宇宙にはたくさんの天体がある。天体といえば地球の惑星、太陽の恒星、そして月の衛星がイメージしやすいな。では準惑星がどんな天体かわかるか?準惑星は2006年に出来た天体の分類です。準惑星ができた背景には惑星とはどんな天体かという議論された過去がある。
どうして準惑星という分類ができたのか、どんな惑星が準惑星に分類されているのかについてを科学館職員のたかはしふみかが解説します。
ライター/たかはし ふみか
不思議な現象を解き明かす科学が好きで理系に進んだリケジョ。高校、大学で化学漬けの日々を過ごしていた。
天体とは?
空を見上げると太陽や月、金星や星座など様々な天体を見ることができます。ところで、そもそも天体とはどんなものでしょうか。
天体とは「宇宙空間に存在する岩石やガス、塵などが凝集した状態の物体」のことです。私たちが暮らす地球も天体の一種で、地球は「惑星」に分類されます。
天体の種類には
恒星 太陽
自ら輝くことのできる天体
惑星 水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星
恒星の周りを公転する天体
衛星 月など
惑星の周りをまわる天体
準惑星 冥王星、エリス、ケレスなど
恒星の周りを公転し、軌道上に他の天体がある
彗星
太陽に近づいた時にガスと塵によってしっぽがあるように見える天体
小惑星
惑星よりも軽く、形がいびつな天体
などがあります。
地球が存在する太陽系で考えてみましょう。太陽系にある恒星は太陽ひとつだけです。そして太陽に近い順に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つの惑星があります。惑星ごとに衛星があり、地球は月のみですが土星には82個もの衛星があります(2019年時点)。現在準惑星は5つですが、準惑星候補の天体もあり、今後増えていくかもしれません。
天体の分類や特徴については次の記事を参考にしてくださいね。
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天体が明確に定義されたきっかけは「冥王星」
先ほど天体の種類を簡単にご紹介しました。空を見上げれば見える天体ですが、その定義が明確にされたのは意外と最近の2006年です。この時に明確に惑星が定義され、新たに準惑星という分類が作られました。
天体の定義について語るのに欠かせないのが今回のテーマ、「冥王星」です。そこで、冥王星の発見から準惑星になりまでの流れを紹介していきます。
冥王星の発見と議論
冥王星の発見は1930年のことです。もともと太陽系には9番目の惑星があることが予想されていました。そして第9惑星を発見しようとしていたアメリカの天文学者、クライド・トンボーによって間をあけて撮影された2枚の写真から動いた天体を見つけるという手法で発見されたのです。
内惑星(地球より太陽に近い)の水星と金星、外惑星の火星、木星、土星は曜日にも入っていることからわかるように天体望遠鏡が発明される前から発見されていました。ちなみに望遠鏡が発明されたのは17世紀初頭のことで、ガリレオ・ガリレイによって望遠鏡で土星の輪が確認されたのは1610年のことです。
太陽系で一番外側にある海王星は1846年に発見されました。それよりも内側にある天王星の発見が1781年です。正確には1690年には天王星の存在が確認されています。しかし、天王星が惑星と思われなかったため正式な発見1781年となったそうです。
このことから冥王星の発見が太陽系の惑星と比べるとずいぶん最近であることが分かりますね。
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