空を見上げると様々な天体を見ることができる。日の出から日の入りまでの間は太陽が出ているし、日が暮れてからは輝く星座や惑星を見つけることができる。月は日が暮れてからはもちろん、日によってはうっすらとですが太陽が出ている時間でも見ることができるな。

ところで、日暮れや日の出のわずかな時間しか見ることのできない天体を知っているか?地球よりも太陽に近い位置にある天体は見ることのできる時間が限られている。このような惑星を内惑星と言うぞ。

今回はそんな地球よりも太陽に近い惑星、内惑星についてを科学館職員たかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

不思議な現象を解き明かす科学が好きで理系に進んだリケジョ。テスト勉強の時は用語の意味を確認しながらノートづくりをするところから始めるタイプ。中学時代の得意科目は理科で高校、大学で化学漬けの日々を送っていた科学館職員。

おさらい!天体とはどんなもの?

image by PIXTA / 46870517

天体とはどんなものでしょうか?コトバンクでその意味を確認すると天体とは「宇宙にある恒星、惑星、小惑星、衛星、彗星、星雲、星団、銀河、銀河団など観測できる物体の総称」とされています。天体は宇宙空間にある岩石やガス、塵が凝縮してできている物体です。天体の例として恒星(例:太陽)、惑星(例:地球)、衛星(例:月)、準惑星(例:冥王星)、小惑星(例:イトカワ)があります。

地球は太陽を中心とした太陽系の惑星のひとつです。太陽系には8つの惑星があります。太陽から近い順に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星です。水星から土星は曜日の名前でなじみ深いですね。一方、天王星と海王星はちょっとあまりイメージできない人が多いでしょう。

水星から土星までの惑星は地球から肉眼で見ることができます。そのため、昔から人々にその存在が知られていました。一方の天王星と海王星は肉眼で見ることができません。望遠鏡が発明されたのは17世紀初頭のことです。そして天王星は1781年に、海王星は1846年に発見されました。

望遠鏡の仕組みについて気になる人はこちらの記事をどうぞ。

地球を中心とした惑星の分類

地球を中心とした惑星の分類

image by Study-Z編集部

惑星には惑星の成分で分類する方法や、位置によって分類する方法があります。地球を基準にどこにあるかで惑星を分類するのです。地球を基準にして地球よりも太陽寄り、内側にある惑星を内惑星と呼びます。反対に地球よりも太陽から遠い外側に軌道を持つ惑星を外惑星と言うのです。内惑星には水星と金星外惑星には火星、木星、土星、天王星、海王星が該当します。

天体といえば夜に見るイメージがありますね。しかし、内惑星が観測されるのは日の出前と日没直後のわずかな時間のみです。なぜそんなに限られた時間しか見ることができないのでしょうか。

地球が日中になるのは太陽が当たっている面、夜間になるのは太陽が当たっていない面です。内惑星は地球から見て太陽側にあります。つまり、内惑星は太陽と同じ側に見ることができるのです。しかし日中は内惑星を含め太陽以外の天体は、太陽の明るさに負けてほとんど見ることができません。そのため、内惑星は見える時間が限られているのです。

外惑星の詳細についてはこちらの記事を参考にして下さい。

内惑星の特徴

image by PIXTA / 36052102

それでは内惑星である水星、金星について解説していきます。内惑星の特徴をより深く理解するために、まずは地球の特徴を確認しましょう。

\次のページで「地球の特徴」を解説!/

地球の特徴

私たちが住む地球太陽系の第3惑星です。生命の存在が確認される唯一の天体で、衛星をひとつ(月)持っています。夜空に美しく輝く月ですが、日中でもうっすらと見えることがありますね。

大気の特徴として酸素が含まれていることが挙げられます。ちなみに空気は酸素が多いイメージがあるかもしれませんが8割近くが窒素です。そしてわずかにアルゴンや二酸化炭素が含まれています。

では地球の核(天体の中心)は何でできているのでしょうか。地球の核は鉄やニッケルでできています。

直径:12,756km

質量:5.97×1024

公転:365日

自転:24時間

最も小さな惑星、水星

image by PIXTA / 33540370

最も太陽に近い惑星は水星です。名前からみずみずしく美しいイメージを持っている人も多いでしょう。しかし実際は最低温度が約ー180℃、平均温度約170℃、最高約430℃と日が当たると高温になる一方で夜は極寒となる惑星です。水星は生物が暮らすのには大変過酷な環境なのですね。

1973年に打ち上げられたアメリカの探査機マリーナ10号が初めて水星の探査を行いました。そして2008年にはメッセンジャー(打ち上げ2004年)による探査が行われたのです。水星の表面はぼこぼことしていて、クレーターやしわがあります。写真で見ると、ちょっと月と似ていますね。

水星の大気は水素やヘリウム、酸素の他、地殻由来のナトリウムやカリウムが含まれています。大気にナトリウムやカリウムがあるとは意外ですね。一方、水星の核は地球と似ていて鉄やニッケルでできています。水星の質量の7割近くがこの鉄やニッケルが占めているのです。そして核の周りをマントル、地殻としてケイ酸塩が包み込んでいます。

直径:4,879km

質量:3.30×1023

公転:約88日

自転:約58日

水星は最も公転にかかる時間が短く、3か月ほどで1回公転しています。一方、自転には2か月程度かかっているのです。つまり、水星は3回自転する間に2回公転しているのですね。

地球の姉妹惑星、金星

大きさや組成、太陽からの距離など金星は地球との共通点が多く、地球の姉妹惑星と言われています。

金星の大気の主成分は温室効果ガスの一種である二酸化炭素です。金星の平均気温は464℃で、より太陽に近い水星よりも温度が高いのはこの大気のおかげなのですね。

\次のページで「内惑星を見るポイントは時間」を解説!/

直径:12,103km

質量:4.87×1024

公転:約225日

自転:約117日

公転にかかる時間は太陽から遠いほど長くなります。一方、水星から土星までの惑星の自転は太陽から遠くなるほど短くなる傾向にあるのです。しかし金星は水星よりも自転にかかる時間が長く、太陽系で最も自転に時間がかかっています。

内惑星を見るポイントは時間

内惑星である水星と金星。地球から見ると太陽と同じ方向にあるため、観察できる時間は明け方と日暮れに限られています。金星が明けの明星、宵の明星という呼び方をされているのはこのためですね。

太陽に最も近い水星は太陽系で最も直径、質量が小さい惑星です。また公転にかかる時間が最も長くなっています。一方、金星は自転にかかる時間が最も長い惑星です。

惑星は個性的なものが多いので、その特徴をしっかりと確認してくださいね。

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地学岩石・鉱物理科

3分で簡単「内惑星」の特徴!科学館職員がわかりやすく解説

空を見上げると様々な天体を見ることができる。日の出から日の入りまでの間は太陽が出ているし、日が暮れてからは輝く星座や惑星を見つけることができる。月は日が暮れてからはもちろん、日によってはうっすらとですが太陽が出ている時間でも見ることができるな。

ところで、日暮れや日の出のわずかな時間しか見ることのできない天体を知っているか?地球よりも太陽に近い位置にある天体は見ることのできる時間が限られている。このような惑星を内惑星と言うぞ。

今回はそんな地球よりも太陽に近い惑星、内惑星についてを科学館職員たかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

不思議な現象を解き明かす科学が好きで理系に進んだリケジョ。テスト勉強の時は用語の意味を確認しながらノートづくりをするところから始めるタイプ。中学時代の得意科目は理科で高校、大学で化学漬けの日々を送っていた科学館職員。

おさらい!天体とはどんなもの?

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天体とはどんなものでしょうか?コトバンクでその意味を確認すると天体とは「宇宙にある恒星、惑星、小惑星、衛星、彗星、星雲、星団、銀河、銀河団など観測できる物体の総称」とされています。天体は宇宙空間にある岩石やガス、塵が凝縮してできている物体です。天体の例として恒星(例:太陽)、惑星(例:地球)、衛星(例:月)、準惑星(例:冥王星)、小惑星(例:イトカワ)があります。

地球は太陽を中心とした太陽系の惑星のひとつです。太陽系には8つの惑星があります。太陽から近い順に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星です。水星から土星は曜日の名前でなじみ深いですね。一方、天王星と海王星はちょっとあまりイメージできない人が多いでしょう。

水星から土星までの惑星は地球から肉眼で見ることができます。そのため、昔から人々にその存在が知られていました。一方の天王星と海王星は肉眼で見ることができません。望遠鏡が発明されたのは17世紀初頭のことです。そして天王星は1781年に、海王星は1846年に発見されました。

望遠鏡の仕組みについて気になる人はこちらの記事をどうぞ。

地球を中心とした惑星の分類

地球を中心とした惑星の分類

image by Study-Z編集部

惑星には惑星の成分で分類する方法や、位置によって分類する方法があります。地球を基準にどこにあるかで惑星を分類するのです。地球を基準にして地球よりも太陽寄り、内側にある惑星を内惑星と呼びます。反対に地球よりも太陽から遠い外側に軌道を持つ惑星を外惑星と言うのです。内惑星には水星と金星外惑星には火星、木星、土星、天王星、海王星が該当します。

天体といえば夜に見るイメージがありますね。しかし、内惑星が観測されるのは日の出前と日没直後のわずかな時間のみです。なぜそんなに限られた時間しか見ることができないのでしょうか。

地球が日中になるのは太陽が当たっている面、夜間になるのは太陽が当たっていない面です。内惑星は地球から見て太陽側にあります。つまり、内惑星は太陽と同じ側に見ることができるのです。しかし日中は内惑星を含め太陽以外の天体は、太陽の明るさに負けてほとんど見ることができません。そのため、内惑星は見える時間が限られているのです。

外惑星の詳細についてはこちらの記事を参考にして下さい。

内惑星の特徴

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それでは内惑星である水星、金星について解説していきます。内惑星の特徴をより深く理解するために、まずは地球の特徴を確認しましょう。

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