
端的に言えば論功行賞の意味は「功績の大きさに応じてご褒美を取らせること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
難関高校受験専門の学習塾講師を10年経験したwhite-sugarを呼んです。一緒に「論功行賞」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/white_sugar
文系中心に5教科オールラウンダーとして難関校専門学習塾講師を10年務めた後、引退。開成高校、筑波大学付属駒場高校を筆頭に早慶附属・系属高校など首都圏最難関クラスの高校合格者を多数輩出。
「論功行賞」の意味は?
「論功行賞」には、次のような意味があります。
功績の有無や大きさの程度を調べ、それに応じてふさわしい賞を与えること。▽「論功」は手柄の大小を調べること。「功こうを論ろんじ賞しょうを行おこなう」と訓読する。
出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「論功行賞」
功績や戦績を調べて、それに応じたほうびを与えること。
出典:四字熟語辞典(学研)「論功行賞」
功績を論じ、その程度に応じて賞を与えること。
出典:大辞泉(小学館)「論功行賞」
人はなんのために働くか。その動機付けに「見返り」は大きなファクターとなるでしょう。「論功行賞」の由来は後述するとして、組織の上下関係のつながりは、上の者が下の者にいかに報いるかが鍵となります。命を懸ける場合は特に。
戦争で功績を上げた者にきちんと褒美を与えなければ、その者だけではなく周囲の人間も張り合いをなくして去っていきます。去るだけならまだ良いですが、謀反を起こす可能性も否定できません。しかし、不公平な恩賞は贔屓だと不満を招きます。これもまた、部下の信頼を失う結果を招くでしょう。
そこで、誰がどれだけ貢献したのか、きちんと調査・議論をしよう、その結果認められた功績に応じて褒賞を与えよう、というのが「論功行賞」です。戦乱の世でどれだけ敵を倒したかの証として首や鼻、耳を切り取って陣営に送ったのは、そのため。現代からするとあまりにも残虐で非道に思われますが、時代や世相を考えると合理的な面も確かにありました。
当時の褒賞は主に領地や名誉のある地位でした。もちろん、敵から没収した金品や人員があてがわれることもありましたが。現代では昇進(地位)もありますが、お給料やボーナスについて使われることが多いですね。
「論功行賞」の語源は?
次に「論功行賞」の語源を確認しておきましょう。
「論功行賞」の由来は古代中国。もはやお馴染みとなった「三国志」の中でも「魏志明帝紀」にその記述がみられます。「功を論じ賞を行う」というのがその一節です。
今の感覚だと「当たり前ではないか」と考えがちですが、当時の中国は身分社会。権力闘争も頻繁に起こっています。身分の高いものが低いものの手柄を奪ったり、ライバルを謀で蹴落としたりもザラでした。
今もこれらの抗争が組織の中でないとは言い切れませんが、いずれにせよ将軍や皇帝と言ったトップが加担しては(したように見えては)組織の屋台骨が揺らいでしまいますね。組織の構成員のやる気を引き出すにも欠かせない視点と言って間違いないでしょう。
「論功行賞」の使い方・例文
「論功行賞」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.君の研究が新薬開発の大きな進展になったのに、論功行賞の対象にならないだなんて、馬鹿げているよ。
2.うちの社長は厳しいけれど、その分公平な論功行賞をするからな。そうでなければ、今頃オレは退職してるさ。
3.今回の人事で彼が出世したのは論功行賞の色が強いだろう。
上のような例文を見るとわかりますが、「論功行賞」はビジネスシーンで頻繁に使われる四字熟語です。仕事以外にも何らかの見返りがある場合に使わないこともありませんが、少し仰々しい印象になってしまいますね。
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