引っ張った物は細くなる?「ポアソン比」を理系ライターがわかりやすく解説
3.引張時の長さと太さの変化
引っ張る前と後でどう変わるか考えましょう。体積は断面積×引っぱり方向の長さとし、引っぱった後、長さが1+ε倍になるとします。
1+ε倍。なぜこんな表し方?
材料力学ではよく使われる表し方。εはひずみと呼ばれるパラメータ。普通にn倍とかでいいのではないでしょうか?いいえ、それだと少し不便です。引っぱると言っても、伸びるのは極わずか。比率としては元の1.004倍とかそのレベル。
したがってn倍の考えでいくと、n=1.004といった表し方になります。これだとどう見てもn≒1。nの有効数字を4以上取らないとひずみの値が消えてしまいます。そこで、1+εのように別々の項にするわけです。そうすれば、εの有効数字が適用され小さな値でも存在感を残せますね。4.横方向の伸びとポアソン比
引っぱり方向には元の長さ1に対しεだけ伸びる。この時太さ方向にはεのさらにν倍した分だけ縮むと考えます。太さ方向の寸法は1-νε倍になるわけです。このνの値がポアソン比。伸びに対しどれだけ細くなるかを表す指標。縮み量は伸び方向のひずみεに比例する、「伸びれば伸びるだけ細くなる」という考え方。
ポアソン比の大小と変形
ポアソン比が大きいと、伸びた時1-νεで表される太さ方向の長さも小さくなりやすい→細くなりやすい。
逆にポアソン比が小さいと、εを大きくしても1-νεがさほど小さくならず→太いまま。仮にポアソン比が0なら伸びるけれと、太さは変わらないという状態。仮にポアソン比が負の値なら、長さ方向に伸びるに従って太くなるという通常は考えにくい状態。5.伸びた後の体積
image by Study-Z編集部
伸びる前と後で、体積はどう変わるか?伸びるんだから大きくなる?いやいや、結局ほそくなるんだから変わらない?引っぱる前の体積を1とした時、引っ張った後は何倍になるか考えていきます。
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