今回のテーマは太陽系の天体のひとつ、冥王星です。冥王星は代表的な準惑星です。

宇宙にはたくさんの天体がある。天体といえば地球の惑星、太陽の恒星、そして月の衛星がイメージしやすいな。では準惑星がどんな天体かわかるか?準惑星は2006年に出来た天体の分類です。準惑星ができた背景には惑星とはどんな天体かという議論された過去がある。

どうして準惑星という分類ができたのか、どんな惑星が準惑星に分類されているのかについてを科学館職員のたかはしふみかが解説します。

ライター/たかはし ふみか

不思議な現象を解き明かす科学が好きで理系に進んだリケジョ。高校、大学で化学漬けの日々を過ごしていた。

天体とは?

image by PIXTA / 50778046

空を見上げると太陽や月、金星や星座など様々な天体を見ることができます。ところで、そもそも天体とはどんなものでしょうか。

天体とは「宇宙空間に存在する岩石やガス、塵などが凝集した状態の物体」のことです。私たちが暮らす地球も天体の一種で、地球は「惑星」に分類されます。

天体の種類には

恒星 太陽

 自ら輝くことのできる天体

惑星 水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星

 恒星の周りを公転する天体

衛星 月など

 惑星の周りをまわる天体

準惑星 冥王星、エリス、ケレスなど

 恒星の周りを公転し、軌道上に他の天体がある

彗星

 太陽に近づいた時にガスと塵によってしっぽがあるように見える天体

小惑星

 惑星よりも軽く、形がいびつな天体

などがあります。

地球が存在する太陽系で考えてみましょう。太陽系にある恒星は太陽ひとつだけです。そして太陽に近い順に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つの惑星があります。惑星ごとに衛星があり、地球は月のみですが土星には82個もの衛星があります(2019年時点)。現在準惑星は5つですが、準惑星候補の天体もあり、今後増えていくかもしれません。

天体の分類や特徴については次の記事を参考にしてくださいね。

天体が明確に定義されたきっかけは「冥王星」

先ほど天体の種類を簡単にご紹介しました。空を見上げれば見える天体ですが、その定義が明確にされたのは意外と最近の2006年です。この時に明確に惑星が定義され、新たに準惑星という分類が作られました。

天体の定義について語るのに欠かせないのが今回のテーマ、「冥王星」です。そこで、冥王星の発見から準惑星になりまでの流れを紹介していきます。

冥王星の発見と議論

image by PIXTA / 21013906

冥王星の発見は1930年のことです。もともと太陽系には9番目の惑星があることが予想されていました。そして第9惑星を発見しようとしていたアメリカの天文学者、クライド・トンボーによって間をあけて撮影された2枚の写真から動いた天体を見つけるという手法で発見されたのです。

内惑星(地球より太陽に近い)の水星と金星、外惑星の火星、木星、土星は曜日にも入っていることからわかるように天体望遠鏡が発明される前から発見されていました。ちなみに望遠鏡が発明されたのは17世紀初頭のことで、ガリレオ・ガリレイによって望遠鏡で土星の輪が確認されたのは1610年のことです。

太陽系で一番外側にある海王星は1846年に発見されました。それよりも内側にある天王星の発見が1781年です。正確には1690年には天王星の存在が確認されています。しかし、天王星が惑星と思われなかったため正式な発見1781年となったそうです。

このことから冥王星の発見が太陽系の惑星と比べるとずいぶん最近であることが分かりますね

\次のページで「新たな天体、準惑星」を解説!/

新たな天体、準惑星

太陽系で最も外側にある惑星となった冥王星。しかし1992年、冥王星に続くふたつめの太陽系外縁天体平均的に海王星よりも遠くを公転する天体)が見つります。新たに見つかった太陽系外縁天体は小惑星でアルビオンと名付けられました。

そして2005年、冥王星よりも大きいサイズと思われる天体(エリス)が発見されます。もともと軌道が楕円形なことなどから惑星として扱っていいものか議論されていた冥王星。これをきっかけに冥王星を惑星とするかどうかの議論がますます活発となりました。そして2006年の国際天文学連合総会で惑星、準惑星、太陽系小天体が明確に定義されました。

image by Study-Z編集部

どの天体も太陽の周りを公転しているのは一緒ですね。惑星が準惑星かの違いは「軌道上に衛星以外の天体があるのか(排除しているのか)」ということがポイントです。また定義されているわけではないですが、準惑星は軌道が楕円形で傾いている傾向があります。

冥王星のデータ

冥王星のデータ

image by Study-Z編集部

冥王星の直径は2,370㎞、地球の直径が12,756㎞ほどなので5分の1くらいの大きさ。地球の衛星である月の直径が3,474㎞で、月よりもさらに小さいのです。自転は6日ほどで1周しますが、公転にはなんと247年もかかります。ちなみに太陽系の惑星で最も公転に時間がかかるのは海王星の約165年です。いかに冥王星の公転期間が長いかわかりますね。

image by Study-Z編集部

冥王星の軌道は海王星とぶつかるポイントがあります。そのため、一時的に海王星よりも冥王星の方が地球に近くなることがあるのです。近年では1979年の2月から1999年の2月までのちょうど20年ほどでした。その前は1735年7月から1749年9月で、まだ冥王星と海王星が発見される前のことになります。

\次のページで「冥王星の観測」を解説!/

冥王星の観測

冥王星の観測を最初に行ったのはニュー・ホライズンという無人探査機です。2006年1月に打ち上げられ、4月に火星軌道を通過。9月に望遠カメラで冥王星を撮影しました。2007年2月に木星に接近し、2008年6月に土星、2011年に天王星、2014年に海王星の軌道を通過します。そして2015年7月、ニューホライズンが地球を発って9年後に冥王星に最接近し探査が始まりました。

準惑星、冥王星

冥王星は比較的近年に発見された天体です。太陽、月、木星など望遠鏡が発明される前から人は肉眼で天体を見ていました。そして望遠鏡が開発され、土星の環や冥王星が発見されたのです。今では地球から見るだけでなく、探査機を送り込んで惑星について調べています。

発見されたときから、それまでの惑星とは違う特徴を持っているとされていた冥王星。より遠くの天体が観測され、冥王星を惑星とするかどうかが議論されるようになりました。そして2006年に惑星が正式に定義され、準惑星という分類ができたのです。惑星と準惑星の定義は似ていますが、公転する軌道上に衛星以外の天体があるのかがポイント。準惑星には候補の天体があり、これから増えていくかもしれません。

 

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地学宇宙理科

準惑星ってどんな天体?冥王星を科学館職員がわかりやすく解説

今回のテーマは太陽系の天体のひとつ、冥王星です。冥王星は代表的な準惑星です。

宇宙にはたくさんの天体がある。天体といえば地球の惑星、太陽の恒星、そして月の衛星がイメージしやすいな。では準惑星がどんな天体かわかるか?準惑星は2006年に出来た天体の分類です。準惑星ができた背景には惑星とはどんな天体かという議論された過去がある。

どうして準惑星という分類ができたのか、どんな惑星が準惑星に分類されているのかについてを科学館職員のたかはしふみかが解説します。

ライター/たかはし ふみか

不思議な現象を解き明かす科学が好きで理系に進んだリケジョ。高校、大学で化学漬けの日々を過ごしていた。

天体とは?

image by PIXTA / 50778046

空を見上げると太陽や月、金星や星座など様々な天体を見ることができます。ところで、そもそも天体とはどんなものでしょうか。

天体とは「宇宙空間に存在する岩石やガス、塵などが凝集した状態の物体」のことです。私たちが暮らす地球も天体の一種で、地球は「惑星」に分類されます。

天体の種類には

恒星 太陽

 自ら輝くことのできる天体

惑星 水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星

 恒星の周りを公転する天体

衛星 月など

 惑星の周りをまわる天体

準惑星 冥王星、エリス、ケレスなど

 恒星の周りを公転し、軌道上に他の天体がある

彗星

 太陽に近づいた時にガスと塵によってしっぽがあるように見える天体

小惑星

 惑星よりも軽く、形がいびつな天体

などがあります。

地球が存在する太陽系で考えてみましょう。太陽系にある恒星は太陽ひとつだけです。そして太陽に近い順に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つの惑星があります。惑星ごとに衛星があり、地球は月のみですが土星には82個もの衛星があります(2019年時点)。現在準惑星は5つですが、準惑星候補の天体もあり、今後増えていくかもしれません。

天体の分類や特徴については次の記事を参考にしてくださいね。

天体が明確に定義されたきっかけは「冥王星」

先ほど天体の種類を簡単にご紹介しました。空を見上げれば見える天体ですが、その定義が明確にされたのは意外と最近の2006年です。この時に明確に惑星が定義され、新たに準惑星という分類が作られました。

天体の定義について語るのに欠かせないのが今回のテーマ、「冥王星」です。そこで、冥王星の発見から準惑星になりまでの流れを紹介していきます。

冥王星の発見と議論

image by PIXTA / 21013906

冥王星の発見は1930年のことです。もともと太陽系には9番目の惑星があることが予想されていました。そして第9惑星を発見しようとしていたアメリカの天文学者、クライド・トンボーによって間をあけて撮影された2枚の写真から動いた天体を見つけるという手法で発見されたのです。

内惑星(地球より太陽に近い)の水星と金星、外惑星の火星、木星、土星は曜日にも入っていることからわかるように天体望遠鏡が発明される前から発見されていました。ちなみに望遠鏡が発明されたのは17世紀初頭のことで、ガリレオ・ガリレイによって望遠鏡で土星の輪が確認されたのは1610年のことです。

太陽系で一番外側にある海王星は1846年に発見されました。それよりも内側にある天王星の発見が1781年です。正確には1690年には天王星の存在が確認されています。しかし、天王星が惑星と思われなかったため正式な発見1781年となったそうです。

このことから冥王星の発見が太陽系の惑星と比べるとずいぶん最近であることが分かりますね

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