この記事では「千軍万馬」について解説する。

端的に言えば「千軍万馬」の意味は「社会経験が豊富なこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「千軍万馬」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「千軍万馬」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「千軍万馬」の意味・使い方を見ていきましょう。

「千軍万馬」の意味は?

「千軍万馬」には、次のような意味があります。

1.多くの軍兵と軍馬。
2.戦闘の経験が豊富であること。転じて、社会経験などを多くつんでいること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「千軍万馬」

「千軍万馬(せんぐんばんば)」は文字通り、多くの兵士と軍馬がいる様子から、戦争経験が豊富なこと。一般的には、社会経験が豊富なことを「千軍万場」と表現します。社会経験は、人によって認識の差がありますが、基本的には「社会人になってから学んだこと」だと思ってください。社会人となって働き始めると、労働の対価として給与をもらいますよね。給与以外にも、仕事を通じて専門知識や技術を身につけるはずです。そのため、社会経験豊富な人ほど頼もしい人材だといえるでしょう。

では、「千軍万馬=ベテラン」なのかと言うと、そうだとは言い切れません。確かに「ベテラン」は経験豊富ではありますが、その道を極めた、もしくは優れた技術を示す「人」を差しています。あくまで「千軍万馬」は「社会経験が豊富なこと」という意味。「千軍万馬のベテラン」と言うなら問題ありませんが、「千軍万馬」のみで表現する場合には注意しましょう。

「千軍万馬」の使い方・例文

「千軍万馬」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「千軍万馬」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.営業の基本は、千軍万馬のベテランにたたき込まれている。

2.千軍万場の援軍が駆けつけてくれたおかげで、どうにか勝利することができた。

3.あなたのような千軍万場の古強者が来てくれるなら頼もしい。

「千軍万馬」は、「戦闘経験が豊富なこと」が転じて「社会経験を多く積んでいること」という意味でしたよね。そのため「古強者(ふるつわもの)」や「猛者(もさ)」といった、人物を表す言葉と組み合わせて使うのが一般的です。つまり、「経験豊富な人」の「人」にあてはめる言葉が必要なので、「千軍万場の古強者」と表現します。

「古強者」とは、経験を積んで道を極めた人、すなわち「ベテラン」のこと。「猛者」とは、何があっても恐れない人のことです。「千軍万場の古強者」を噛み砕いて言うならば、「経験豊富なベテラン」と解釈することができますね。社会経験が豊富だということは、大抵は年上でベテランである場合が多いです。「頼もしい人が来た」といった感覚で「千軍万場」を使うとよいでしょう。

「千軍万馬」の類義語は?違いは?

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では、「千軍万馬」の類義語や違いをみていきましょう。

「百戦錬磨」

「百戦錬磨(ひゃくせんれんま)」は、よく使われている方が多い印象です。意味は、数々の戦いで鍛えあげられていること。または、多くの経験を積んでおり処理能力に優れているという意味になります。「練磨」は、技術や学問を磨くこと。そこへ「百戦」が加わるわけですから、いかに経験豊富なのか想像がつくのではないでしょうか。

「百戦錬磨」も「千軍万馬」と同様に、人物を表す言葉と組み合わせて使います。そのため、「経験豊富で優れている兵士」を言い換えるならば、「百戦錬磨のつわもの」と表現することができますね。

「海千山千」

「海千山千(うみせんやません)」は、「海に千年、山に千年住んだ蛇は竜になった」という言い伝えから生まれた四字熟語になります。意味は、長い年月をかけて様々な経験を積み、世の中の表裏を知り尽くして悪賢いこと。もしくは、そのような人を差します。「悪賢い」と言うと、良いイメージではないですよね。ただし、一般的には「悪賢い」というよりは、「一筋縄ではいかない」という意味で使われる場合が多いです。

世間の良いことも悪いことも知り尽くしている相手ですから、ライバルとして戦うならば簡単に勝てる相手ではありません。「海千山千」の相手と交渉するならば、注意して挑むべきだといえるでしょう。

\次のページで「「千軍万馬」の対義語は?」を解説!/

「千軍万馬」の対義語は?

「千軍万場」は「多くの軍兵と軍馬」という意味なので、反対となると「少ない軍兵と軍馬」という意味になってしまいます。さすがに、少数で戦争に赴くような四字熟語は存在しません。そこで今回は、「経験が浅い」もしくは「知識が足りない」といった意味合いで対義語をご紹介します。

「白面書生」

「千軍万馬」が「経験豊富」ならば、「白面書生」は「経験が浅い人」といえるのではないでしょうか。若くて経験が少なく、学問の修練が足りない人のことを「白面書生」と表現します。「はくめんのしょせい」と読むことから、「白面の書生」と書いても間違いではありません。「白面」は文字通り、白い顔のこと。「書生」は、勉強中の者という意味。総じて、経験が浅い若者を差す場合に使われます。

社会人になったばかりのはしゃぐ若者に、「まだ学生気分が抜けていないな」と言いますよね。そのような場合に、四字熟語を使って「白面書生を脱していないのだろう」と表現することができます。

「無知蒙昧」

「千軍万馬」は経験豊富であることから、物事の道理をよく知っているはずです。対して「無知蒙昧(むちもうまい)」は、知識がなく、物事の道理を知らないこと。「無知」は、知識がない、知らないことという意味。「蒙昧」は、知識に不十分で道理に暗いという意味になります。

「道理」は、「理念」だと捉えると分かりやすいかもしれません。「道理」は、物事の正しい筋道という意味のほかに、筋が通っている正論であるという意味もあります。正論を言うためには、正しい知識と経験が欠かせませんよね。社会を通じて多くのことを学び、様々な経験をしているからこそ筋道を立てることができるのです。しかし、「無知蒙昧」では、仕事を進めていくうえでも話になりません。周りから「無知蒙昧だ」と言われないように、学ぶ姿勢を忘れないでおきたいところです。

「千軍万馬」の英訳は?

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では、「千軍万馬」を英訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

「having experienced many battles」

「千軍万馬」をそのまま直訳するというよりは、意味の「多くの戦いを経験していること」を英訳するほうが分かりやすいかと思います。「many battles」は「多くの戦い」という意味。「experience」は「経験」という意味。過去形にして「having experienced」にすることで「経験がある」という意味になります。そのため「having experienced many battles」で「多くの戦いを経験している」となり「千軍万馬」として使うことができるでしょう。

「having a lot of social experience」

「千軍万馬」は「戦いの経験が豊富である」が転じて、「社会経験を多くつんでいること」という意味があります。「social experience」は「社会経験」という意味。「a lot of」は「たくさん」という意味で、数えられない名詞に対してよく使いますよね。「having a lot of social experience」で「多くの社会経験がある」となり、「千軍万場」として使うことができます。

\次のページで「「千軍万馬」を使いこなそう」を解説!/

「千軍万馬」を使いこなそう

この記事では「千軍万馬」の意味・使い方・類語などを説明しました。「千軍万馬」は、漢字の並びからして意味が想像しにくく、ポピュラーな四字熟語とはいえません。職場で使うならば「経験豊富なベテラン」と表現したほうが伝わりやすいでしょう。しかし、新たに配属される中途採用者を紹介する時に「千軍万馬の古強者が来た」と周囲に伝えれば、話題になること間違いなし。相当な経験者が入社して来たのだと、職場で盛り上がるのではないでしょうか。

普段は使わないような四字熟語を生活に取り入れるだけで、日常に少しだけ変化をもたらすことができます。老練者を紹介する時に、ぜひ「千軍万馬」を使ってみてください。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「千軍万馬」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「千軍万馬」について解説する。

端的に言えば「千軍万馬」の意味は「社会経験が豊富なこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「千軍万馬」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「千軍万馬」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「千軍万馬」の意味・使い方を見ていきましょう。

「千軍万馬」の意味は?

「千軍万馬」には、次のような意味があります。

1.多くの軍兵と軍馬。
2.戦闘の経験が豊富であること。転じて、社会経験などを多くつんでいること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「千軍万馬」

「千軍万馬(せんぐんばんば)」は文字通り、多くの兵士と軍馬がいる様子から、戦争経験が豊富なこと。一般的には、社会経験が豊富なことを「千軍万場」と表現します。社会経験は、人によって認識の差がありますが、基本的には「社会人になってから学んだこと」だと思ってください。社会人となって働き始めると、労働の対価として給与をもらいますよね。給与以外にも、仕事を通じて専門知識や技術を身につけるはずです。そのため、社会経験豊富な人ほど頼もしい人材だといえるでしょう。

では、「千軍万馬=ベテラン」なのかと言うと、そうだとは言い切れません。確かに「ベテラン」は経験豊富ではありますが、その道を極めた、もしくは優れた技術を示す「人」を差しています。あくまで「千軍万馬」は「社会経験が豊富なこと」という意味。「千軍万馬のベテラン」と言うなら問題ありませんが、「千軍万馬」のみで表現する場合には注意しましょう。

「千軍万馬」の使い方・例文

「千軍万馬」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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