この記事では「骨折り損のくたびれ儲け」について解説する。

端的に言えば骨折り損のくたびれ儲けの意味は「無駄な苦労」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「骨折り損のくたびれ儲け」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「骨折り損のくたびれ儲け」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 31443542

それでは早速「骨折り損のくたびれ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「骨折り損のくたびれ儲け」の意味は?

「骨折り損のくたびれ儲け」には、次のような意味があります。

苦労しても、疲れるだけで、少しも成果が上がらないこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「骨折り損の草臥れ儲け」

「骨折り損のくたびれ儲け」とは、“疲れるほど労力を使ったのに結果が出なかった”という意味。ただ疲労だけが残ったという意味で、後悔の気持ちも含んだことわざです。

「骨折り」とはケガとしての“骨が折れる”ではなく、ここでは「苦労する」という意味を指します。苦労することを「骨が折れる」と言うことがありますが、それと同様の意味です。さらにそれほどの苦労をしたことで、むしろエネルギーや時間を消費して損をした、ということから「骨折り損」という使われ方をします。

また「くたびれ」とは疲れること。漢字では「草臥れ」と表します。この「臥」という漢字はうつ伏せのことを意味しており、“草に臥(ふ)すほど疲れている”様子を指して、この漢字が当てられるようになりました。

そして「儲け」とは“結果として自分が得たもの”という意味で使われています。そのため「くたびれ儲け」とは「結局得たものと言えば疲労だけだ」ということを指しており、「骨折り損のくたびれ儲け」は「疲れただけで何も良いことはなかった」「無駄なことをした」という意味になるのです。

「骨折り損のくたびれ儲け」の語源は?

次に「骨折り損のくたびれ儲け」の語源を確認しておきましょう。このことわざは「江戸いろはかるた」に使われたもので、そもそもの由来はこんにゃく屋さんにあると言われています。

そのこんにゃく屋の主人は、こんにゃくが売れないことに悩んでいました。どうしたら売れるのかを考えた主人は、大きなこんにゃくを売ることを思いつきます。すると大きなこんにゃくは人気が出て、お店は忙しく大繁盛となりました。

ところがこの売上を計算してみたところ、まったく利益は出ていません。なんと店の主人は大きなこんにゃくを作ったにもかかわらず、こんにゃくを原価で販売していたのです。

この話から「労力をかけたものの成果も出ず、疲労ばかりが残った」ことが「骨折り損のくたびれ儲け」と表すようになりました。

\次のページで「「骨折り損のくたびれ儲け」の使い方・例文」を解説!/

「骨折り損のくたびれ儲け」の使い方・例文

「骨折り損のくたびれ儲け」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.限定品を買うために朝6時から並んだものの、結局売り切れて買えず、骨折り損のくたびれ儲けになってしまった。
2.報告会のために徹夜をして資料を作ったが、急遽報告会は中止となってしまった。苦労して作った資料は骨折り損のくたびれ儲けだ。
3.きれいな朝陽を見るため山に登ったが曇りで見られず、骨折り損のくたびれ儲けに終わった。

「骨折り損のくたびれ儲け」は「労力をかけたけれど、成果は得られず疲労感が残った」という意味を持つため、がっかりと気落ちした気持ち後悔の念を強く訴えたい時によく用いられます。

「骨折り損のくたびれ儲け」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

それでは次に、「骨折り損のくたびれ儲け」と似た意味を持つ語句を見ていきましょう。

「労多くして功少なし」

「労多くして功少なし(ろうおおくしてこうすくなし)」は「骨折り損のくたびれ儲け」の類語としてあげられることわざです。「労」とは労力のことを指し、「功」は功績や手柄のことを指しています。

つまり「労多くして功少なし」とは“苦労した割に成果が出ない”という意味を持ち、「骨折り損のくたびれ儲け」と似た内容の言葉です。

“無駄な努力をすること”という意味のことわざには、他にも「舟盗人(ふなぬすっと)を徒歩で追う」「権兵衛が種蒔きゃ烏(からす)がほじくる」といったものがあります。どれも「骨折り損のくたびれ儲け」の類語と言えるでしょう。

\次のページで「「骨折り損のくたびれ儲け」の対義語は?」を解説!/

「骨折り損のくたびれ儲け」の対義語は?

「骨折り損のくたびれ儲け」が“苦労したのに結果が出ないこと”であれば、“簡単に結果を得られること”は反対の意味と言えます。そのような意味を持つ対義語を見ていきましょう。

「一攫千金」

「一攫千金(いっかくせんきん)」とは、苦労せずに大きな利益を手に入れること。「一攫(いっかく)」とはひとつかみのことで、「千金」は大金の意味です。

努力しても結果が出ない「骨折り損のくたびれ儲け」に対し、苦労もなく大きな成果につながる「一攫千金」は反対の意味と言えるでしょう。

また似た表現を持つ言葉に、「濡れ手で粟(あわ)」「棚からぼた餅」といった慣用句もありますが、いずれも苦労せず成果を得る場合に用いられる言葉です。

「海老で鯛を釣る」

「海老で鯛を釣る」とは、“少ない労力で多くの利益を得る”という意味のことわざです。高級魚の「鯛」を安価な「海老」で釣ることから、このような意味を持つようになりました。

一般的には、効率的なことや思いがけない利益を得た時に使われる言葉ですが、これも「骨折り損のくたびれ儲け」の対義語のひとつと言えるでしょう。

「骨折り損のくたびれ儲け」の英訳は?

image by iStockphoto

最後に「骨折り損のくたびれ儲け」の英語訳を確認していきましょう。

「Great pains but all in vain.」

「骨折り損のくたびれ儲け」の英語訳は「Great pains but all in vain.」という言い回しが使われます。

「pain」は「痛み」という意味の単語で、「in vain」は「無駄に」という意味です。そのため「Great pains but all in vain.」は“大きな痛みを受けたがすべては無駄になった”という訳になります。

苦労が無駄になり疲労だけが残った、という「骨折り損のくたびれ儲け」を伝えたい際にはこの英語表現を用いるのがいいでしょう。

\次のページで「「骨折り損のくたびれ儲け」を使いこなそう」を解説!/

「骨折り損のくたびれ儲け」を使いこなそう

この記事では「骨折り損のくたびれ儲け」の意味・使い方・類語などを説明しました。

苦労したのに結果が出ず疲労だけが残れば、誰しも落ち込んでしまったり嘆きたくもなるでしょう。時には心まで疲労してしまうかもしれません。

ですがその失敗が次につながる可能性もあります。試行錯誤することで、もしかするとその苦労も「骨折り損」ではなくなるかもしれませんよ。

" /> 【慣用句】「骨折り損のくたびれ儲け」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「骨折り損のくたびれ儲け」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「骨折り損のくたびれ儲け」について解説する。

端的に言えば骨折り損のくたびれ儲けの意味は「無駄な苦労」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「骨折り損のくたびれ儲け」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「骨折り損のくたびれ儲け」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 31443542

それでは早速「骨折り損のくたびれ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「骨折り損のくたびれ儲け」の意味は?

「骨折り損のくたびれ儲け」には、次のような意味があります。

苦労しても、疲れるだけで、少しも成果が上がらないこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「骨折り損の草臥れ儲け」

「骨折り損のくたびれ儲け」とは、“疲れるほど労力を使ったのに結果が出なかった”という意味。ただ疲労だけが残ったという意味で、後悔の気持ちも含んだことわざです。

「骨折り」とはケガとしての“骨が折れる”ではなく、ここでは「苦労する」という意味を指します。苦労することを「骨が折れる」と言うことがありますが、それと同様の意味です。さらにそれほどの苦労をしたことで、むしろエネルギーや時間を消費して損をした、ということから「骨折り損」という使われ方をします。

また「くたびれ」とは疲れること。漢字では「草臥れ」と表します。この「臥」という漢字はうつ伏せのことを意味しており、“草に臥(ふ)すほど疲れている”様子を指して、この漢字が当てられるようになりました。

そして「儲け」とは“結果として自分が得たもの”という意味で使われています。そのため「くたびれ儲け」とは「結局得たものと言えば疲労だけだ」ということを指しており、「骨折り損のくたびれ儲け」は「疲れただけで何も良いことはなかった」「無駄なことをした」という意味になるのです。

「骨折り損のくたびれ儲け」の語源は?

次に「骨折り損のくたびれ儲け」の語源を確認しておきましょう。このことわざは「江戸いろはかるた」に使われたもので、そもそもの由来はこんにゃく屋さんにあると言われています。

そのこんにゃく屋の主人は、こんにゃくが売れないことに悩んでいました。どうしたら売れるのかを考えた主人は、大きなこんにゃくを売ることを思いつきます。すると大きなこんにゃくは人気が出て、お店は忙しく大繁盛となりました。

ところがこの売上を計算してみたところ、まったく利益は出ていません。なんと店の主人は大きなこんにゃくを作ったにもかかわらず、こんにゃくを原価で販売していたのです。

この話から「労力をかけたものの成果も出ず、疲労ばかりが残った」ことが「骨折り損のくたびれ儲け」と表すようになりました。

\次のページで「「骨折り損のくたびれ儲け」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: