この記事では「肩の荷が下りる」について解説する。

端的に言えば「肩の荷が下りる」の意味は「責任から解放されること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「肩の荷が下りる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「肩の荷が下りる」の意味・使い方まとめ

それでは早速「肩の荷が下りる」の意味や使い方を見ていきましょう。

「肩の荷が下りる」の意味は?

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「肩の荷が下りる」には、次のような意味があります。

責任や負担から解放されて楽になる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「肩の荷が下りる」

誰しも「肩(かた)の荷(に)が下りる」経験をしたことがあるのではないでしょうか。「肩の荷が下りる」の「荷」は「荷物」だと考えてください。「荷物」は、運送する品物のほかに、負担となるものに対しても「荷物」と表現することがあります。そのため、「肩の荷が下りる」の「荷」は「責任・負担」であり、「肩」は「自身の心」だと思って想像してみるとよいでしょう。

義務や責任といった重圧は、肩に重くのしかかり、成し遂げるまでは不安に駆られるものです。心配で眠れない夜もあるでしょう。しかし、物事を達成した時の解放感は清々しく、肩が軽くなったような感覚になります。プレッシャーから解放された時、もしくは気合いを入れて挑まなければいけない物事から解放された時に、「肩の荷が下りる」を使ってみてください。

「肩の荷が下りる」の使い方・例文

「肩の荷が下りる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「肩の荷が下りる」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.極限状態から解放された責任者は、肩の荷が下りたような表情をしていた。

2.会社が求める結果を出せて、やっと肩の荷が下りたよ。

3.収録が上手くいくか不安だったが、視聴者の反応をみて肩の荷が下りた気がした。

「肩の荷が下りる」は、本人が「責任から解放された」と感じた時に使います。当たり前のことかもしれませんが、解放されたかどうかは本人が決めること。上司や先輩に対して「肩の荷が下りましたね」といった使い方は、上から目線な印象を与えかねません。あくまで、自身の気持ちを表現したい時、もしくは同僚に対して使う程度にとどめておきましょう。

また、責任や負担から逃げてしまった時、もしくは誰かに押しつけた場合も、責任から解放された気分になるかもしれません。しかし、そのような場合は「肩の荷が下りる」を使わないようにしましょう。誰かに任かせきりで、自分は「肩の荷が下りた」と周囲に言っていたら、相手はどう思うでしょうか。きっと不快な気持ちになっているはずです。「肩の荷が下りる」は、物事に対して自力で解決した時、もしくは目標を達成した時に使ってみてください。

「肩の荷が下りる」の類義語は?違いは?

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では、「肩の荷が下りる」の類義語や違いをみていきましょう。

「肩が軽くなる」

肩凝りが解消された時に「肩が軽くなる」と言いますが、責任や負担かがなくなり、ホッとした時にも使うことができます。意味は「肩の荷が下りる」と全く同じなので、使いやすい方を選ぶとよいでしょう。

「胸を撫で下ろす」

「胸を撫(な)で下ろす」は、責任や負担に対してではなく「心配事」が解決した場合に使います。たとえば、家族が事故に合ってしまい、運び込まれた病院に慌てて駆け込んだとしましょう。すると、想像していたよりも軽症で、本人は元気でいました。そのような時に「胸を撫で下ろす」と表現します。心臓がドキドキしている時は胸に手をあて、ホッとすると手を撫で下ろしますよね。一連の動作をそのまま使った慣用句といえます。

\次のページで「「愁眉を開く」」を解説!/

「愁眉を開く」

「愁眉(しゅうび)」とは、心配している時にしかめる眉のこと。悲しい時や心配で仕方がない時、自然と眉の間にシワができているかと思います。すなわち、眉をひそめていますよね。そこへ「愁(うれい)」が加わるわけですから、心配事がなくなり、ほっとした表情になることを「愁眉を開く」と表現します。「胸を撫で下ろす」と同じ感覚で使うとよいでしょう。

「肩の荷が下りる」の対義語は?

では、次に「肩の荷が下りる」の対義語をみていきましょう。

「荷が重い」

「荷が重い」は、本人の力量に比べて、負担や責任が大き過ぎた場合に使うことができます。解放された「肩の荷が下りる」に比べて、「荷が重い」は、まだチャレンジ中だといえるでしょう。「荷が重い」の「荷」も「責任・負担」を差しているため、自身の肩にずっしりと荷物が乗っている状態を想像すると分かりやすいかもしれません。

「荷が重い」状況が続くと、気持ちまで滅入ってしまいがちです。気に病む前に、周囲に相談するか、定期的な息抜きを忘れないようにしてくださいね。

「思案に暮れる」

「思案」とは、考えをめぐらすこと。「暮れる」は、太陽が沈む様子を表すだけでなく、悲しみや見通しが立たない時にも使われます。「思案に暮れる」の意味は、どうしたらよいか迷ってしまい、考えが定まらないこと

たとえば、任されたプロジェクトを進めていく方法が、2つあったとしましょう。どちらも悪くはありませんが、最善ではないかもしれません。このままで良いのか、プロジェクトを必ず成功させるために必死に考えることでしょう。思案に暮れている時は辛く、気持ちが押し潰されそうになるかもしれません。しかし、諦めず考えていれば、肩の荷が下りる日が必ずやってくるはずですよ。

「骨が折れる」

「骨が折れる」は、骨折していると報告しているわけではありません。困難で苦労した時や、労力がいる時に「骨が折れる」と表現します。普段は挑戦しないような難しい問題に直面したとしましょう。内容を理解するだけでも時間がかかり、苦労しますよね。そのような場合に「骨が折れる」を使うことができます。

なぜ「骨」なのか、気になった方も多いのではないでしょうか。「骨」は、人の骨を差す以外にも、物事を処理する要領や、屈しない気力に対しても使います。そのため、苦労すること、もしくは精を出して働くことを「骨折り」と言いますよね。実際に体の「骨」が折れたら、治るまでは時間がかかるもの。「骨が折れる」は、それだけ簡単には解決できない、大変なことと向き合っている様子を表現した慣用句といえるでしょう。

「肩の荷が下りる」の英訳は?

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では、「肩の荷が下りる」を英訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

\次のページで「「a load off my mind」」を解説!/

「a load off my mind」

「a load off my mind」は、名詞としてそのまま覚えてしまいましょう。「load off」は「負担軽減」という意味。「mind」は「心」や「精神」という意味になります。「That's a load off my mind」と言えば「肩の荷が下りたよ」と伝えることができますね。「take」をつけ足して「take a load off one's mind」と表現してもよいでしょう。

「a weight off my shoulders」

「weight」は「重さ」という意味。「load」よりも「weight」のほうが、さらに大きな負担であると考えてください。「shoulders」は「肩」という意味。「a weight off my shoulders」は直訳すると「肩の荷が下りた」となりますので、慣用句の「肩の荷が下りる」としてそのまま使うことができます。

「肩の荷が下りる」を使いこなそう

この記事では「肩の荷が下りる」の意味・使い方・類語などを説明しました。「肩の荷が下りる」は、重い荷物を下ろすという行動を比喩した表現になります。大量の荷物を運ばなければいけない時、その場にいる全員が協力して荷物を運びますよね。だからこそ、責任や負担が重くのしかかったとしても、一人で荷物を支えようとする必要はありません。

チームであれば誰かに協力してもらい、不安であれば信頼できる人に相談し、取り組んでいる物事を完遂させればよいのです。むしろ、荷物を早く下ろすためには、必ず助けが必要ではないでしょうか。そして、仕事が一段落した時に、お礼と一緒に使ってみてください。「ありがとう、あなたのおかげで肩の荷が下りたよ」と伝えれば、相手もきっと笑顔で返してくれるはずですよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「肩の荷が下りる」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「肩の荷が下りる」について解説する。

端的に言えば「肩の荷が下りる」の意味は「責任から解放されること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「肩の荷が下りる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「肩の荷が下りる」の意味・使い方まとめ

それでは早速「肩の荷が下りる」の意味や使い方を見ていきましょう。

「肩の荷が下りる」の意味は?

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「肩の荷が下りる」には、次のような意味があります。

責任や負担から解放されて楽になる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「肩の荷が下りる」

誰しも「肩(かた)の荷(に)が下りる」経験をしたことがあるのではないでしょうか。「肩の荷が下りる」の「荷」は「荷物」だと考えてください。「荷物」は、運送する品物のほかに、負担となるものに対しても「荷物」と表現することがあります。そのため、「肩の荷が下りる」の「荷」は「責任・負担」であり、「肩」は「自身の心」だと思って想像してみるとよいでしょう。

義務や責任といった重圧は、肩に重くのしかかり、成し遂げるまでは不安に駆られるものです。心配で眠れない夜もあるでしょう。しかし、物事を達成した時の解放感は清々しく、肩が軽くなったような感覚になります。プレッシャーから解放された時、もしくは気合いを入れて挑まなければいけない物事から解放された時に、「肩の荷が下りる」を使ってみてください。

「肩の荷が下りる」の使い方・例文

「肩の荷が下りる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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