
端的に言えば骨折り損のくたびれ儲けの意味は「無駄な苦労」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「骨折り損のくたびれ儲け」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/Hata
以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。
「骨折り損のくたびれ儲け」の意味は?
「骨折り損のくたびれ儲け」には、次のような意味があります。
苦労しても、疲れるだけで、少しも成果が上がらないこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「骨折り損の草臥れ儲け」
「骨折り損のくたびれ儲け」とは、“疲れるほど労力を使ったのに結果が出なかった”という意味。ただ疲労だけが残ったという意味で、後悔の気持ちも含んだことわざです。
「骨折り」とはケガとしての“骨が折れる”ではなく、ここでは「苦労する」という意味を指します。苦労することを「骨が折れる」と言うことがありますが、それと同様の意味です。さらにそれほどの苦労をしたことで、むしろエネルギーや時間を消費して損をした、ということから「骨折り損」という使われ方をします。
また「くたびれ」とは疲れること。漢字では「草臥れ」と表します。この「臥」という漢字はうつ伏せのことを意味しており、“草に臥(ふ)すほど疲れている”様子を指して、この漢字が当てられるようになりました。
そして「儲け」とは“結果として自分が得たもの”という意味で使われています。そのため「くたびれ儲け」とは「結局得たものと言えば疲労だけだ」ということを指しており、「骨折り損のくたびれ儲け」は「疲れただけで何も良いことはなかった」「無駄なことをした」という意味になるのです。
「骨折り損のくたびれ儲け」の語源は?
次に「骨折り損のくたびれ儲け」の語源を確認しておきましょう。このことわざは「江戸いろはかるた」に使われたもので、そもそもの由来はこんにゃく屋さんにあると言われています。
そのこんにゃく屋の主人は、こんにゃくが売れないことに悩んでいました。どうしたら売れるのかを考えた主人は、大きなこんにゃくを売ることを思いつきます。すると大きなこんにゃくは人気が出て、お店は忙しく大繁盛となりました。
ところがこの売上を計算してみたところ、まったく利益は出ていません。なんと店の主人は大きなこんにゃくを作ったにもかかわらず、こんにゃくを原価で販売していたのです。
この話から「労力をかけたものの成果も出ず、疲労ばかりが残った」ことが「骨折り損のくたびれ儲け」と表すようになりました。
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