この記事では「韋編三絶」について解説する。

端的に言えば韋編三絶の意味は「熱心に本を読むことや熱心に学問に取り組むこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「韋編三絶」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「韋編三絶」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「韋編三絶」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「いへんさんぜつ」です。四字熟語のそれぞれ漢字四文字で、具体的なエピソードを伝えるものになっています。語源までチェックしながら詳しく見ていきましょう。

「韋編三絶」の意味は?

「韋編三絶」には、次のような意味があります。漢字の意味と転じた意味合いの両方知っておくと、スッキリしますよ。詳しく見ていきましょう。

1.何度も繰り返し、熱心に本を読むことのたとえ。また、学問に熱心なことのたとえ。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「韋編三絶」

「韋編」は文字を書いた木簡や竹簡などの中国古代の書物のこと、「三絶」は三度断ち切れることや幾度も断ち切れることを表しており、「韋編(いへん)三度(みたび)絶(た)つ」と訓読します。

こういったことから、本を熱心に何度も読むことのたとえになり、さらには、一生懸命学問に打ち込むという意味にもつながっていますよ。本だからと学問につながるとは限らないとも考えられますが、中国古代のことなので学問に関係のない本は存在しなかったのではないでしょうか。

「韋編三絶」の語源は?

次に「韋編三絶」の語源を確認しておきましょう。

「韋編三絶」は、中国の前漢時代に司馬遷によって編纂された『史記(しき)』という歴史書に由来します。その『史記』卷四十七の孔子(こうし)世家に記述がありますよ。

その中の文章では、「孔子は晩年、易(えき)を好み、序(ジョ)・彖(タン)・繋(ケイ)・象(ショウ)・説卦(セッカ)・文言(ブンゲン)を整理した。易を読んでいるうちに韋が三度切れた。」ということです。序、彖などは易の注釈書のことを表しています。

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「韋編三絶」の使い方・例文

「韋編三絶」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。意味合いとしての使い方に加えて、文法的なことについても見ていきますよ。

1.学校教育を基本にして韋編三絶のごとく勉学に励んだことが大学合格につながった。
2.専門的なことを極めるには、韋編三絶と言えるほどの努力が必要だ。

例文1.は大学受験に向けて勉学に励んでいるようすについて、例文2.のほうは専門的なことを突き詰めていく上での取り組みについて「韋編三絶」と表現しています。語源の孔子ほどではないにしても、いずれも日常よりは学問に注力している時期のことですね。

文法的に見てみると、例文では「韋編三絶の…」や「韋編三絶と…」と名詞として使われています。形容動詞的に「韋編三絶な…」という言い方はしません。

「韋編三絶」の類義語は?違いは?

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それでは、「韋編三絶」の類義語についての説明です。類義語について見ていきますが、「韋編三絶」とのニュアンスに違いにも注目してチェックしていきましょう。

「懸頭刺股」

「韋編三絶」の類義語には、「懸頭刺股(けんとうしこ)」があります。意味は、苦労して勉学に励むことという意味です。「懸頭」は頭をなにかに引っ掛けること、「刺股」は股をなにかで突き刺すことを表しています。いずれも眠気への対策であり、眠気に負けないよう勉学に注力するようすがわかりますね。

「懸頭」の語源は、中国の漢の時代の孫敬(そんけい)の逸話に基づいており、孫敬は天井から吊り下げた縄を首にかけて、眠ると首が絞まり目が覚めるよう工夫して勉強したとされています。また、中国戦国時代の蘇秦(そしん)が眠くなると股に錐を刺しながら本を読んだことが「刺股」の由来となっていますよ。

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「韋編三絶」の対義語は?

次に、「韋編三絶」の対義語についての説明です。勉学に熱心な意味の「韋編三絶」なので、勉学に身が入らないのが対義語になります。ここでは二種類の対義語を紹介しますが、それぞれ詳しく見ていきましょう。

「一暴十寒」

「韋編三絶」の対義語には、「一暴十寒(いちばくじっかん)」があります。意味は、少しだけ努力してあとは怠けることです。「一暴」は一日目に日に曝して暖めること、「十寒」はそのあとの十日間陰で冷やすことを表しています。

語源は『孟子(もうし)』です。「一日之を暴(あたた)めて十日之を寒(ひや)さば、未だ能く生ずるる者あらざるなり」とあり、継続しなければ効果はないという意味につながっています。

「朽木糞牆」

もう一つの対義語には、「朽木糞牆(きゅうぼくふんしょう)」があります。怠け者や手の施しようのないもの、役に立たない無用なものという意味です。「朽木」は朽ちた木のこと、「糞牆」は腐ってしまいボロボロになった土塀のことを表していますよ。

語源は『論語(ろんご)』にあり、孔子が昼寝をしていた弟子の宰予(さいよ)に対して述べた言葉だとされています。そのあと「お前に対しては何を叱ろうか。いや叱っても仕方ない。」と言ったそうですから、相当のことだったのでしょう。

「韋編三絶」の英訳は?

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最後に、「韋編三絶」の英訳についての説明です。「韋編三絶」に近い意味の英語表現がいくつかあるので、一緒に詳しく見ていきましょう。

「repeated reading」

「韋編三絶」の英訳には、「repeated reading」があります。単純に繰り返し読むという意味もありますが、熱心に繰り返して読むという「韋編三絶」や「読書百遍」などと重なるようなニュアンスもありますよ

その他、「close reading」とすると「精読」という意味です。この場合の「close」は「閉める」というよりも「閉ざす、遮断する」という意味合いで、文章をいくつかの部分に区切って詳しく読み込んでいくイメージがあります。

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「韋編三絶」を使いこなそう

今回の記事では「韋編三絶」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「韋編三絶」の意味は、「何度も繰り返し熱心に本を読むこと」から「学問に熱心なこと」でした。現在は本に限らず情報があふれているので、感覚としてはズレがあるかもしれません。しかし、今でも大切なことは繰り返し心に刻むのは価値あることですね。

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【四字熟語】「韋編三絶」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「韋編三絶」について解説する。

端的に言えば韋編三絶の意味は「熱心に本を読むことや熱心に学問に取り組むこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「韋編三絶」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「韋編三絶」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「韋編三絶」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「いへんさんぜつ」です。四字熟語のそれぞれ漢字四文字で、具体的なエピソードを伝えるものになっています。語源までチェックしながら詳しく見ていきましょう。

「韋編三絶」の意味は?

「韋編三絶」には、次のような意味があります。漢字の意味と転じた意味合いの両方知っておくと、スッキリしますよ。詳しく見ていきましょう。

1.何度も繰り返し、熱心に本を読むことのたとえ。また、学問に熱心なことのたとえ。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「韋編三絶」

「韋編」は文字を書いた木簡や竹簡などの中国古代の書物のこと、「三絶」は三度断ち切れることや幾度も断ち切れることを表しており、「韋編(いへん)三度(みたび)絶(た)つ」と訓読します。

こういったことから、本を熱心に何度も読むことのたとえになり、さらには、一生懸命学問に打ち込むという意味にもつながっていますよ。本だからと学問につながるとは限らないとも考えられますが、中国古代のことなので学問に関係のない本は存在しなかったのではないでしょうか。

「韋編三絶」の語源は?

次に「韋編三絶」の語源を確認しておきましょう。

「韋編三絶」は、中国の前漢時代に司馬遷によって編纂された『史記(しき)』という歴史書に由来します。その『史記』卷四十七の孔子(こうし)世家に記述がありますよ。

その中の文章では、「孔子は晩年、易(えき)を好み、序(ジョ)・彖(タン)・繋(ケイ)・象(ショウ)・説卦(セッカ)・文言(ブンゲン)を整理した。易を読んでいるうちに韋が三度切れた。」ということです。序、彖などは易の注釈書のことを表しています。

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