この記事では「七転八倒」について解説する。

端的に言えば七転八倒の意味は「苦しんで転げまわること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

難関高校受験専門の学習塾講師を10年経験したwhite-sugarを呼んです。一緒に「七転八倒」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/white_sugar

文系中心に5教科オールラウンダーとして難関校専門学習塾講師を10年務めた後、引退。開成高校、筑波大学付属駒場高校を筆頭に早慶附属・系属高校など首都圏最難関クラスの高校合格者を多数輩出。

「七転八倒」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「七転八倒」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「七転八倒」の意味は?

「七転八倒」には、次のような意味があります。

激しい苦痛などで、ひどく苦しんで転げまわること。転んでは起き、起きては転ぶこと。▽「七」「八」は数が多いことをいう。「しってんばっとう」「しちてんはっとう」とも読む。また「転」は「顛」とも書く。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「七転八倒」

ひどい苦痛や悲しみで、ころげまわってもがくさま。また、ひどく混乱しているようすもいう。

出典:四字熟語辞典(学研)「七転八倒」

[名](スル)《7度も転んだり倒れたりする意》転げ回ってもがき苦しむこと。しってんばっとう。「―してのたうち回る」「―の苦しみ」

出典:大辞泉(小学館)「七転八倒」

「七転八倒」は「しちてんばっとう」と読むのが一般的ですが、「しってんばっとう」「しちてんはっとう」という読み方もします。 「 七顛八倒 」という漢字を使うこともありますが、こちらは少し「顛」の字が難しいですね。

こらえきれないほどの痛さ・苦しさでのたうち回る様子を表しますが、肉体的な苦痛に限らず、精神的な苦痛に対しても使うことが可能です。また、状況が激しく混乱している様子も表現することができますよ。詳しくは後述する例文を見ていきましょう。

「七転八倒」の語源は?

次に「七転八倒」の語源を確認しておきましょう。

多くの四字熟語や故事成語と同様に、七転八倒は古代中国が起源。宋の時代に思想家・朱子が弟子たちとのやり取りをまとめた署「『朱子語類(しゅしごるい)―梁恵王・下』に記述が見えます。

「商の末にあたり、七顛八倒、上下崩顛す」というのがその箇所。商というのは国家の名前です。「商の時代の末期、なんとか情勢を立て直そうと試みたが何度も失敗してしまい、国が亡ぶほどの大混乱となった」という意味。

失敗が度重なり、国が苦境にあえぐ様を人間にスライドして使うことになったようですね。今では肉体的・精神的に人が苦しむ様子が真っ先に浮かびますが、最初は国家がにっちもさっちもいかなくなった様を表していたので、主客が入れ替わったように感じられるでしょう。

「七転八倒」の使い方・例文

「七転八倒」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.突然の腹痛に彼は文字通り七転八倒、床の上を転げまわった。
2.七転八倒して内容を考えただけあって、さっきのプレゼンは手応えありだった。
3.ああでもない、こうでもないと、会議は七転八倒の様子で、私は一刻も早くこの場を抜け出したくなった。

例文1は肉体的苦痛に関しての使い方です。例文2は精神的苦痛ですね。本当に嫌で嫌でたまらない場合もありますが、試行錯誤を重ねた、より良いものを生むために努力し奮闘した、という場合にも使うことが可能です。この例文なら後者の方に近いでしょう。例文3が本来の使い方、現場が混乱している様子を表現するのに一番近いですね。

\次のページで「「七転八倒」の類義語は?違いは?」を解説!/

「七転八倒」の類義語は?違いは?

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では、「七転八倒」の類義語をチェックしていきましょう。

「四苦八苦」

「四苦八苦」は元々が仏教由来の四字熟語です。「生」「老」「病」「死」の「四苦」に「愛別離苦」「怨憎会苦」「求不得苦」「五陰盛苦」を加えたもの、とされています。生きる上で避けては通れない苦しみの総称とでも言うべきでしょうか。

この仏教用語から転じて、非常に苦しむこと、また苦労をいくつも重ねることを意味します。七転八倒のように、状況がコロコロ変わるという意味は「四苦八苦」にはありません。

「七難八苦」

七転八倒と非常によく似た文字構成の四字熟語ですね。四苦八苦同様に仏教由来の言葉です。「七難」とは仏の教えに従っていれば避けることができる災難のこと。「八苦」は割愛させてくださいね。

こちらも現代では「様々な困難や苦しみ」という意味で使われることが一般的です。ビジネスシーンで使うのなら「七難八苦を乗り越えて~」というフレーズで成果をアピールするときによく耳にします。

「艱難辛苦」

「艱難辛苦」は「かんなんしんく」と読みます。この中で見慣れないのは「艱」の文字。難しいとか辛い、険しいという意味を持ちます。

「艱難」と「辛苦」に分割される四字熟語ですが、「艱難」も「辛苦」も辛く苦しいこと。同じ意味の言葉を重ねていますので、一層辛く苦しいというニュアンスが滲み出るようです。

「艱難辛苦」を使う場合には主に困難なシチュエーションや忍耐の時に使われます。七転八倒のように、病気の苦しみや薬の苦さでのたうち回る、という場合には使われません。

「七転八起(七転び八起き)」は?

四字熟語のうち3文字まで一致するのも珍しいですよね。ですが「七転八起」とは全くの別物

「七転」は「七転八倒」と同じく、何回も躓き、転ぶこと。「八起」は何回も起き上がることです。この場合「七」と「八」はともに数が多いことを意味するのも同じですが、「七」より「八」の方がひとつ数が大きいことに重要な意味があります。

何度躓き、転んだとしてもその回数よりも多く起き上がる―。そんな意味が込められているように感じられます。そんなことから何が起きてもめげない、不屈の精神で取り組む姿勢として、座右の銘にしている人も多い熟語です。

なお、人生の浮き沈みという意味も持ちます。こちらは状況の変化、という意味での「七転八倒」に少し近いかもしれません。

「七転八倒」の対義語は?

「七転八倒」と対義語として完全に対になる言葉、と言われるとなかなか見つかりません。一部の意味において対義語となるものを紹介します。

\次のページで「「万事順調」「順風満帆」」を解説!/

「万事順調」「順風満帆」

「七転八倒」を、とにかく苦労すること、あるいは状況が混迷しているさま、とするならば、この2つが対義語としてあげられるのではないでしょうか。

「万事順調」も「順風満帆」も全体的に物事がスムーズに進んでいるさまです。砕けた口語だと「万事オーケー」という言い方もしますね。

「七転八倒」の英訳は?

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さて、今度は英語で「七転八倒」をどう表現するのか、確認してみましょう。

「writhing in agony」「writhing in pain」

writhingとは「身もだえすること」「悶え苦しむこと」、「激しい感情を抱くこと」など複数の意味を持ちます。動名詞の形をしていますのでwritheという動詞として使うことも可能です。

agonyは「激しい苦痛」「苦悶」を意味し、これは精神的なものにも肉体的なものにも使えます。painは「痛み」「苦痛」です。

肉体的な痛みや精神的な苦痛、どちらにせよこちらの表現を使えば英語でも問題なさそうですね。

「七転八倒」を使いこなそう

この記事では「七転八倒」の意味・使い方・類語などを説明しました。なかなか使いたくない四字熟語ですが、いざ苦労したときにスムーズに口をついて出てくるとカッコいい!…かもしれません。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「七転八倒」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「七転八倒」について解説する。

端的に言えば七転八倒の意味は「苦しんで転げまわること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

難関高校受験専門の学習塾講師を10年経験したwhite-sugarを呼んです。一緒に「七転八倒」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/white_sugar

文系中心に5教科オールラウンダーとして難関校専門学習塾講師を10年務めた後、引退。開成高校、筑波大学付属駒場高校を筆頭に早慶附属・系属高校など首都圏最難関クラスの高校合格者を多数輩出。

「七転八倒」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「七転八倒」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「七転八倒」の意味は?

「七転八倒」には、次のような意味があります。

激しい苦痛などで、ひどく苦しんで転げまわること。転んでは起き、起きては転ぶこと。▽「七」「八」は数が多いことをいう。「しってんばっとう」「しちてんはっとう」とも読む。また「転」は「顛」とも書く。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「七転八倒」

ひどい苦痛や悲しみで、ころげまわってもがくさま。また、ひどく混乱しているようすもいう。

出典:四字熟語辞典(学研)「七転八倒」

[名](スル)《7度も転んだり倒れたりする意》転げ回ってもがき苦しむこと。しってんばっとう。「―してのたうち回る」「―の苦しみ」

出典:大辞泉(小学館)「七転八倒」

「七転八倒」は「しちてんばっとう」と読むのが一般的ですが、「しってんばっとう」「しちてんはっとう」という読み方もします。 「 七顛八倒 」という漢字を使うこともありますが、こちらは少し「顛」の字が難しいですね。

こらえきれないほどの痛さ・苦しさでのたうち回る様子を表しますが、肉体的な苦痛に限らず、精神的な苦痛に対しても使うことが可能です。また、状況が激しく混乱している様子も表現することができますよ。詳しくは後述する例文を見ていきましょう。

「七転八倒」の語源は?

次に「七転八倒」の語源を確認しておきましょう。

多くの四字熟語や故事成語と同様に、七転八倒は古代中国が起源。宋の時代に思想家・朱子が弟子たちとのやり取りをまとめた署「『朱子語類(しゅしごるい)―梁恵王・下』に記述が見えます。

「商の末にあたり、七顛八倒、上下崩顛す」というのがその箇所。商というのは国家の名前です。「商の時代の末期、なんとか情勢を立て直そうと試みたが何度も失敗してしまい、国が亡ぶほどの大混乱となった」という意味。

失敗が度重なり、国が苦境にあえぐ様を人間にスライドして使うことになったようですね。今では肉体的・精神的に人が苦しむ様子が真っ先に浮かびますが、最初は国家がにっちもさっちもいかなくなった様を表していたので、主客が入れ替わったように感じられるでしょう。

「七転八倒」の使い方・例文

「七転八倒」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.突然の腹痛に彼は文字通り七転八倒、床の上を転げまわった。
2.七転八倒して内容を考えただけあって、さっきのプレゼンは手応えありだった。
3.ああでもない、こうでもないと、会議は七転八倒の様子で、私は一刻も早くこの場を抜け出したくなった。

例文1は肉体的苦痛に関しての使い方です。例文2は精神的苦痛ですね。本当に嫌で嫌でたまらない場合もありますが、試行錯誤を重ねた、より良いものを生むために努力し奮闘した、という場合にも使うことが可能です。この例文なら後者の方に近いでしょう。例文3が本来の使い方、現場が混乱している様子を表現するのに一番近いですね。

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