

端的に言えば「虎視眈眈」の意味は「チャンスを狙うこと」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んだ。一緒に「虎視眈眈」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/やぎしち
雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。
「虎視眈眈」の意味は?
「虎視眈眈」には、次のような意味があります。
[ト・タル][文][形動タリ]《「易経」頤卦から》虎が、鋭い目つきで獲物をねらっているさま。転じて、じっと機会をねらっているさま。「虎視眈眈とチャンスをうかがう」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「虎視眈眈」
漢字を分解すると、「虎視」は「虎が(獲物などを)注視していること」。「眈々」も「虎などが、眼を鋭くして狙うさま」。転じて、「機会を狙って様子を窺うこと」の意味になります。
虎が身を低くして、じっと獲物を狙っている様子を思い浮かべてください。今か今かとチャンスを窺っていることが想像できるでしょう。
気を付けたいのは漢字表記で、「眈」を「耽」と書かないように注意。偏を「目」ではなく「耳」とするのは誤りで、「眈」は「にらむ」、「耽る」は「ふける」と訓読みし、どちらも「タン」と音読みするよく似た漢字です。
ただし「眈」は使用する漢字が「眈々」くらいしかないのに対して、「耽」は「耽溺(たんでき)」や「耽美(たんび)」など、一般的に使われやすいといえます。
「虎視眈々」の場合は常用しない特殊な漢字だと認識し、書き間違いに注意してくださいね。
「虎視眈眈」の語源は?
次に「虎視眈々」の語源を確認しておきましょう。
この言葉は、古代中国の書物で、占いや思想のテキストである『易経(えききょう)』に見ることが出来ます。
特定の占い結果について、「身分が低いものに養われても良い。(その場合、上のものは)欲望をたくましくしても問題なし。虎が睨むように、管理せよ」と解説されています。
侮られる可能性があるのだから、下のものをしっかり管理しなければならない、ということです。現在の意味とは異なっていることがわかりますね。
国語辞典によっては「強いものがチャンスを狙う」と記載されているものもありましたが、おそらくこうした由来の影響もあるかもしれません。
現在は更にそこから変化し、「チャンスを狙う」という意味に焦点が当たり、誰にでも使われるようになりました。語源の知識も覚えておくと面白いでしょう。
\次のページで「「虎視眈眈」の使い方・例文」を解説!/