家事の一環として刃物を研ぎ始めたはいいが、彼は一時間もしないうちに音を上げてしまった。
すぐに音を上げてしまうくらいなら、バーで楽器の演奏をする仕事を引き受けなければいいのに。
スマホの小さな画面やスピーカー音量の小ささにも音を上げず、遠隔授業をよく頑張ったものだ。
「音を上げて」しまうからには、何か途中であきらめてしまいたくなるような対象が存在するはずです。この慣用句を正しく理解するには、その何かをきちんと押さえておくことが求められます。
最初の例文では、そのあきらめてしまいたくなる何かが、刃物を研いでおくことだと分かるはずです。簡単な作業だと高をくくっていたところ、ことのほか難しくて投げ出したくなったといったところでしょうか。
二つめの例文では、バーでの楽器演奏がそれに当たります。詳しい様子は分かりませんが、お金をもらって客の前で弾くのは勝手が違ったのかもしれませんね。
最後の例文では、スマホという限られた画面の大きさや音量の中であきらめることなく遠隔授業を受けることができた様子がうかがえます。
#2 「音を上げる」の類義語は?違いは?
ところで、「音を上げる」と意味の似た言葉にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、中でも代表的なものを二つご紹介します。
「匙を投げる」
「匙を投げる」は、「音を上げる」の類義語の中でも代表的なもののひとつです。この慣用句には、物事を断念するという意味合いがあります。
ただし、「音を上げる」のように声を出すというニュアンスはないので注意が必要です。
「投げ出す」
「投げ出す」もまた、「音を上げる」の類義語だといって差し支えないものです。この慣用句は、途中であきらめて放棄するという意味合いを持っています。
こちらも、先ほどの「匙を投げる」と同様に声を出すとは限らない点には注意が必要でしょう。では、これらの類義語を用いた例文をみていきます。
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