この記事では「小心翼翼(しょうしんよくよく)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「小心翼翼」の意味は「気が小さい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「小心翼翼」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「小心翼翼」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「小心翼翼」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「小心翼翼」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「小心翼翼」には、次のような意味があります。

1.気が小さくびくびくしているさま。
2.つつしみ深く,細かい配慮をすること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「小心翼翼」

「小心翼翼」は、大きく分けて二つの意味を持つのが特徴です。それは、前半部の「小心」をどのようにとらえるのかによります。

これをそのまま「気が小さい」ととらえれば、何かに怯えてびくびくしている様子が浮かび上がってきそうです。そうではなく、「小さなことへの心配り」という風にとらえれば、細かいところにまでよく気がつく人物を想像することができます。

では、後半分の「翼翼」には、どのように解釈すればいいのでしょうか。これは、親鳥がその両翼でひな鳥を包み込むようにかばう様子を表しています。

このことが、現在の慎み深く遠慮がちな様子を表す意味へとつながっていきました。小心者の方ではなく、こちらの慎み深い様子を表す方が、本来の意味であるとされています。

「小心翼翼」の出典は?

次に「小心翼翼」の出典を確認しておきましょう。この四字熟語は、論語と並ぶ四書のひとつである「詩経」の大雅というパートが出典です。

その文章中では、古代中国の周王朝の文王を讃えた、次のようなくだりがあります。

維此文王、小心翼々。(これこの文王、小心翼翼たり。)

これは、「この文王は慎み深く細かな気配りができる方であった」という意味です。

\次のページで「「小心翼翼」の使い方・例文」を解説!/

「小心翼翼」の使い方・例文

「小心翼翼」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

そのような小心翼翼とした態度では、最初から相手に侮られてしまうので注意してくださいね。

遊園地にある古典的なお化け屋敷に小心翼翼とするなんて、みんなに笑われてしまいますよ。

ご紹介いただいた洋服店の店主は、想像以上に小心翼翼とした方で非常に好感がもてました。

「小心翼翼」は、現代においては「小心者」の意味で使われることの方がメインです。しかしながら、旧来の「慎重な」という意味で用いられることもけっして少なくありません。

したがって、この四字熟語を目にした際には、いったいどちらの意味で使われているのかをしっかりと見極める必要があります。そのために有効な手段は、別のフレーズに置き換えてみることです。

例文の一つめと二つめは、「びくびく」という言葉と置き換えられます。したがって、これらは「小心者」という意味で間違いありません。

しかし、三番目の例文では「びくびく」と置き換えても意味がうまくつながらないのは明白です。こちらは、「小心翼翼とした」を「細かい気配りのできる」に置き換えてみると良いでしょう。

#2 「小心翼翼」の類義語は?違いは?

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ここで、「小心翼翼」類義語についても見ていくことにしましょう。代表的なものは、次に紹介する二つです。

「戦戦恐恐」

「戦戦恐恐(せんせんきょうきょう)」は、「小心翼翼」の類義語の中でもだいひょうてきなもののひとつです。「戦々恐々」や「戦戦兢兢」などと表記されることもあります。

この四字熟語の意味は、恐怖で震えることです。「恐」という字はともかく、いったいどうして「戦」という字が用いられているのでしょうか。

実は、「戦」には「いくさ」や「たたかう」の他にも「おののく」という読み方・意味があります。そんなわけで、この熟語は「おそれおののいて」いるのだと考えれば、理解しやすいでしょう。

\次のページで「「謹言慎行」」を解説!/

「謹言慎行」

「謹言慎行(きんげんしんこう)」もまた、「小心翼翼」の類義語だといえるものです。こちらの四字熟語は、言葉と行動を慎重に行うという意味合いを持ちます。

したがって、「小心翼翼」の持つ「小心者」の方ではなく、「細心の注意を払う」方の意味に近い点には注意が必要です。では、これらの類義語を用いた例文を押さえておきましょう。

検索で入手した情報を無断で転載したことがばれるのではないかと、いつも戦戦恐恐としていた。

どこのだれに聞いても、彼が謹言慎行の人で周囲から尊敬されているという評価に変わりはない。

#3 「小心翼翼」の対義語は?

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では、「小心翼翼」対義語は、いったいどのようにとらえればいいのでしょうか。小心者でびくびくしているの反対は、物怖じせずに堂々としていることです。

ここでは、そのような意味合いを持った四字熟語を二つほどご紹介します。

「泰然自若」

「泰然自若」は、「たいぜんじじゃく」と読んでください。この四字熟語の表す意味は、物事に動じず冷静な様子です。

前半部の「泰然」は、落ち着いている様子を表しています。一方、後半部の「自若」が表すのは、冷静さを失わない様子です。

「大胆不敵」

「大胆不敵(だいたんふてき)」もまた、「小心翼翼」の対義語として通用するものです。こちらの四字熟語には、度胸が据わっていて恐れる様子のないことを表します。

「大胆」の「胆」は「胆力」、すなわち精神力のことだと考えてください。後半分の「不敵」は、敵がいない(=無敵)なのではなく、敵を敵とも思わないという意味合いです。

では、これらの対義語を用いた例文をここでチェックしておきましょう。

周囲の皆が臆病風に吹かれる中、彼だけは変わらず泰然自若としていたのが印象的だった。

彼は、大胆不敵にも限定販売のとんかつ弁当を超える商品の開発を電話口で約束してくれた。

\次のページで「「小心翼翼」の英訳は?」を解説!/

#4 「小心翼翼」の英訳は?

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では、最後に「小心翼翼」の英語訳についても確認しておきましょう。

「faint-hearted」

「faint-hearted」は、端的にいえば「臆病な」という意味です。したがって、「小心翼翼」の持つ二つの意味のうち「気が小さい」に意味が近いといえます。

この表現の前半を構成する「faint」は、「かすかな」「ほのかな」という意味合いです。

「小心翼翼」を使いこなそう

この記事では「小心翼翼」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語には、大きく分けて二つの意味合いがありましたね。

この熟語を見かけた際はどちらの意味で用いられているのかを慎重に見極める必要があります。けっして、拙速に判断してしまうことのないようにしたいものです。

みなさんも、この四字熟語を用いる機会があったら、臆せずにどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「小心翼翼」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「小心翼翼(しょうしんよくよく)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「小心翼翼」の意味は「気が小さい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「小心翼翼」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「小心翼翼」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「小心翼翼」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「小心翼翼」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「小心翼翼」には、次のような意味があります。

1.気が小さくびくびくしているさま。
2.つつしみ深く,細かい配慮をすること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「小心翼翼」

「小心翼翼」は、大きく分けて二つの意味を持つのが特徴です。それは、前半部の「小心」をどのようにとらえるのかによります。

これをそのまま「気が小さい」ととらえれば、何かに怯えてびくびくしている様子が浮かび上がってきそうです。そうではなく、「小さなことへの心配り」という風にとらえれば、細かいところにまでよく気がつく人物を想像することができます。

では、後半分の「翼翼」には、どのように解釈すればいいのでしょうか。これは、親鳥がその両翼でひな鳥を包み込むようにかばう様子を表しています。

このことが、現在の慎み深く遠慮がちな様子を表す意味へとつながっていきました。小心者の方ではなく、こちらの慎み深い様子を表す方が、本来の意味であるとされています。

「小心翼翼」の出典は?

次に「小心翼翼」の出典を確認しておきましょう。この四字熟語は、論語と並ぶ四書のひとつである「詩経」の大雅というパートが出典です。

その文章中では、古代中国の周王朝の文王を讃えた、次のようなくだりがあります。

維此文王、小心翼々。(これこの文王、小心翼翼たり。)

これは、「この文王は慎み深く細かな気配りができる方であった」という意味です。

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