この記事では「半死半生」について解説する。

端的に言えば「半死半生」の意味は「ほとんど死にかけていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「半死半生」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「半死半生」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「半死半生(はんしはんしょう)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「半死半生」の意味は?

「半死半生」には、次のような意味があります。

死にかかっていること。もう少しで死にそうなようす。「半死半生の目に遭う」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「半死半生」

漢字を解釈すると「半分死んでいて」「半分生きている」わけですから、「死にかけていること、今にも死にそうな様子」ということになります。

半分は生きているのではと思うかもしれませんが、重点が置かれているのは「半分の50パーセントしか生きていない」ほうです。

死にそう(なほどにひどい、危ない、つらい)」と、悪い意味を指すことを押さえておきましょう。

また、「半生」は「はんしょう」と読むのが一般的ですが、「はんせい」や「はんじょう」と読むこともできます。書きよりは読み問題で問われることが多いでしょう。

「半死半生」の語源は?

次に「半死半生」の語源を確認しておきましょう。

この言葉は、前漢の文人であった枚乗(ばいじょう)という人物による『七発(しちはつ)』という作品に由来をみることが出来ます。

大きな桐の木について述べた文章で、その力強い外見について述べた後に「半死半生の状態である」という描写が。実は、生命力がほとんどない木であると読者を驚かせる展開となっています。

外側は強く生きているように見えるのに、内側は死んでいるということでまさに「半死半生」。ここでも強調したいのは「ほぼ死んでいる」ほうということがわかります。

語源の知識自体はかなりマニアックなレベルですが、余裕があれば覚えるようにしましょう。

\次のページで「「半死半生」の使い方・例文」を解説!/

「半死半生」の使い方・例文

「半死半生」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・仕事中の事故で、半死半生の目に遭い病院に運び込まれた彼だが、何時間もの手術の結果、一命をとりとめた。

・病気で、半死半生のまま数年意識がなかった彼女だが、今は回復の見込みを決してあきらめず、一生懸命リハビリに努めている。

・大けがをし、一時は呼吸まで止まり半死半生状態だったあの登山家は、いつかベストな状態に戻れると希望を捨てていない。

今にも死にそうだったことや、生死の境にあるような状態」というイメージがつきますでしょうか。

辞典では「本当に命の危機にある、実際に死に向かう」と、実際の死に限定されているものがほとんど。瀕死状態や、九死に一生といったことを表す、かなり重い意味の言葉ととらえられます。

では、たとえば「先輩のカラオケにオールで付き合わされて、もう半死半生の状態だった」という表現はどうでしょうか。

本来の意味からすると不適切かもしれませんが、逆に「それくらい(死ぬほど)辛かった」という、少し可笑しさも含んだ表現として考えることもできるでしょう。

読解問題などで見かけた場合は、どのような意図で使われているのかしっかり読み取るようにしてください。

「半死半生」の類義語は?違いは?

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「半死半生」の類義語として「気息奄奄」をご紹介します。

「気息奄奄」

「気息奄奄(きそくえんえん)」は、「息も絶え絶えで、今にも死んでしまいそうな状態」のことを表す四字熟語です。

「奄奄」は、「奄」に「覆う、ふさぐ」という意味があり「(息がふさがれて)絶え絶えである」ということ。

そんな状態ですから、こちらの四字熟語も「まだ死んでいないが、今にも死んでしまいそう」ということで「半死半生」と意味が一致しますね。

漢字としては、記述するのはかなりの高レベル。まずは読みから押さえましょう。

\次のページで「「半死半生」の対義語は?」を解説!/

ネット通販の普及や読書率の低下によって、街の本屋さんは気息奄々たる状態になりつつあると言えるだろう。

「半死半生」の対義語は?

「半死半生」の対義語には、「無病息災」が考えられます。

「無病息災」

「無病息災(むびょうそくさい)」は、「まったく病気をすることなく、健康なこと」。

「死にかけている」という微妙な状態とは、明確には反対ではないかもしれませんが、「死からは完全に遠い」という点で挙げています。

「息災」とは、これだけでも「無事、身体に問題の無い」という意味を持つ熟語。読みも意味も問われることがありますので、しっかり押さえましょう。

無病息災を願って、我が家では毎年、家族全員で初詣に出かけることになっている。

「半死半生」の英訳は?

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「半死半生」の英語訳には、や「more dead than alive」や「only half alive」「almost died」などがあります。それぞれの違いや使い方もチェックしてください。

「more dead than alive」

直訳すれば「生きているよりも死んでいる(状態)の方が多い」となりますね。「まだ死んではいない」けれど「死に近い」という表現で、「半死半生」を表すのに適切な慣用表現といえるでしょう。

日本語訳の際は「半死半生」以外にも「死んだも同然だ」などとするときれいな文章になるでしょう。

\次のページで「「only half alive」や「almost died」」を解説!/

Survivor of the accident was more dead than alive.
その事故からの生還者は、半死半生の状態だった。

「only half alive」や「almost died」

それぞれ直訳すると、「only half alive」は「半分しか生きていない」、「almost died」は「ほとんど死んでいる」で、「半死半生」と似た意味になる表現です。

「only」は「~しかない」というように否定を伴い、反対の意味を強調する使い方があります。この場合は「それくらい死に近い」ということになりますね。

「almost died」は「die(死ぬ)」の部分を、例えば「おぼれて死ぬ」の意味を持つ単語「drown」などに変えることもできます。

それぞれ慣用句というよりも、英語的な表現です。暗記よりも理解することで、英語力が上がるでしょう。

She was only half alive at the accident.
彼女はその事故で、半死半生状態になった。

He saved an almost drowned swimmer.
彼は、おぼれて半死半生だったスイマーを助けた。

「半死半生」を使いこなそう

この記事では「半死半生」の意味・使い方・類語などを説明しました。

生きることや死ぬことについての慣用表現や四字熟語はたくさんあります。

出来れば、「半死半生」のような恐ろしい言葉ではなく、「平穏無事」のような四字熟語を使って過ごせるように心がけたいものですね。

試験のためにも「健康第一」で日々過ごしましょう。

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【四字熟語】「半死半生」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校講師がわかりやすく解説!

この記事では「半死半生」について解説する。

端的に言えば「半死半生」の意味は「ほとんど死にかけていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「半死半生」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「半死半生」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「半死半生(はんしはんしょう)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「半死半生」の意味は?

「半死半生」には、次のような意味があります。

死にかかっていること。もう少しで死にそうなようす。「半死半生の目に遭う」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「半死半生」

漢字を解釈すると「半分死んでいて」「半分生きている」わけですから、「死にかけていること、今にも死にそうな様子」ということになります。

半分は生きているのではと思うかもしれませんが、重点が置かれているのは「半分の50パーセントしか生きていない」ほうです。

死にそう(なほどにひどい、危ない、つらい)」と、悪い意味を指すことを押さえておきましょう。

また、「半生」は「はんしょう」と読むのが一般的ですが、「はんせい」や「はんじょう」と読むこともできます。書きよりは読み問題で問われることが多いでしょう。

「半死半生」の語源は?

次に「半死半生」の語源を確認しておきましょう。

この言葉は、前漢の文人であった枚乗(ばいじょう)という人物による『七発(しちはつ)』という作品に由来をみることが出来ます。

大きな桐の木について述べた文章で、その力強い外見について述べた後に「半死半生の状態である」という描写が。実は、生命力がほとんどない木であると読者を驚かせる展開となっています。

外側は強く生きているように見えるのに、内側は死んでいるということでまさに「半死半生」。ここでも強調したいのは「ほぼ死んでいる」ほうということがわかります。

語源の知識自体はかなりマニアックなレベルですが、余裕があれば覚えるようにしましょう。

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