この記事では「喧喧囂囂(けんけんごうごう)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「喧喧囂囂」の意味は「うるさい様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「喧喧囂囂」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「喧喧囂囂」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「喧喧囂囂」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「喧喧囂囂」の意味は?

まずは国語辞典での定義から。「喧喧囂囂」には、次のような意味持つことばです。

多くの人が銘々勝手に発言してやかましいさま。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「喧喧囂囂」

まず、この四字熟語はあまりなじみのない漢字を使用しているので、読み方や書き方をしっかりと押さえておきましょう。「喧喧囂囂」の正しい読み方は、「けんけんごうごう」です。

「囂」の字の書き方は、「器」という字をイメージすると分かりやすいかもしれません。「器」は真ん中に「大」に似た字が入っていますが、「囂」の場合はそこを「頁」に置き換えてみてください。

「喧」の字も「囂」の字も表す意味は「うるさい」「やかましい」とほぼ同じです。これをそれぞれ二つずつ重ねることで意味を強調していると考えてください。

「囂」はともかく、「喧」の方は、「喧騒」や「喧伝」などの表現で見かけることも多いのではないでしょうか。

「喧喧囂囂」の使い方・例文

「喧喧囂囂」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「喧喧囂囂」の類義語は?違いは?」を解説!/

給付金をめぐる与野党の議論は白熱し、まさに喧喧囂囂たるものであった。

喧喧囂囂の役員会を経て、ようやく来年度の経営方針が固まったところだ。

連載中の教育コラムに対する喧喧囂囂たる非難が沸きあがり、収拾がつかなくなった。

「喧喧囂囂」の意味・用法を正しく理解しようとする際に、外せないポイントがあります。それは、国語辞典の定義にもあったように、多くの人々が発言をしているという点です。

つまり、仮に大声で言い争っていたとしても、それが二人の間で起きた口論では「喧喧囂囂」は使えないということでもあります。はじめの例文では「与野党の議論」とありますから、けっして二人などではなく数十人~数百人規模のものなのでしょう。

二つめの例文でも「役員会」とありますので、少なくとも二人だけではないと推察されます。最後の例文では、特にこれといった記述はないものの、「コラム」というのは本来不特定多数の読者に読まれるものが一般的です。

「喧喧囂囂」を誤って「喧喧諤諤(けんけんがくがく)」と表してしまうケースがしばしば散見されます。これは、読み方の似た「侃侃諤諤(かんかんがくがく)」と混同してしまったとする説が有力です。

ちなみに、「侃侃諤諤」は遠慮会釈なしに思っていることをはっきりいうことを表します。

#2 「喧喧囂囂」の類義語は?違いは?

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ところで、「喧喧囂囂」類義語にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、中でも代表的なものを二つご紹介します。

「七嘴八舌」

「七嘴八舌(しちしはちぜつ)」は、「喧喧囂囂」の類義語として十分に通用するものだといえます。この四字熟語を構成する漢字の「嘴」は「くちばし」という意味です。

つまり、この熟語は「七つのくちばしと八つの舌」という意味であることが分かります。もちろん、このことが転じて様々な人からいろいろな意見が出るという意味になったことはいうまでもありません。

「嘴」といえば、「嘴を挟む」や「嘴を突っ込む」などという表現もありましたね。

\次のページで「「物議騒然」」を解説!/

「物議騒然」

「物議騒然(ぶつぎそうぜん)」もまた、「喧喧囂囂」の類義語だといって差し支えのないものです。こちらの四字熟語の意味は、世間が騒がしく落ち着かない様子を意味しています。

物議を醸(かも)すなどの表現でも目にする「物議」は、ひとことでいえば世論のことです。後半の「騒然」は騒がしいさまを表します。

では、これらの類義語を用いた例文をチェックしてみましょう。

その検索サイトの名前を無断で持ち出して商売をしようとしたことに、七嘴八舌の意見が飛び交った。

生産者の立場からすれば、ブランドの認定に不正があったことに物議騒然となるのは当たり前だ。

#3 「喧喧囂囂」の対義語は?

では、「喧喧囂囂」対義語はいったいどのようにとらえればいいのでしょうか。「うるさい」「やかましい」の反対が、「静かな」「落ち着いた」となるのは当然のことですね。

ここでは、そんな意味合いを持った四字熟語を二つほど紹介していきます。

「沈思黙考」

「沈思黙考(ちんしもっこう)」は、「喧喧囂囂」の対義語たりえるものです。この四字熟語には、静かに物事を考えるという意味があります。

前半部の「沈思」が表す意味は、物思いにふけることです。後半部の「黙考」は、静かに考えるという意味合いを表します。

このように、さかんに議論を交わすのではなく、静かに案を考えている様子がうかがえる表現だといえるでしょう。

「冷静沈着」

「冷静沈着(れいせいちんちゃく)」もまた、「喧喧囂囂」の対義語だといえる存在です。こちらの四字熟語は、何事にも動じることなく落ち着き払った様子を表しています。

「冷静」も「沈着」も、ほぼ同じような意味を持った熟語です。これらの熟語を重ねて用いることによって、意味を強調するはたらきをしていると考えてください。

では、これらの対義語を用いた例文も忘れずにチェックしておきましょう。

その他のおすすめメニューを眺めながら、部員たちはしばらくの間沈思黙考していた。

みんなの不安な気持ちは分かるが、検定一発合格に向けた冷静沈着な話し合いが必要だと思う。

\次のページで「「喧喧囂囂」の英訳は?」を解説!/

#4 「喧喧囂囂」の英訳は?

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では、最後に「喧喧囂囂」の英語訳についても押さえておきましょう。

「hotly debated」

「hotly debated」は、「喧喧囂囂」を上手に意訳したものだといえます。こちらの表現の直訳は「激しい議論」です。

「ケンケンゴウゴウ」のような特有のリズム感はありませんが、意味内容は十分に伝わることでしょう。

「喧喧囂囂」を使いこなそう

この記事では「喧喧囂囂」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語の表す意味は、やかましく言い争うことでしたね。

何事においても、議論をさかんに行うことは悪いことではありません。むしろ、歓迎されるべきことだといってもいいでしょう。

ただし、それはきちんと秩序のあるものでなくてはなりません。そして、議論が尽くされ採決された後は、それに従うことが重要です。

みなさんも、この四字熟語を用いる機会があったら、臆せずにどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「喧喧囂囂」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「喧喧囂囂(けんけんごうごう)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「喧喧囂囂」の意味は「うるさい様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「喧喧囂囂」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「喧喧囂囂」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「喧喧囂囂」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「喧喧囂囂」の意味は?

まずは国語辞典での定義から。「喧喧囂囂」には、次のような意味持つことばです。

多くの人が銘々勝手に発言してやかましいさま。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「喧喧囂囂」

まず、この四字熟語はあまりなじみのない漢字を使用しているので、読み方や書き方をしっかりと押さえておきましょう。「喧喧囂囂」の正しい読み方は、「けんけんごうごう」です。

「囂」の字の書き方は、「器」という字をイメージすると分かりやすいかもしれません。「器」は真ん中に「大」に似た字が入っていますが、「囂」の場合はそこを「頁」に置き換えてみてください。

「喧」の字も「囂」の字も表す意味は「うるさい」「やかましい」とほぼ同じです。これをそれぞれ二つずつ重ねることで意味を強調していると考えてください。

「囂」はともかく、「喧」の方は、「喧騒」や「喧伝」などの表現で見かけることも多いのではないでしょうか。

「喧喧囂囂」の使い方・例文

「喧喧囂囂」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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