダヤ人」という二つの民族だけの世界。彼にとってほかの民族は存在しないも同然でした。さらに彼が思い描く戦いは「勝つか負けるか」のどちらかだけという極端なものでした。
そこでヒトラーは上位にあるアーリア人を絶やさないように、そしてドイツ国民を守るために、ユダヤ人を排除するという思想を固めていきます。ほとんど仮想敵のような存在でした。
ヒトラーが極端な人種観を持つようになった背景として、当時の科学が深くかかわっています。この当時、欧米を中心に「ダーウィニズム」が流行。これは、ダーウィンの「適者生存」を人間世界にあてはめ、脅威となる人種を排除しなければ自分たちが滅びると信じたのです。ダーウィンの「適者生存」は、生物の進化の歴史を語るものであり、差別観はまったくありません。「ダーウィニズム」は、科学の力によって人種差別を正当化してしまったのです。
ユダヤ人迫害の根拠となったニュルンベルク法
不明または not provided 翻訳 – U.S. National Archives and Records Administration, パブリック・ドメイン, リンクによる
ニュルンベルク法とはナチス政権時代のドイツで施行された法律。正式には「ドイツ人の血と名誉を守るための法律」と「帝国市民法」のふたつをあわせてニュルンベルク法と言います。
ドイツ人の血と名誉を守るために何をした?
ニュルンベルク法の目的はドイツ人の血統を守ること。そのため異なる民族の迫害を法的に合法化しました。また、政治的にナチスと相いれない立場の人を排除することも法的に認めます。
ドイツ人の血と名誉を守るために排除されたのは、政治的に相いれない左翼、そして非アーリア人であるユダヤ人でした。これらによりふたつのグループは公務員から排除されることになります。
\次のページで「ニュルンベルク法を通じてユダヤ人とは何かを定義」を解説!/