この記事では「報本反始」について解説する。

端的に言えば報本反始の意味は「天地や祖先など存在のもととなるものに感謝し報いること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「報本反始」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「報本反始」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「報本反始」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ほうほんはんし」です。意味に加えて、語源や使い方などさまざまな情報を知っておくと役に立ちますよ。

「報本反始」の意味は?

「報本反始」には、次のような意味があります。四字熟語としての意味や漢字それぞれの意味についても、正確にチェックしておきましょう。

1.天地や祖先などの恩に報いること。人が天地や祖先など、存在の根本に感謝し報い、発生の始めに思いを致すこと。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「報本反始」

「報本」は全てのもととなる天地や自然に報いること、「反始」は人類の始まりである祖先に思いを馳せて感謝することです。「反」は「かえる」という意味で使われています。

天地や祖先など、現在の人の営みのもととなっているものに対して報いたり感謝の気持をもつという意味がありますよ。現在、人が営むことができているのは、祖先から進化しながら人類のバトンをつないできたからです。さらに言うなら、豊穣な大地があり、天から陽の光や雨の恵みがあってこそ人は生き続けることができているということになります。そういったことに感謝の気持ちを持つという意味です。

「報本反始」の語源は?

次に「報本反始」の語源を確認しておきましょう。「報本反始」は『礼記』の郊特牲という章に記述が残っているとされています

そこには、「唯(た)だ社には丘乗(きゅうじょう)粢盛(しせい)を共す。本(もと)に報い、始めに反(かえ)る所以(ゆえん)なり。」とあり、「ただ土地の神を祀るときには、丘と乗に器に持った穀物を供える。天地自然や祖先などの恩に報いる」という意味になっていますよ。

\次のページで「「報本反始」の使い方・例文」を解説!/

「報本反始」の使い方・例文

「報本反始」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.ときには中国や日本の古典を学んだり、報本反始の気持をもって感謝することも大切だ。
2.農作物の生産者でなくとも、豚肉など加工食肉を食べられること一つをとっても報本反始に値する。

例文の1.は、ときには歴史をさかのぼってみることや人類の始まりに関することに思いを馳せることも大切であるということです。例文2.のほうは、大地から収穫しているものでなくとも、何らかを口にしているということは大地などの自然や祖先のおかげに他ならないという意味になっています。

使い方としては、「報本反始の…」や「報本反始に…」など名詞のカタマリとして使うのが一般的です。「報本反始する」という言い方は、一般的ではありません。

「報本反始」の類義語は?違いは?

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それでは、「報本反始」の類義語についての説明です。よく似た意味の四字熟語があるので、ニュアンスの違いに注意しながら詳しく見ていきましょう。

「報恩謝徳」

「報本反始」の類義語には、「報恩謝徳(ほうおんしゃとく)」があります。意味は、受けた恩や徳に報いて感謝の気持をもつことです。「恩に報い徳に謝す」と読み下すことができ、「報恩」で恩に報いること、「謝徳」が受けた徳に感謝することを表しています。

「恩に報い徳に謝す」ということですが、基本的には損得勘定で行うことではなく、純粋に相手などに報いたり感謝したりすることです。

\次のページで「「報本反始」の対義語は?」を解説!/

「報本反始」の対義語は?

次に、「報本反始」の対義語についての説明です。類義語よりも対義語のほうがたくさんあるのは、なんとも残念な感じもしますが、戒めの言葉は必要なのでしょうね。詳しく見ていきますよ。

「忘恩負義」

「報本反始」の対義語には、「忘恩負義(ぼうおんふぎ)」があります。恩義を忘れて義理に背くことという意味です。「恩を忘れ義に負(そむ)く」と訓読し、「負」を背くや裏切るという意味で使っていますよ。

恩義を忘れてしまうということは、故意ではなかったとしても、やはり義理に背くことに違いはありません。みんなに信用されるためにも、恩恵を受けて満足するのではなく常に恩義の気持ちは持ちたいものです。

「人面獣心」

もう一つの対義語には、「人面獣心(じんめんじゅうしん)」があります。意味は、恩義や人情をわきまえず恥を知らない人のことです。「人面」は人間の顔やそれらしきもののこと、「獣心」は道理をわきまえない獣のような心のことを表しています。

恩義をわきまえないだけでなく無慈悲でもあるということで、さきほどの「忘恩負義」よりは強く意味の幅も広い表現になっていますよ。

「獅子心中」

さらに、対義語に「獅子身中(しししんちゅう)」があります。意味のほうは、内部にいながら害を及ぼす者のことや恩を受けながらも害をなす者のことです。獅子の体内に寄生する虫が獅子を死なせることもあるということがもとになっています。

もともとは仏の弟子が仏教に身をおきながらも仏教に害をなす者のことでした。ただ、仏教限定の専門的な言葉というわけではありませんよ。なお、「獅子心中」と書き誤ることが多いので、注意が必要です。

「報本反始」の英訳は?

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最後に「報本反始」の英訳についての説明です。よく似た意味を持つ英語表現があるので、一緒に見ていきましょう。

「possessed of a strong sense of duty」

「報本反始」の英訳には、「possessed of a strong sense of duty」があります。直訳すると「義務の強い意識に取り憑かれている」で、「義理堅い」という意味です。その他には「have a keen sense of duty」もあり、「強い義務感をもつ」という意味になります。

いずれも、職務などを果たすための義務感という意味でも使われるので、自然や祖先に感謝する意味においては、少し違いがあるので注意が必要です。

\次のページで「「報本反始」を使いこなそう」を解説!/

「報本反始」を使いこなそう

今回の記事では「報本反始」の意味・使い方・類語などを説明しました。

然や祖先に報い感謝することというのが意味の中心です。国や地域によって環境も文化も教育も違うので、受け取る人によって言葉のイメージは多少変わるかもしれませんが、基本的な考え方としては理解されるものであると思います。さまざまな人と理解し合えるように、意味は正確にとらえておくといいですね。

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【四字熟語】「報本反始」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「報本反始」について解説する。

端的に言えば報本反始の意味は「天地や祖先など存在のもととなるものに感謝し報いること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「報本反始」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「報本反始」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「報本反始」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ほうほんはんし」です。意味に加えて、語源や使い方などさまざまな情報を知っておくと役に立ちますよ。

「報本反始」の意味は?

「報本反始」には、次のような意味があります。四字熟語としての意味や漢字それぞれの意味についても、正確にチェックしておきましょう。

1.天地や祖先などの恩に報いること。人が天地や祖先など、存在の根本に感謝し報い、発生の始めに思いを致すこと。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「報本反始」

「報本」は全てのもととなる天地や自然に報いること、「反始」は人類の始まりである祖先に思いを馳せて感謝することです。「反」は「かえる」という意味で使われています。

天地や祖先など、現在の人の営みのもととなっているものに対して報いたり感謝の気持をもつという意味がありますよ。現在、人が営むことができているのは、祖先から進化しながら人類のバトンをつないできたからです。さらに言うなら、豊穣な大地があり、天から陽の光や雨の恵みがあってこそ人は生き続けることができているということになります。そういったことに感謝の気持ちを持つという意味です。

「報本反始」の語源は?

次に「報本反始」の語源を確認しておきましょう。「報本反始」は『礼記』の郊特牲という章に記述が残っているとされています

そこには、「唯(た)だ社には丘乗(きゅうじょう)粢盛(しせい)を共す。本(もと)に報い、始めに反(かえ)る所以(ゆえん)なり。」とあり、「ただ土地の神を祀るときには、丘と乗に器に持った穀物を供える。天地自然や祖先などの恩に報いる」という意味になっていますよ。

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