この記事では「雲泥万里」について解説する。

端的に言えば雲泥万里の意味は「かけ離れていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「雲泥万里」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「雲泥万里」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「雲泥万里(うんでいばんり)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「雲泥万里」の意味は?

「雲泥万里」には、次のような意味があります。

物事が非常にかけ離れていること。天地雲泥。うんてんばんてん。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「雲泥万里」

「雲泥(うんでい)」とは空に浮かぶ“雲”と地上の“泥”のこと。「里」は距離の単位のひとつで、「万里(ばんり)」で非常に長い距離のことを意味します。

空にある雲と地上の泥ではきわめて遠い距離があることから、へだたりのはなはだしいこと極端に違うことを表現した四字熟語が「雲泥万里(うんでいばんり)」です。特に「雲泥」と「万里」と距離のある意味の単語を重ねることで、強調した言い回しとなっています。

また関連した言葉として「雲泥の差(うんでいのさ)」「雲泥万天(うんでいばんてん)」もありますが、いずれも「雲泥」を用いてかけ離れた様子を表現した言葉です。

「雲泥万里」の語源は?

次に「雲泥万里」の語源を確認しておきましょう。この言葉は中国の歴史書である『後漢書(ごかんじょ)』矯慎伝(きょうしんでん)が出典と言われています。

この中に書かれているのが「雲に乗り泥を行きて棲宿(せいしゅく)同じからずと雖(いえど)も…」という一節。これは“あなたと私は雲に乗る竜と泥の中を這う亀ほどかけ離れたところに住んでおりますが…”という意味になります。

このように離れた距離のことを雲と泥を用いて表現したのが、「雲泥万里」の語源です。

\次のページで「「雲泥万里」の使い方・例文」を解説!/

「雲泥万里」の使い方・例文

「雲泥万里」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.サービスを見直し、地道な努力を重ねてきた。そのおかげか今年の売上は好調で去年と比べて雲泥万里になりそうだ。
2.彼女は仕事ができて、能力も人気も自分とは雲泥万里だ。努力しても埋められない差が悔しくなる。
3.兄とは仲が良いが、性格は雲泥万里とみんなに言われる。一緒に育った実兄なのに不思議なものだ。

比較するも非常にかけ離れているときに「雲泥万里」は使われます。その様子のみを表すため、1のように肯定的にも2のように否定的な文にも用いることが可能です。

ただし言い換えれば、使い方によって印象も変わってしまいます。用いる際は相手に誤解を与えたり、不快に感じさせることのないようにしましょう。

「雲泥万里」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 16035124

ここでは「雲泥万里」と似た意味を持つ類義語について解説します。

「天淵之差」

「天淵之差」は「てんえんのさ」と読む四字熟語。「淵(ふち)」は水の深いところを指しており、「天淵」で天地の意味を持ちます。そのため天地ほどの差がある、転じて非常にかけ離れている様子を表現した言葉です。

「雲泥万里」が雲と泥の距離をたとえたのに対し、こちらは天と地でその距離を表現しています。意味もほぼ同じであり、「雲泥万里」の類義語と言えるでしょう。

\次のページで「「月とすっぽん」」を解説!/

「月とすっぽん」

「月とすっぽん」は有名なことわざですね。空に浮かぶ月と地上のすっぽんを対比し、非常に異なるという意味を持ちます。「雲泥万里」同様にかけ離れていることを表現しているため、類義語のひとつと言えるでしょう。

ただし、「月」と「すっぽん」はどちらも丸く見た目の共通点があります。そのため「月とすっぽん」は「似ているところがあるのに大きく違う」ものを表現する言葉です。「雲泥万里」とはニュアンスが異なることを抑えておきましょう。

「雲泥万里」の対義語は?

「雲泥万里」とは非情にかけ離れた様子のこと。その対義語となる表現を見ていきましょう。

「大同小異」

「大同小異(だいどうしょうい)」とは、細かいところは違えどだいたい同じこと。つまり大差がないことを指した四字熟語です。「大同」とは“だいたいが同じ”ことで、「小異」とは“小さな違い”を意味しており、この二つの語句が合わさって構成されています。

「雲泥万里」の「比較にならないほど違いがある」という意味とは正反対で、ほとんど両者に違いがないことを指す時に用いる表現です。

「紙一重」

「紙一重(かみひとえ)」とは、紙1枚の厚さほどのわずかな違いしかないことを指す言葉です。日常生活でもよく耳にする言葉ではないでしょうか。

「雲泥万里」は雲と泥ほどの距離にたとえられるのに対し、紙1枚ほどの違いを表現する「紙一重」はまさしく反対の意味の言葉ですね。

「雲泥万里」の英訳は?

image by PIXTA / 9780905

「雲泥万里」を英語で表現するにはどのように訳すのが良いでしょうか。最後に英訳について確認していきましょう。

「a world of difference」

「a world of difference」は「雲泥万里」の英訳表現のひとつです。「a world」はここでは「天と地」という意味を持ち、“天と地ほどの差”という訳になります。

「雲泥万里」の持つ比喩表現や、非常にかけ離れた様子を強調したい場合にはこの英語表現を用いるのがおすすめです。

また言い換え表現で「all the difference in the world」と英訳することもできます。

\次のページで「「be far apart」」を解説!/

「be far apart」

「be far apart」“かけ離れた”という意味の英語表現です。ただ離れたことを指すより、“あまりにも差があり過ぎる””ハードルが高すぎる”といったニュアンスで用いられます。

そのため「雲泥万里」の意味を端的に表現したい場合は、この英語表現をするのもいいでしょう。

「雲泥万里」を使いこなそう

この記事では「雲泥万里」の意味・使い方・類語などを説明しました。

恐らく日常生活では「雲泥の差」の方が一般的で、「雲泥万里」はそこまで聞かないのではないでしょうか。ですが、「雲泥の差」を強調したい時にはぜひ「雲泥万里」という言葉も使ってみてください。せっかく覚えた言葉も使って覚えていくことで、それこそ最初とは“雲泥万里”の語彙力が身に着きますよ。

" /> 【四字熟語】「雲泥万里」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【四字熟語】「雲泥万里」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「雲泥万里」について解説する。

端的に言えば雲泥万里の意味は「かけ離れていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「雲泥万里」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「雲泥万里」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「雲泥万里(うんでいばんり)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「雲泥万里」の意味は?

「雲泥万里」には、次のような意味があります。

物事が非常にかけ離れていること。天地雲泥。うんてんばんてん。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「雲泥万里」

「雲泥(うんでい)」とは空に浮かぶ“雲”と地上の“泥”のこと。「里」は距離の単位のひとつで、「万里(ばんり)」で非常に長い距離のことを意味します。

空にある雲と地上の泥ではきわめて遠い距離があることから、へだたりのはなはだしいこと極端に違うことを表現した四字熟語が「雲泥万里(うんでいばんり)」です。特に「雲泥」と「万里」と距離のある意味の単語を重ねることで、強調した言い回しとなっています。

また関連した言葉として「雲泥の差(うんでいのさ)」「雲泥万天(うんでいばんてん)」もありますが、いずれも「雲泥」を用いてかけ離れた様子を表現した言葉です。

「雲泥万里」の語源は?

次に「雲泥万里」の語源を確認しておきましょう。この言葉は中国の歴史書である『後漢書(ごかんじょ)』矯慎伝(きょうしんでん)が出典と言われています。

この中に書かれているのが「雲に乗り泥を行きて棲宿(せいしゅく)同じからずと雖(いえど)も…」という一節。これは“あなたと私は雲に乗る竜と泥の中を這う亀ほどかけ離れたところに住んでおりますが…”という意味になります。

このように離れた距離のことを雲と泥を用いて表現したのが、「雲泥万里」の語源です。

\次のページで「「雲泥万里」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: