

端的に言えば「高山流水」の意味は「素晴らしい演奏のこと」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んだ。一緒に「高山流水」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/やぎしち
雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。
「高山流水」の意味は?
「高山流水」には、次のような意味があります。
〔「列子湯問」による。琴の名手であった伯牙が、高山や流水を思って琴を奏でると、親友の鍾子期しようしきがそれを感じとったという故事から〕
音楽のすぐれて巧みなこと。絶妙の演奏。また、知己。 → 知音ちいん
出典:大辞林(三省堂)「高山流水」
この四字熟語は、「素晴らしい演奏」や、そうしたことを理解し合える「素晴らしい友人」のことを意味します。
漢字を読んで字のごとく「素晴らしい自然」を指すのにも使えますが、四字熟語としての意味は、それだけではないことをしっかり押さえてください。
複数の意味を持つ理由は、語源の項で説明するストーリーがあってのことです。そのため、知識として知っておかないと、試験で出題された場合に答えることができないでしょう。記憶で確実に差がつくところですよ。
「高山流水」の語源は?
「高山流水」の語源は、中国戦国時代の文献『列子』「湯問」に見ることが出来ます。
琴の名手の伯牙(はくが)の腕前を、友人の鐘子期(しょうしき)が褒める場面です。伯牙が雄大な自然を思い浮かべながら演奏するのを、「泰山(たいざん)ようだ、大河のようだ」と情景が目に浮かぶほど素晴らしいと評価します。
彼らはイメージが共有できるほどの友人だった、というストーリーから生まれた言葉なのです。
鐘子期の死後、悲しんだ伯牙は演奏をやめてしまったほどで、そのためか一部の辞典では「芸術が失われてしまうこと」「かけがえのない友情は簡単には手に入らない」と解説するものもありました。
あまり一般的ではないため、先に紹介した意味よりは優先度を下げても大丈夫でしょう。ストーリーを理解しておけば想像できると思います。
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