この記事では「胆大心小」について解説する。

端的に言えば「胆大心小」の意味は「大胆かつ細心であること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「胆大心小」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「胆大心小」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「胆大心小」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「胆大心小」の意味は?

「胆大心小」には、次のような意味があります。

大胆で、かつ細心であること。度胸は大きく、注意は細かく払うべきこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「胆大心小」

「胆大心小(たんだいしんしょう)」な人は、出世間違いなしではないでしょうか。「胆大」は、大胆であること。どのような事があっても恐れず、尻ごみしない姿勢のことを「大胆」といいますよね。「心小」は、細心のこと。細心とは、気が小さいという意味もありますが、「胆大心小」では、細かいところまで気配りができるという意味になります。

勇敢にチャレンジするだけでなく、注意しながら物事を進めるわけですから、実践できる人は周囲から尊敬されるのではないでしょうか。誰しも、大胆に行動するのは勇気がいりますよね。失敗したくないですし、周りの目も気になることでしょう。しかし、恐れることなく、かつ気配りができるならば頼もしい限りです。リーダーを目指すならば「胆大心小」は欠かせない心構えといえるでしょう。

「胆大心小」の語源は?

次に「胆大心小」の語源を確認しておきましょう。「胆大心小」は、唐の歴史を記した中国の古典「旧唐書」の「遜思邈伝(そんしばくでん)」から誕生しました。「遜思邈」とは、唐初に活躍した医者で、後世に語り継がれる医書を残した人物としても有名です。遜思邈は仏教や道教にも熱心で、「遜思邈伝」において「胆は大ならんことを欲し心は小ならんことを欲す」という言葉を残しました。要するに「人は度胸が大きく、注意は細やかであるべきだ」と言ったわけですね。この言葉が「胆大心小」の由来だといわれています。

\次のページで「「胆大心小」の使い方・例文」を解説!/

「胆大心小」の使い方・例文

「胆大心小」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.胆大心小で問題と向き合えば、ある程度のことは乗り越えられる。

2.新しく立ち上げたプロジェクトこそ、胆大心小で進めるべきだ。

3.彼は胆大心小な人で決断力がある。

「胆大心小」は、大胆で度胸がありながら、細心の注意が払えるという意味なので、ビジネスシーンで使いやすい四字熟語ではないでしょうか。自身の心構えとして使ってもいいですし、部下や後輩にアドバイスとして利用するのもよいでしょう。

ほかにも、学校でスポーツ関連の部活動をしているならば、プレーに対してアドバイスする時に使うこともできるはずです。やはり、最初は技術に自信がないことから、控えめな行動を取ってしまうかもしれません。しかし、大胆に敵チームを攻めつつ、仲間に気配りしながらプレーできるなら、良い選手といえるのではないでしょうか。「胆大心小であれ」と、座右の銘にするのも素敵ですね。

「胆大心小」の類義語は?

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では、類義語をみていきたいところですが、「胆大心小」に似かよった意味の四字熟語は存在しません。そこで「胆大心小」と同じく、行動に対する心構えとして欠かせない四字熟語を今回はご紹介したいと思います。

「迅速果断」

仕事を進めていく過程は、「迅速果断」の連続といってよいでしょう。「迅速果断(じんそくかだん)」は、物事をすばやく決断し、実行するという意味になります。「迅速」は、すばやいこと。「果断」は決断力がある、もしくは思い切って物事を行う様子を差します。

プライベートであれば、優柔不断な時があってもよいでしょう。しかし、ビジネスに関しては「迅速果断」でなければいけません。なぜなら、判断が遅くなればなるほど、周囲に迷惑をかけてしまうからです。「胆大心小」のように、注意を払って物事を進めるためには、「迅速果断」が欠かせないといえるのではないでしょうか。

\次のページで「「熟慮断行」」を解説!/

「熟慮断行」

「熟慮」は、よく考えて念入りに検討すること。「断行」は、無理や困難を押し切って実行するという意味になります。2つの言葉からも分かるように「熟慮断行」は、十分に考えたうえで、思いきって実行すること。こちらも、ビジネスには欠かせない心構えといえますね。

やはり、利益をあげるためには、ニーズに合わせて変化し続けなければいけません。立場によっては判断を迫られ、決断しなければいけない時もあるでしょう。上司であるならば、判断によっては部下を巻き込む可能性もあります。しかし、決断をしなくて済む選択肢はないはず。だからこそ、「熟慮断行」して新しいプロジェクトに取り組む必要があるのです。

「胆大心小」の対義語は?

では、次に「胆大心小」の対義語をみていきましょう。

「小心翼翼」

「小心翼翼」は「しょうしんよくよく」と読みます。「胆大心小」が大胆かつ細心であるのに対して、「小心翼翼」は気が小さく、びくびくしていること。細かいことばかり気にして、自信がない様子が想像できますね。ただし、「小心翼翼」にはもう1つ意味があります。それは、細かいところまで気を配り、謙遜する様子のこと。前者と意味が全く違うと思った方もいるのではないでしょうか。

「小心」は、臆病であること以外に、細かいことまで気が配れるという意味があります。「翼翼」は慎重であること、もしくは用心深いという意味。「小心翼翼」であることは、様子からして頼りなく、悪いことのように感じるかもしれません。しかし、裏を返せば、「小心翼翼」な人は心優しい人。相手を気遣ってしまうあまり強気に出られないだけではないでしょうか。びくびくしてしまう癖を改善するためには自信が必要です。小心翼翼な人がいたら、優しく声をかけることから始めてみてください。

「唯唯諾諾」

「唯唯諾諾(いいだくだく)」の意味は、物事の良し悪しに関係なく人に従うこと。他人の言いなりになっている様子を差します。「唯唯」と「諾諾」は、どちらも人の言葉に逆らわないという意味。同じ意味の言葉を2つ並べることによって、逆らわない様子を強調しているといえますね。

考えることが面倒になって、上司の指示に対して適当に返事をした経験はありませんか。反論せず、言われたことだけを忠実にこなしていれば、職場も平和で良いかもしれません。しかし、もし上司が部下の発言に理解を示してくれるタイプならば、ぜひ疑問をぶつけてみてください。きっと熱心に応えてくれるはずですよ。

「胆大心小」の英訳は?

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では、「胆大心小」を英語訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

\次のページで「「being bold and prudent」」を解説!/

「being bold and prudent」

「胆大心小」を「大胆かつ細心」に言い換えると英語にしやすいのではないでしょうか。「bold」は「大胆な」や「勇敢な」という意味。「リスクを恐れず思い切ってやる」というニュアンスを含んだ「大胆」だと考えてください。「prudent」は「用心深い」や「慎重な」という意味。「being」は、今回の場合は「~であること」と英訳します。

being bold and prudent」は直訳すると「大胆かつ細心であること」になるので「胆大心小」として使うことができますね。「and」は「且つ」として、2つの言葉を両立させる単語として捉えると分かりやすいかもしれません。「且つ」は「also」を使ってもいいでしょう。

「胆大心小」を使いこなそう

この記事では「胆大心小」の意味・使い方・類語などを説明しました。「胆大心小」という四字熟語を知らなくとも、「大胆かつ細心であれ」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。企業セミナーなどでよく使われており、いかにビジネスにおいて大事な心構えなのか、想像がつくかと思います。大胆にチャレンジはするけれど、細心の注意を払うため未然に失敗を防ぐことができる。理屈では分かっていても、実際に行動で表すのは大変です。

おそらく、多くの人が「もっとこうすれば良くなる」と気づいていても、実際に行動に移す人は少ないのではないでしょうか。大人になると諦めることに慣れてしまい、心の奥底にチャレンジ精神をしまい込んでしまう傾向があります。最初の一歩は勇気がいるかもしれませんが、一度踏み出してしまえば「こんなものか」と思うはず。胆大心小で行動していけば、今よりもっと広くて楽しい世界があなたを待っています。ぜひ、日常の習慣に「胆大心小」を取り入れてみてください。

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【四字熟語】「胆大心小」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「胆大心小」について解説する。

端的に言えば「胆大心小」の意味は「大胆かつ細心であること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「胆大心小」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「胆大心小」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「胆大心小」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「胆大心小」の意味は?

「胆大心小」には、次のような意味があります。

大胆で、かつ細心であること。度胸は大きく、注意は細かく払うべきこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「胆大心小」

「胆大心小(たんだいしんしょう)」な人は、出世間違いなしではないでしょうか。「胆大」は、大胆であること。どのような事があっても恐れず、尻ごみしない姿勢のことを「大胆」といいますよね。「心小」は、細心のこと。細心とは、気が小さいという意味もありますが、「胆大心小」では、細かいところまで気配りができるという意味になります。

勇敢にチャレンジするだけでなく、注意しながら物事を進めるわけですから、実践できる人は周囲から尊敬されるのではないでしょうか。誰しも、大胆に行動するのは勇気がいりますよね。失敗したくないですし、周りの目も気になることでしょう。しかし、恐れることなく、かつ気配りができるならば頼もしい限りです。リーダーを目指すならば「胆大心小」は欠かせない心構えといえるでしょう。

「胆大心小」の語源は?

次に「胆大心小」の語源を確認しておきましょう。「胆大心小」は、唐の歴史を記した中国の古典「旧唐書」の「遜思邈伝(そんしばくでん)」から誕生しました。「遜思邈」とは、唐初に活躍した医者で、後世に語り継がれる医書を残した人物としても有名です。遜思邈は仏教や道教にも熱心で、「遜思邈伝」において「胆は大ならんことを欲し心は小ならんことを欲す」という言葉を残しました。要するに「人は度胸が大きく、注意は細やかであるべきだ」と言ったわけですね。この言葉が「胆大心小」の由来だといわれています。

\次のページで「「胆大心小」の使い方・例文」を解説!/

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