この記事では「天壌無窮」について解説する。

端的に言えば「天壌無窮」の意味は「終わりなく続くこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗吉を呼んです。一緒に「天壌無窮」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「天壌無窮」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「天壌無窮」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「天壌無窮」の意味は?

「天壌無窮」(テンジョウムキュウ)には、次のような意味があります。

天地とともに永遠に極まりなく続くさま。

出典:三省堂 新明解四字熟語辞典

なんとも雄大で、気持ちも大きく豊かになる言葉ですね。

この世は始まりも終わりもない、昔からあってそれが永遠に続いていく、われわれ人間も一人ひとりは短い一生であっても、取り巻く世界というものはずっと続いていくということ。

小さなことにこだわるのが、ばからしくなるありがたい言葉です。

古書『日本書紀』にこの言葉が出てきます。

「天壌無窮」の語源は?

次に「天壌無窮」の語源を確認しておきましょう。

「天」は、空の上の方です。たとえば「天体」は、空や空の上にある星などの物体を表していますね。

「壌」は、「土壌」という言葉もあるように、土や土地を表します。

「天壌」で、天と地、この世界全部という意味です。

「窮」は、「窮屈」の「窮」でもあり、奥深く、きわまった所という意味になります。

「無窮」で、奥深くまで行っても限度がないことを示し、永遠に続くという意味です。

「無窮動」という、「永遠に動く」との意味をもつ言葉もありますね。

そこで「天壌無窮」全体で、「世界は終わりなく続く」「世界の流れとともに終わりなく続くこと」という意味になります。

\次のページで「「天壌無窮」の使い方・例文」を解説!/

「天壌無窮」の使い方・例文

「天壌無窮」の使い方を例文で見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.人生は有限だが、この世は天壌無窮、永遠に続くものである。

2.結婚するなら天壌無窮の愛を誓いたいところだ。

3.会社を起業して最初はうまくいっていても栄枯盛衰はつきもの、天壌無窮の世界の中、たくさんの社員とともに漂うように懸命に泳いでいくしかない。

4.感染症対策で流通が阻害される中、会社の生産力も天壌無窮とはいかず、当店の湿度温度管理も万全でないのでおすすめの好評製品も常に用意できるわけでもなく、社長夫婦や専務常務の兄弟など取締役みんなに無断で解説情報と写真だけの展示をしているのが現状だ。

5.教育情報出版産業として、漢字の意味や関連用語などの記事を掲載する言葉の辞典を制作しているが、インターネットで検索をしてみたところ、著作権などの権利者について重大で困難な問題があることがわかり、弊社も末永く天壌無窮の存在というわけでなく、とくに法務関係で経営上の大幅な改善が必要なことがわかった。

天壌無窮の雄大な世界と比べると人間ひとりひとり、そして人類全体も、はかないものです。人間世界の小ささを超えて大きな自然の世界や宇宙の歴史を見るのは、日本的な考えかもしれません。

日本書紀の「天孫降臨」の章では、天地が永遠であるのと同じように、「葦原の千五百秋(ちいほあき)の瑞穂(みずほ)の国(日本国の元になる国)」も永遠であれ、という願いをこめて、この言葉が用いられています。

「天壌無窮」の類義語は?違いは?

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「天壌無窮」と似た意味を持つ言葉として、「永遠」「不滅」「悠久」などがあります。

「永遠」

「永遠」は、時間がいつまで経っても続いていくことを表すものです。「永久」も似たような意味をもちます。

\次のページで「「不滅」」を解説!/

「不滅」

「不滅」は「ほろびないこと」で、「永遠」や「永久」とほぼ同義です。

むかし、プロ野球の大選手が引退するにあたって「永久に不滅です」と言いました。「永久」か「不滅」のどちらか一方で同じ意味を表すことができますが、二つの言葉を重ねて使うことで強調する表現になっています。強烈な表現ですね。

「悠久」

「悠」(ユウ)は「はるか」とも読む漢字で、時間や空間がどこまでも続くという意味を表します。

「久」(キュウ)は、時間が長いことです。「お久(ひさ)しぶり」は、長い時間を経て、という意味ですね。

この「悠」と「久」を合わせて「悠久」(ユウキュウ)となり、極まりなく、長く続くという意味になります。「悠久の大地」という言い方がありますが、これはほぼ「天壌無窮」と同じ意味です。

「天壌無窮」の対義語は?

天壌無窮と反対の意味を持つ言葉としては、以下のようなものがあります。

「刹那」

「刹那」(せつな)は、とても短い時間を表す仏教の言葉です。

現代では「刹那的」(せつなてき)という言葉がしばしば使われますが、これは短い時間を基準とした言動について、普遍性や発展性、継続性のないものとして、否定的な意味で使われています。

「若いうちからひたすら快楽だけを求める刹那的な態度で暮らしていると、なにも身につかずに、将来生きていくのに苦労することになるだろう」などというように使われるものです。

「一瞬」

「一瞬」(イッシュン)もごく短い時間を表す言葉です。

「瞬」は、まばたきを、「一瞬」は、まばたき一回する間の時間ほどに短い時間を表し、「瞬間」(シュンカン)もほぼ同義となります。

「天壌無窮」の英訳は?

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最後に「天壌無窮」を英語で表現するとどうなるのかを確認しておきましょう。

\次のページで「「eternal」」を解説!/

「eternal」

「天壌無窮」は英語で「eternal」と表すことができます。例文も示しておきましょう。

The world is eternal , evry person is mortal.

天壌無窮、人生有限。

「天壌無窮」を使いこなそう

この記事では「天壌無窮」の意味・使い方・類語などを説明しました。

悠久の自然に永遠を見て、そこから国や民族の繁栄と継続を願う態度は、日本的ではありますが、多くの民族に神話として見られるものだとも言われます。人生は有限ではありますが、人は子孫を残すことはできますし、民族や国は一人の人間の一生よりも長く続くことを期待できるものです。

そこで天壌無窮が意味をもつわけですね。天壌無窮の中で個人が永遠を求める心は、歴史や宗教の成立にもつながるものでしょう。文化、文明の根源とも言えるかもしれません。

日本では、日本書紀に見られる表現ですが、各国、各民族の天壌無窮伝説を探すのも興味深いことでしょう。死の恐怖ばかりではない人の一生というものがそこから見えてくるかもしれません。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「天壌無窮」の意味や使い方は?例文や類語を教材系ライターがわかりやすく解説!

この記事では「天壌無窮」について解説する。

端的に言えば「天壌無窮」の意味は「終わりなく続くこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗吉を呼んです。一緒に「天壌無窮」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「天壌無窮」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「天壌無窮」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「天壌無窮」の意味は?

「天壌無窮」(テンジョウムキュウ)には、次のような意味があります。

天地とともに永遠に極まりなく続くさま。

出典:三省堂 新明解四字熟語辞典

なんとも雄大で、気持ちも大きく豊かになる言葉ですね。

この世は始まりも終わりもない、昔からあってそれが永遠に続いていく、われわれ人間も一人ひとりは短い一生であっても、取り巻く世界というものはずっと続いていくということ。

小さなことにこだわるのが、ばからしくなるありがたい言葉です。

古書『日本書紀』にこの言葉が出てきます。

「天壌無窮」の語源は?

次に「天壌無窮」の語源を確認しておきましょう。

「天」は、空の上の方です。たとえば「天体」は、空や空の上にある星などの物体を表していますね。

「壌」は、「土壌」という言葉もあるように、土や土地を表します。

「天壌」で、天と地、この世界全部という意味です。

「窮」は、「窮屈」の「窮」でもあり、奥深く、きわまった所という意味になります。

「無窮」で、奥深くまで行っても限度がないことを示し、永遠に続くという意味です。

「無窮動」という、「永遠に動く」との意味をもつ言葉もありますね。

そこで「天壌無窮」全体で、「世界は終わりなく続く」「世界の流れとともに終わりなく続くこと」という意味になります。

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