この記事では「孤城落日」について解説する。

端的に言えば孤城落日の意味は「心細い様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「孤城落日」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「孤城落日」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「孤城落日」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「孤城落日」の意味は?

「孤城落日」には、次のような意味があります。

落ちぶれて昔の勢いを失い、助けもなく、心細いさま。

出典:四字熟語辞典(学研)「孤城落日」

「孤城落日」は「こじょうらくじつ」と読む四字熟語。

「孤城(こじょう)」とは孤立して援軍の来ない城のことで、「落日(らくじつ)」とは西に沈む夕日のことです。かつては隆盛を極めたはずの城が、孤立して助けもなく夕陽に照らされているさびしい光景を表したもので、転じてひどく心細い様子や昔の勢いを失い没落していく状態をたとえるようになりました。

なお「孤城落日」によく似た四字熟語が「孤城落月(こじょうらくげつ)」です。「落月」は沈む月のことを指し、孤立した城が月に照らされた情景を用いて物悲しい様子の表しています。夕日と月の違いはありますが、どちらもほぼ同じ内容の四字熟語です。

「孤城落日」の語源は?

次に「孤城落日」の語源を確認しておきましょう。

中国の唐の時代に活躍した、王維(おうい)という詩人が作った「送韋評事詩(そういひょうじし)」の一節が「孤城落日」の由来です。

この詩の中に「遙知漢使蕭関外、愁見孤城落日辺」という一節があります。“援軍もなく孤立した城が沈んでいく夕日に照らされた情景”を表したもので、かつて繁栄していた城のさみしい様子に心細さを伝えてくる詩です。

この詩が語源となって「孤城落日」という四字熟語が生まれました。

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「孤城落日」の使い方・例文

「孤城落日」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.前は景気も良かったが、あの会社ももう孤城落日のようだ。このままでは衰退の一途を辿るだろう。
2.どんなにお金があって人気があったとしても、天狗になってしまってはいけない。どんどん人が離れてしまって彼は今じゃ孤城落日だ。
3.旅先でたくさんのお城を見て来たけれど、それぞれの歴史を知って思わず孤城落日の想いに浸ってしまったよ。

「孤城落日」は人にも状況にも用いることができ、2のように戒めのように使うことも可能です。

かつては輝いていたものが、一転して現在は孤独で心細くなった状況を物悲しく表したい時に「孤城落日」を用いるといいでしょう。

「孤城落日」の類義語は?違いは?

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ここでは「孤城落日」の似た意味を持つ類義語として、2つの四字熟語を紹介します。

「孤立無援」

「孤立無援(こりつむえん)」とは、一人ぼっちで仲間や味方がおらず助けもない状況を指す四字熟語です。「孤立」は周りから離されて助けがないことを意味し、「無援」は誰からも援助がないことを指しています。

孤立して援軍の来ない状況、というのがまさしく「孤城落日」と似た状況と言えるでしょう。

ただし「孤立無援」はあくまで誰も助けてくれない現在の様子のことで、「孤城落日」にあるような“かつて栄えた様子”や“物悲しい”といった意味は含まれていません。

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「四面楚歌」

「四面楚歌」は「しめんそか」と読む四字熟語で、敵に周りを囲まれて孤立した様子を表します。

元は中国で、前漢の時代に楚(そ)の項羽(こうう)が敵の漢軍に包囲された際、四方を囲む敵から故郷である楚の歌が聴こえてきたことに「故郷の楚も漢に降ってしまったのか」と嘆き、同時に敗北を悟った故事が由来です。

このように「孤城落日」も「四面楚歌」もいずれも孤立した様子であることは同様ですね。ただし「四面楚歌」には“かつて栄えたものの衰え”や“物悲しい様子”は含まれず、「孤城落日」にはない“周囲が敵ばかり”という意味があります。前提や状況が異なる点も抑えておきましょう。

「孤城落日」の対義語は?

ここでは「孤城落日」の意味と反対のニュアンスを持つ語句を2つ解説します。

「一致団結」

「一致団結(いっちだんけつ)」とは、多くの人たちがひとつの目的に協力しまとまること。「一致」は二つ以上のものが食い違いなく一つになることを指し、「団結」は共通の目的のために複数の人がまとまることを指します。

多くの人が一緒に物事を進める状況で用いる言葉で“孤立した様子”とは完全に真逆の状況と言えるでしょう。そのため「孤城落日」の孤立に対し、対義語表現のひとつとして挙げられます。

「共存共栄」

「共存共栄(きょうぞんきょうえい)」2つ以上のものが敵対することなく、ともに生存し反映することを表した四字熟語です。

「孤城落日」ではかつて栄えたものが孤立しているのに対し、「共存共栄」は助け合う存在と一緒に繁栄していく様子を表しています。孤立することも繁栄が衰えることもなく、まさしく「孤城落日」が辿った道とは正反対の言葉です。

「孤城落日」の英訳は?

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最後に「孤城落日」の英語表現を確認していきましょう。

「lone and helpless」

「lone and helpless」は「孤城落日」の状況を英語で表した表現で、“助けもなく孤独であること”を意味します。ただし「孤城落日」の“かつては栄えていた”といったニュアンスは含んでいないので注意しましょう。

なお、「lone」を同じく“孤独”の意味を持つ「solitary」という単語で置き換えても問題ありません。

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「helplessness of those in reduced circumstances」

「helplessness of those in reduced circumstances」も「孤城落日」の英語表現のひとつです。

「helplessness」は“助けがなくどうしようもないこと”を意味し、「in reduced circumstances」は“落ちぶれた生活”を意味するイディオムで、直訳すると「落ちぶれた暮らしでどうしようもない」といった意味になります。そのため「孤城落日」の持つ“かつては繁栄したものが今は孤独になっている”という様子を表現した英訳です。

「孤城落日」の持つ“昔とは違って孤独だ”といったニュアンスを表現したい場合には、この英語訳でもいいでしょう。

「孤城落日」を使いこなそう

この記事では「孤城落日」の意味・使い方・類語などを説明しました。

かつて輝いたものが衰え、結果「孤城落日」となる状況はとても切なくさみしいことですね。周囲への感謝や配慮を欠いていつの日か自分が「孤城落日」に陥ってしまった、なんてことのないよう日々気をつけていきたいものです。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「孤城落日」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

「孤城落日」の使い方・例文

「孤城落日」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.前は景気も良かったが、あの会社ももう孤城落日のようだ。このままでは衰退の一途を辿るだろう。
2.どんなにお金があって人気があったとしても、天狗になってしまってはいけない。どんどん人が離れてしまって彼は今じゃ孤城落日だ。
3.旅先でたくさんのお城を見て来たけれど、それぞれの歴史を知って思わず孤城落日の想いに浸ってしまったよ。

「孤城落日」は人にも状況にも用いることができ、2のように戒めのように使うことも可能です。

かつては輝いていたものが、一転して現在は孤独で心細くなった状況を物悲しく表したい時に「孤城落日」を用いるといいでしょう。

「孤城落日」の類義語は?違いは?

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ここでは「孤城落日」の似た意味を持つ類義語として、2つの四字熟語を紹介します。

「孤立無援」

「孤立無援(こりつむえん)」とは、一人ぼっちで仲間や味方がおらず助けもない状況を指す四字熟語です。「孤立」は周りから離されて助けがないことを意味し、「無援」は誰からも援助がないことを指しています。

孤立して援軍の来ない状況、というのがまさしく「孤城落日」と似た状況と言えるでしょう。

ただし「孤立無援」はあくまで誰も助けてくれない現在の様子のことで、「孤城落日」にあるような“かつて栄えた様子”や“物悲しい”といった意味は含まれていません。

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